とぅるー はぴねす  (46ページ)   | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

七、ほんとうのさいわいをさがしに 1

 

夜、雨音が窓ガラスを叩く音を聞きながら、僕は自室のベッドで横になっていた。

寝るには早すぎ、かと言って勉強をする気にもなれず、なにをするわけでもなくただぼぅっとしていた。

明日、七星に告白しよう。

そう決めていた。

それを思うだけで、今日の安眠は期待できなかった。

あ、そうだ

七星で思い出した。

そう言えば彼女から『銀河鉄道の夜』を返されていたんだっけ。

僕は上半身を起こすと、鞄から本を取り出した。

あれ?

僕は急いで『銀河鉄道の夜』を引き寄せた。

新しい……

七星から手渡された本は綺麗だった。

でも、そんなはずはないんだ。

だって僕が貸した『銀河鉄道の夜』は僕が小学生の頃に母から譲られたもので、表紙は擦り切れていて、ページも手垢で黄ばんでいた。

 

〔つづく〕 

                                                             

登場人物

水無瀬弘海   主人公(みなせひろみ) 

高群  七星   主人公と同じ部活の後輩

鈴木  彰    ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人


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草薙香(くさなぎかおり)  の小説


編集掲載・緋鷹由理