私たちが家を建てるにあたって、木造軸組工法の一種で、金物を使用する「SE構法」を採用しました。

 

その経緯は

【第11話】 夫、SE構法に出会う

という記事にまとめてありますので、そちらをご参照いただければと思いますが、今回は、SE構法について、もう少し詳しく書いてみたいと思います。

 

SE構法とは

古くから、日本の家屋は、地面に柱を立て、柱と柱を横架材(桁や梁)で結んで骨格を作り、そこに小屋組をして屋根をかける、という作り方をしてきました。

木造軸組工法は、この流れをくむ構造形式です。(なので、在来工法という呼ばれ方もします)

 

しかし在来工法にも欠点があります。木材を使用するため、材料の強度にばらつきがあること。木材どうしを堅固に接合するのが難しく、接合部の強度を構造計算にのせるのが難しいこと。材料どうしの接合部で、材の欠損が大きくなりがちなこと、などが挙げられます(1本の柱に、4方向から梁がかかる「四方ざし」では、柱はどんとん削られて、ほとんど残りません)。

 

こうした欠点を補うため、阪神大震災直後に開発されたのが、SE構法です。

柱や梁には、性能のばらつきが少ない集成材が使われています。柱や梁の接合部には、独自の金物を使用し、一定以上の強度が担保されています。

その結果、従来の木造の考え方よりも、鉄骨造に近い考え方で構造計算ができるようになっており、このことからSE構法は、「重量鉄骨造に近い木造」という意味で「重量木骨造」と呼ばれています。

 


SE構法のメリットは?

 鉄骨造は、軽量で柔軟性に富むことから、高層ビルやコンベンションホールのような大空間をつくる建築で、よく使われる構造です。

「重量木骨」SE構法は、木造でありながら、鉄骨造に近いため、さまざまなメリットを享受することができます。


・大きな空間を作るのに適している

 

在来工法では、柱間が約3.6m(2間。畳の長手2枚分。6畳間の長手が2間です)〜4.5mまでか1つの目安。

これを超える空間をつくろうとすると、少し構造的な工夫が必要になってきます。

短手が3.6mなら、長手はもう少し広くしても問題はないので、たとえば7.2mx3.6mの部屋(16畳)をつくることはできますが、正方形の16畳(=約5.1m角になります)をつくろうとすると、柱間が飛びすぎていて、在来木造では難しい場合が出てきます。

 

対してSE構法では、最大9m幅の大空間を作ることができます。

9m飛ばそうとすると梁もかなり大きくなりコストもかかってしまいますが、そういう選択肢があるだけで、設計の自由度は大幅に高まります。

 

今回建築士夫婦の家でも、2階では最大で6.3mの無柱空間をつくっています。

こうしたことが可能なのは、SE構法ならでは、と言えます。

 

・1.5mまでの跳ね出しが可能

軸組構法でも、2x4などパネル工法でも、木造の場合は大きな跳ね出しをつくることは、あまり現実的ではありません。できてせいぜい1コマ(91cm)程度で、それも、跳ね出し部分を部屋にするのであれば、斜めに支えを取るなどしないと、将来自重で垂れてくることが懸念されます。

 

SE構法では、1.5mまでの跳ね出しをつくることができ、しかも跳ね出し部分も室内にすることが可能です。

そのため、1階は玄関へのアプローチや駐車スペースとして利用した外部空間の上に、跳ね出しで部屋を作る、といったプランニングが可能になります。

デザイン的な選択肢が増えるうえ、都内など土地の面積が限られる場合、非常に有効にスペースを使うことができる、というメリットがあります。

 

・大きな窓を作りやすい

従来の木造は、たくさん壁(耐震壁)をつくって地震に抵抗する、という考え方でつくられていきます。柱と梁で作られた在来工法でも、地震に抵抗するのは、あくまでも「壁」。筋交いを入れたり、合板を張り付けた「耐震壁」がなければ、地震に抵抗できません。

(2x4など木質パネル工法は、まず壁パネルを作って、そこに窓を開ける、という考え方をしています。基本がすべて耐震壁なので、ハウスメーカーさんなどは地震に強い、という宣伝文句を使っていますが、在来工法とさほど差があるわけではありません)。

 

バランスよく壁を配置しないといけない上、数多くの震災にも耐えうることがわかっている、「耐震等級3」を取りたいと思えば、必要な壁量が通常の1.5倍に増えるため、大きな窓をとることが難しくなるケースも出てきます。

 

その点SE構法は、柱と梁を「SE金物」という独自の金物で接合し、一定以上の強度を、フレームそのもので確保してしまいます。詳細な構造計算を実施して、変形が大きくなりそうな場所などに「耐震壁」を設けることにはなりますが、それ以外の場所はすべて窓にしてもOK。

明るく開放的で、風通しのよい家を作りやすい構造形式、と言えます。

建築士夫婦の家では、間口4.5m、高さ2.4mの窓を作る予定です。


 

SE構法のデメリット

と、いいことづくめのSE構法ですが、残念ながらデメリットも存在します。

 

なかでも大きなデメリットは、価格が高いこと。

建築士夫が一時務めていた、SE構法を扱う工務店では、「在来木造より、坪あたり20万円程度高くなる」と分析していました。

 

SE構法を採用した建築士夫婦の住まいは、施工床ベースの坪単価は95万円(延床面積で割ると坪120万円を超えます)。

しかもこの金額には設計料は含んでおらず、また、コストダウンのための施主支給に工務店さんにご理解をいただいての金額です。

 

在来木造であれば、坪75万円程度でつくれたかもしれない家が、この金額になってしまったわけです。最近の、都内での大手ハウスメーカーの坪単価の目安は90万円、と聞いたことがありますが、それよりも高い工事費がかかる、というのが、SE構法のデメリット、と言えます。