数年前のお正月前の話。
我が家は数年前に夫の実家から別居してから、大晦日はすき焼きをするのが恒例になっていました。
大まかな家計は夫が管理しているため、お正月の買い物代として、私は一万円を渡されていました。
男の子三人と、大食漢の夫。
一万円では決して多くない金額だと思って、きちんと考えながら買い物をしようと、数日前からスーパーのチラシとにらめっこして買いはじめていました。
夫はそういう事は気にせず買う性格。
その年の30日に一緒にスーパーに行った時、夫は高価な牛肉をバンバンかごに入れようとしました。
「そんなに買っても、食べきれないよ」
「子供達もそこまで沢山は食べないし、ほとんど夫さんが食べるのだから、もう少し少なくてもいいんじゃない?」
(そんなに買ったらお金足りないよ…)
「あ、そう」
その帰りの車の中。
明らかに不機嫌な夫。
思うようにお肉を買えなかったからだろうなとは思っていました。
「さっきからどうしてそんな態度なの?」
「あぁ!?どうしたじゃねぇよ。人をバカにしやがって!!俺が全部食べるだとか、いい加減にしろよ!?」
「…誰もバカになんて、してないでしょ。それにそんなに買ったらお金足りなくなっちゃうよ」
「一万、金渡しただろうが!何が足りないんだよ!?肉買ってあとは何にそんなに使うんだよ!?」
「おもちとかすき焼きの具材も買わないとだし、高価なお肉沢山買ったら足りないよ」
「野菜なんてたかが知れてるだろうが!残りの金をどうする気だ!?あぁ!?何に使う気だ!?」
夫は年越しそばにいくらを乗せたり、とにかく高価な食材を欲しがります。
主婦の方なら想像できると思いますが、考えて買わなければすぐ予算オーバーになります。
お金を残すどころか、赤字だなぁと思っていたのに…
「あのさ。もし万が一お金が余ったとしても、家族でそんな事を言う必要ある?家族のお金なんだから、何に使うとかそんな事普通言わないよね?もし余っても私、自分の物を買ったりしないよ」
頭に血が上って何も考えられていない夫
「何に使うんだって言ってんだよ!!言ってみろ!!」
車という密室の中で怒鳴り続けられて、私は震えていました。
何度こんな思いをしないといけないんだろう。
次の日。
大晦日。
態度を軟化させてきた夫と、また買い物に行きました。
「お肉これいいんじゃない?買おう?いくらも欲しいんでしょ?そばに乗せる天ぷらも欲しいんだよね?」
色々夫が欲しがる物をすべて買った結果。
予算9,000円オーバー。
レジで夫を振り返ると、黙って夫が払いました。
「お正月の時は物価も上がるし、考えて買わないとやっぱりオーバーしちゃうんだよ。だから、抑えて買ってたんだよ」
「…うん。そうだな」
これでやっと分かってくれたのかもしれないけれど、私はものすごく傷つきました。
家族なのに残りのお金の使い道をなじられるなど、屈辱でしかありません。惨めでした。
私はこんな思いをするために結婚したのかなと。
その翌年、また年末に夫に、お金を渡すからお正月の買い物をしてきてと言われました。
いくら必要か?と。
恐らくその前年のやり取りは夫は忘れていたのだと思います。
「いくら必要かって言われても、私からは金額は言えない。
あなたは忘れてるかもしれないけど、去年あなたが言った言葉を私は忘れられない。
残ったお金をどうするつもりだなんて怒鳴られたら、怖くて必要な金額なんて言えるはずがない」
と気持ちを伝えました。
DVをする側は、自分が言った言葉も態度も覚えてなんていません。
でも、私には忘れられない日になってしまう。
また今年も年越しが来ますね。
どうか、平和に過ごせますように…