ニューヨークタイムズ・ブックレビューで "a dark and beautiful book" と評された短編集。

どの短編も思春期の女の子女の子が主人公で、
10代の女子って こんなに生きづらかったんだ汗・・と 遠い昔の記憶が蘇りました。


美人の友人を羨んだり嫉妬したり、
自分の母親がうとましく思えたり、
異性への興味と反発が奇妙に胸の中に同居していたり。

私が一番気に入ったのは、タイトルの由来ともなった
「The Isabel Fish」 クマノミという短編。


主人公マディは、兄のガールフレンド Isabel とドライブの途中で事故に遭い、
車ごと池に水没したにもかかわらず、一人だけ奇跡的に生還した。
ガールフレンドの死をきっかけに、ギクシャクしだす兄妹の関係――。
大切な人の死を受け止められず、
それぞれに苦しむ兄と妹が、ダイビングの講習をきっかけに
和解と再生へと歩み出す。


ストーリーは、こんな風に幕を閉じます。


"Isabel would have liked to see us diving, going down into the richest blue of the bottom.
We tread water, watching each other through our masks. I can't see his eyes through the glass, but I can see, reflected small and blue, a girl wearing swim fins and a metal tank, self-contained and breathing underwater."



全編に仄かな死の影と水のイメージが散りばめられた、本当に美しい短編集でした。

いつか時間ができたら (←いつ?)、
仕事とかまったく関係なく 勝手に翻訳したい。。。


あ、ちなみに著者は新人らしいですが、
「謝辞」 のページに、フランク・コンロイ とか トビアス・ウルフとか、
大物作家の名前が師匠として ずらずら並んでて ビックリ。

恐るべし、大学の創作学科。