今年は中学生の読書感想文も
数多くご指導させていただきました。
4年前に教室を開いて以来、
毎夏、中学生の受講者は片手で足りる人数だったのですが、
教室生に中学生が増えたことと
講座へのお申込みが全体的に増えたことで、
今年は中学生の生徒さんも多く来られました
その中の多くが、学校から
「原稿用紙4枚(1600字)以上」という
無謀な(笑)条件を課されていて
小学校までの感覚で書くと、
絶対にクリアできません
一般的には、あらすじをダラダラと書いて
とりあえず字数を埋めた後、
前向きな印象でまとめるしか仕方ないのです。
恐らく多くのまじめな中学生が、
そうやって「あらすじダラダラ感想文」を苦労して書いていると思います。
まじめじゃない中学生は、いろんな方法を使っているようです。
ここでは触れませんが
教室に来た中学生たちも、
まずその文字数に途方に暮れています
そこで、次の二者択一をしてもらいます。
「あらすじダラダラ感想文」か
「哲学的・社会的感想文」か。
もちろん、そんなネーミングは私の頭の中だけで
生徒には、場面ごとに具体的に選択を迫りつつ進めるのですが。
課題図書から例を挙げると……。
『アーニャは、きっと来る』 マイケル・モーバーゴ著/評論社 は
第二次世界大戦中のフランスが舞台で、
ユダヤ人の子どもたちをかくまい、
スペインンに逃がそうと企てる計画に
主人公の男の子が協力していくという話です。
背景にあるナチスドイツのユダヤ人迫害については、
中1の子など、まだこの事実を知らない子もいて
そこに触れずにあっさり書いてしまうこともできます。
ただ、それでは物足りないことは生徒にも分かるようで、
パソコンを使っていいから調べる? と聞くと、
みんな「はい」と言いながら神妙な顔で読み始めます。
また、
『with you(ウィズ・ユー)』 濱野京子著/くもん出版 は
ヤングケアラーが大きなテーマでした。
「ヤングケアラー」という言葉を初めて聞いたと言った子に
調べてみる? と聞くと、
次の教室の日までに家で調べてきていました。
課題図書以外にも、いろんな本を選んだ子がいましたが、
「戦争のない世界(平和な暮らし)」
「本当の友情とは?」
「正義を貫くには?」
「勇気・強さとは?」
など生き方や信念に言及することになっていきました。
そう、「何をどうかくか?」を話していると結局そうなってしまうのです。
面倒くさいだろうな、時間もかかるし……と
見守りつつ、
ときどき「それだけだと字数足りないよ~」など意地悪を言います(笑)
アドバイスを素直に聞きながら、どんどん書く子もいれば
そのまま受け入れるのは納得がいかず
びっくりするくらい時間をかけて、自分なりの展開を考える子もいます。
そして、どの子も出来上がった後、充実した笑顔で帰っていきます。
私も本の内容を理解していないといけないし
中学生には甘さは見抜かれるので、
こちらもすごく疲れるのですが
小学生に対するのとは違った面白さがありました。
「感想」として自分の意見を組み立てること、
自分の生活と哲学的・社会的な問題とがどこかでつながっていること、
そんなことに気付くきっかけになってくれればいいと思います。