とぅるー はぴねす  (25ページ) | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

変わっていくもの 5

 

七星は水筒のお茶をひとくちすすり、ふぅとひと息ついた。

そして瞳を閉じると、一度二度と頷いてから、僕を見た。

私は、先輩のことを弘海先輩と呼んでもいいですか?

え?

嫌、ですか?

七星の不安そうな顔を見ると、僕は一瞬言葉がでなかった。

いつも無表情な彼女が、不安そうな顔をしている。

もしかして、僕が変えたのか? 彼女を。

恋人でもない、ただ彼氏の役を演じているだけの僕が?

僕は彼女に信用されている、のだろうか?

先輩?

僕は憂いに揺れる彼女の瞳を見つめ返した。

いいよ。僕も七星に名前で呼ばれるとうれしい

「そうですか。それはよかったです」

ふっと綻んだ彼女の表情を見て、僕は胸が苦しくなった。

こうやって恋人の演技を続けているうちに、僕たちは戻れないところまで行ってしまうのではないだろうか。

を全ての人が、それも嘘をついている人間さえもが信じてしまえば、それは真実とどう違うのだろう。

僕の胸はますます息苦しさを増していった。

どうしても考えてしまうのだ。

最初から普通の恋人としてスタートしていれば気が楽だったのではないか、と。

 

〔つづく〕 

                                                             

登場人物

水無瀬弘海   主人公(みなせひろみ) 

高群  七星   主人公と同じ部活の後輩

鈴木  彰    ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人


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草薙香(くさなぎかおり)  の小説


編集掲載・緋鷹由理