とぅるー はぴねす  (36ページ) | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

六、闇の中  1

 

熱が出た。

高熱だった。

はり豪雨の中を全力で走ったのがマズかったらしい。

久々に三十八度を超える熱を出した。

高熱もつらかったけど、身体の節々が痛いのも地味にきつかった。

母親は僕を見て、「ヒロはいつまで経っても身体が弱いわねぇ」なんて言っていた。

確かに僕は小学生まで病弱だったけど、中学に入ってからは比較的健康に過ごしてきたつもりだ。

それでも母にとって、僕は昔の病弱だったイメージが強いのだろう。

あの頃はよく母の手を煩わせていたものだったから、記憶にも強く残っているのかもしれない。

僕は学校を休み、ほとんどをベッドの上で過ごした。

そして大半の時間は眠っていた。

夢を見た。

僕がいて、周りは真っ暗で、目の前には七星がいた。

彼女は泣いていた。

僕は泣いている七星をずっと見ているだけだった。

――やっぱり先輩は、私のこと、迷惑だったんですね。

七星の震える声が、脳裏にこびりついて離れない。

――もう、終わりにしましょう。

もう、終わった。僕が終わらせた。

これでよかったんだ。本当に?

僕はわからない。寝ても覚めても、ずっと七星のことを考えていた。

僕はどうかしている。僕は病気なんだ。

だからこんなにも七星のことを考えてしまう。

もう、終わったことなのに。

僕はもう、本当に厄介な病を罹ってしまったらしい。

恋の病、というひどく残酷な病に。

 

〔つづく〕 

                                                             

登場人物

水無瀬弘海   主人公(みなせひろみ) 

高群  七星   主人公と同じ部活の後輩

鈴木  彰    ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人


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草薙香(くさなぎかおり)  の小説


編集掲載・緋鷹由理