鯖は足が速い | yunnkji1789のブログ

yunnkji1789のブログ

ブログの説明を入力します。

 一部の人が大喜びしそうなタイトルだが、関係ない。純粋に思い出話である。

母と「鯖は足が速い」という話をしていたら、父がキョトンとして「なんで足がないのに鯖の足が速いんだ?」と真面目に言い出した。

父は、腐りやすい事を言う慣用句「足が速い」を知らなかったのだ。

ちなみに父は教員で、しかも港町出身だった。

兄は、「常識がなさすぎる」と怒っていた。


人は長い人生経験の中で、無意識に沢山の言葉に触れ、語彙を増やしていくものだ。しかし、偶目にしないということは往々にしてある。

テレビで「足が速い」と言う言葉が出た時、偶トイレにいってたり、会話で誰かが言った時、偶よそ見をしていたり、そうやって、七十年間、全く「足が速い」を目にする機会が得られないということはありうる。特に父は真面目すぎて視野が狭い傾向がある。集中力はすごいのだが、周辺のものは、全く目に入らない。


同じようなことで「サクサク進む」と言う言葉も知らなかった。説明したら「それは、お前の学校で流行っているのか?」と真面目に聞いてきた。

それ以来「サクサク」は現代の新語だと思っていたのだが、調べたら江戸時代からあり、年長者に聞いても30年以上前から普通に使われていた、ということもわかった。

先にも述べたように視野の狭い父はこの傾向が特に強いのだが。多かれ少なかれ、そういうことはあるものだ。

人は皆人生経験が違う。語彙は必ず、その人の人生経験によってのみ得られる。Aさんが知っている言葉をBさんが知らなかったとしても、それは、単に人生経験がズレていただけの話であり、Bさんが馬鹿だとはいうわけではない。しかし、Aさんは、自分の人生経験がノーマルだと思っているから、それを知らないやつは馬鹿だとは思いこんでしまう。

しかし、やはり目敏くて、賢い人というのは確かにいる。父の正反対で、一つの事をやりながら、それとなく、それ以外のものもチェックできる。仕事の飲み込みが速い人というのはだいたいこうだが。私もなかなか真似できない。