夢小説

夢小説

私が実際に見た夢を元に、まったり連載する自作小説。ジャンルはファンタスティックホラーです。

注:この小説は残酷シーンが予告なしに出てくる事がありますので、ホラー映画が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。


※ちなみに、更新は非常に遅いです..._| ̄|○

主な登場人物

エラム・・・この小説の主人公

ヒルダ・・・主人公の幼馴染


普段は『我流子育てでもよかですか 』(←リンク参照)でアホ記事書いているので、コチラもヨロシクです♪

Amebaでブログを始めよう!

テーマ:

アホのくせにドギツイ文章書くやつが来ましたよ。

うほ、今回は更新までの時間短かったとです♪




これ以前の話は↓のリンクからどうぞですm(_ _)m


プロローグ『過去と現在と』

  第一話『復活祭①』

       『復活祭②』

       『復活祭③』


___________________________________________



 「・・・事件発生から一夜明けた今も、現場となった中学校では現場検証が行なわれており、関係者以外の立ち入りが厳しく禁止されており、私たち報道陣が立ち入る事はできません。それどころか、現場の中学校を大きく包み込む形で非常線が張られており、学校に隣接する区画全てが立ち入り禁止という、前代未聞の状況になっております。

 半数近くの遺体は既に収容されたとの事ですが、損傷の激しい遺体が多いため、確認に手間取っているという情報が入っています。

 現場に居合わせた学生達の中にはショックで記憶が抜け落ちているという人もいるという事で、事件当時の凄惨な状況を窺い知ることができます。

 犯人は一人。しかも素手でこれだけのことをやってのけたという目撃証言が殆どでしたが、はたしてそんなことが人間に可能なのでしょうか。


 犯人と見られる仮面の男の消息は、昨日の夜民家で一人の老婆を殺害した後、ぱったりと途絶えています。

 現場に居合わせた孫とその友人は警察に保護されていますが、昼間の事件現場となった入学式にも新入生として参加しており、今後の精神的なケアが重要視されます。」




 テレビは事件現場とスタジオを交互に映し出し、延々と同じ内容を報じていた。どの局も殆ど変わり無い内容で、明確に違う事と言えば出演者の外見と声程度であった。

 部屋に入ってくるなりテレビを消した刑事は、咥え煙草のまま二人の前に腰を下ろす。

 「どう?少しは落ち着いたかな?」

 エラムは頷くと、気に掛かっていることを刑事に尋ねた。

 「父は・・・父とは連絡取れましたか?」

 仮面をかぶっていたのは父かも知れない・・・最悪の想像が声をかすれさせ、エラムはギクリとしたが、刑事は消息の知れない父親を心配しているからだと思ったらしい。

 「残念ながら、まだ取れていないんだ。病院に運ばれている人も多いから、その中にいるのかも知れない。ところで、少し話を聞かせてもらいたいんだけどいいかな?」

 誠実そうな刑事の言葉に、二人は頷く。

 刑事は机を挟んだ反対側の席に腰掛けると、フィックスと名乗った。そして、申し訳無さそうな表情を浮かべながら口を開く。

 「その・・犯人の顔を君達は見たのかな?」

 精神的に強いショックを受けているであろう子供達に、詳しい話を聞く事は心の傷を広げることになりかねないと思っているのだろう・・・そうエラムは感じ、見たままを話す事にした。

 「いえ、犯人はずっと仮面を被っていましたから」

 「それはどんな仮面だった?」

 これにはか細い声でヒルダが答える。

 「生きてるような仮面・・・」

 「生きてるような?」

 「目は開くし、血管が・・・」

 「仮面の表面で、血管がドクドク言ってたんです」

 言葉に詰まったヒルダの後を、エラムが補足する。フィックスは首をかしげながらメモを取っていたが、そのような仮面は見たことも聞いたことも無いというように頭を掻く。

 「それと似たような仮面を、君達は見たことある?」

 ヒルダより少し遅れて、エラムは首を横に振った。

 懸念していることを言うと、父が疑われるような気がして否定したのだが、逆に怪しまれはしなかっただろうか・・・エラムは表情を隠すように俯いたが、扉の開く気配がしてすぐに顔を上げなおした。



 「今日はここまでにしよう。ヒルダさんのお母さんが迎えに来てるから帰っていい」

 無遠慮に入って来た男が言うと、フィックスが問いかける。

 「メイズさん、彼はどうするんです?」

 自分の事を言っているのだと気付いて、エラムはヒルダを見やる。

 母は半年前に他界。祖母を目の前で失い、最後の肉親である父は行方知れず。今朝方彼女を守ると心に決めたばかりなのに、身元引受人がいないエラムには帰る場所が無いのだ。近くにいなければ、ヒルダを守る事など出来るわけがない。

 爪が食い込む痛みを無力な自分への罰のように感じながら、エラムは両の拳を握り締める。ふと、その力が緩んだのは、フィックスの質問への答えをメイズと呼ばれた男がしたからだった。

 「ヒルダさんのお母さんが、エラム君の身柄も引き受けると言ってる。二人で帰りなさい」

 驚いてヒルダを見ると、目を丸くして自分を見ているヒルダと視線がぶつかった。


 二人が驚くのも無理は無い。

 ヒルダの母親であるヘレナは、エラムの亡母の遠縁でもある。しかし、エラムには露骨に冷たい態度を取る人だったからだ。他の友達には優しすぎるくらいであるのに、エラムにだけは嫌悪感を隠そうとしないのである。身体が触れそうになったとき、慌てて払いのけようとされた事もあった。

 最近では諦めてしまったが、ヒルダもそれが原因で、何度も母子喧嘩をしたものだ。理由も言わず、エラムを嫌う・・なのに遠ざけようとだけは決してしない。そのヘレナが何故?

