カレーライス
その時の僕は落ち込んでいた。 今にして思えばたいしたことではなく、どうしてそんなことでという内容だが、メンタルがブレブレになりやすい僕にとっては気分を下げるには十分な内容だった。 落ち込んだ気分まま、お昼を食べにカレー屋に入った。 インド人の店員が経営している本格的なカレー屋。僕は当時よくここを使っていた。 食券を買い列に並ぶ。並んでいるときも僕はずっと浮かない顔で考え事をしていた。順番が来るのをひたすら待ち続けていた。 「コンニチハ、カレーハスキデスカ?」 思わないところから声を掛けられ思わず驚きながら顔を上げる。 声をかけてくれたのは店の店員の方で、何度かこうしてチケットの受け渡し等で顔を見たことがある方だった。 どうして声をかけてくれたのかはわからない。よく通っていたのでたまたま顔を覚えてくれていたのだろうか。 だがほんの少し声をかけてくれたおかげで何となく先ほどまでの落ち込んでいた気分が晴れていった。 簡単なことで落ち込み簡単なことで気分が晴れる。我ながら単純な人間だ。だがその分こうしてちょっとしたいいことで喜べる。ならもう少しこの性格を楽しんでもいいかもしれない。そう思えた。 声をかけてくれた店員さんに、心の中で感謝しながら僕は店を出た。