とぅるー はぴねす  (18ページ) | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

偽りの恋人  6

今日は雨こそ降っていないものの、空はどんよりと曇っていて窓の外はどことなく重苦しい。

こちらが先輩の分のお弁当です


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草薙香(くさなぎかおり) の小説


編集掲載・緋鷹由理

そう言って渡されたのが、夏の青空を思わせる青色をしたお弁当箱だった。

大きさ的には食べ盛りの男子高校生からしたら少し小さいかな、という程度のものだ。

それでもお弁当を用意してくれただけでも十分にありがたい。

さっそく弁当のふたを開けてみる。

おかずは色とりどりでおいしそうだし、白ご飯にはハートマークが描かれている。

恋人のフリの割にはずいぶんと気合の入った弁当だ。

これ、高群さんが作ったの?

はい。そうですけど

へぇ

はじめての女の子から貰うお手製弁当。思わず頬が緩んでしまう。

こんな役得があるのなら恋人ごっこも悪くないかなぁ、なんて考えている自分がいる。

いただきます

はい。どうぞ召し上がってください

まずはコロッケに箸を伸ばす。

うん、普通においしい。

家で食べるコロッケとどこが違うのかと言われると少し言葉に困るけど、女の子が自分のために作ってくれたというだけで、おいしく食べられるのだろう。

お味はどうですか?

うん。おいしいよ

そうですか。それはよかったです

とてもよかったとは思えないような無感動な表情だった。

思えば僕は彼女が笑った表情を見たことがない気がする。

感情の起伏があまりないのだろうか。

少しでも笑えばもっと可愛くなるのに、と残念に思う。って、それは余計なお世話か。

〔つづく〕 


登場人物

水無瀬弘海   主人公(みなせひろみ) 

高群  七星   主人公と同じ部活の後輩

鈴木  彰    ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人