 訝しがりながらもフィックスに促されるまま席を立つ。



 「ああ、エラム君。こんな時に言うのもなんだが、君のお父さんの会社は破産したよ。展示会にお父さんは現れないし、展示品の仮面も無かったことで信用を失ったらしい。俺も株を持ってたんだが、紙くずになってしまったな」

 エラムは全身から血の気が引くのを感じた。

 既に父に嫌疑が掛けられていることを、この男・・・恐らく彼も警察なのだろう・・・は宣告したのだ。

 「そ・・そうなんですか・・・きっと、しょうがないんでしょうね・・・」

 辛うじてこれだけ言うと、ヒルダを促して部屋の外に出る。様子を観察されているのはわかったが、視線を合わせるのは怖くてできなかった。


 「保護してくださって、ありがとうございました」

 振り返らずにそう言うと、婦人警官の案内に従って歩き出す。

 その背中を見送って、部屋に残った二人の男はゆっくりと息を吐いた。

 「聡い子だ」

 「ええ。自分の父親が疑われるだろうことに、最初から気付いていたんでしょう。父親を庇いたい一心でしょうか」

 「父親を庇おうとしている・・・それもあるだろうが、他にも何かを隠しているように見える」

 「他に?」

 メイズは後輩の思慮不足にため息をつく。

 「仮面だよ。展示する予定だったブツの写真を事件の目撃者に見せたら、ほぼ全員がコレだと言った。そもそも、普通の人間に、あんな真似ができると思うか?あの仮面には常識では考えられない何かがある」

 「そうなんですよねぇ・・・人間の身体を引きちぎったり、頭蓋ごと噛み千切ったり・・・あんな現場を見たのは初めてですよ。まるで人をミキサーにかけたような・・・」

 フィックスは胃から込み上げてくるものを我慢しようと、口元を押さえた。昨日の昼間から今まで、もう何度食事を戻したか解らない。

 「あんな現場を見たことのあるヤツがいるものか。どんなカラクリかはワカランが、素手で人間を解体する化け物がうろついているんだ。最悪の場合、パニックから暴動まで発展しかねん」

 フィックスは頷く。

 「エラムに24時間体勢の監視をつけろ。父親が会いに現れるかも知れん」

 「了解です。もし発見した場合の指示はどうしましょう。取り押さえますか?」

 メイズは再び深いため息をつくと、フィックスの頭を軽くこづいた。

 「猿並みの運動神経・・・」

 「は?」

 「マウンテンゴリラ並みの腕力に、ライオン並みの顎を持った化け物をどうやって取り押さえる気だ?体力は象並みかも知れんぞ?」

 「え、ええと・・・」

 メイズは自分を奮い立たせるように首を鳴らして言い放った。

 「俺が責任を持つ。構わんから発見次第、隙を突いて射殺しろ。『決して正面からことを構えるな』と通達するのを忘れるな」

 直立して敬礼を返し、部屋を飛び出して行くフィックスを見送って、メイズは一人呟いた。

 「人はやり過ぎだと思うだろうな・・・だが、これでも足りんくらいだ」

 メイズは椅子に腰掛けて足を組む。はずみで左足がテーブルの脚に当たり、甲高い金属音を響かせた。


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ええと・・・約二年間ほったらかしにしてました...orz

読んでくれてた方ごめんなさいです。

もう誰も覚えて無いような気がしますが、今年は真面目に更新して行きたいと思っておりますです。






これ以前の話は↓のリンクからどうぞですm(_ _)m


プロローグ『過去と現在と』

  第一話『復活祭①』

       『復活祭②』




___________________________________________



祖母の遺体と共に警官隊によって保護されたエラム達は、警察署の取調室をあてがわれて一夜を過ごした。

自分の腕にしがみついたまま寝てしまったヒルダを仰向けに寝かせ、職員から借りた毛布をかけてやる。

エラムも精神的にも肉体的にも限界まで疲れ果てていたが、とても眠る気にはなれない。

学校での惨劇後、連絡の取れない父親の代わりに迎えに来た祖母が、自分に何かを言おうとしていたことは覚えている。

だが、仮面の男の凶行によって祖母は永遠に口をつぐみ、伝えようとしていた「何か」は謎のまま残った。



やはりあの仮面を被っているのは父なのだろうか・・・

微塵も信じていなかった言い伝えの呪いが、父を絡め取っ手しまったのだろうか・・・

いいや、そんなはずは無い。そんな馬鹿げたこと・・・

では、今日自分が経験した出来事は、普段なら馬鹿げた妄想だと笑い飛ばされるような事ではないのか・・・

混乱した思考は、幾度となく似たようなループを描き続ける。

それでもエラムは考えるのをやめることができないでいた。



仮面の男は祖母の家で「花嫁はまだ幼い」と言わなかったか・・・自分に「花嫁の身柄を預ける」と・・・

彼が知っている言い伝えでは、『エムデンは恋人と永遠を生きるために自らを呪い、不死の魔物になった。決して仮面を被ってはいけない。エムデンの呪いは仮面を通してそなたを襲うであろう』とあった。

あの醜悪な仮面はエムデンそのものなのか・・・

そのエムデンが言う花嫁とは、ヒルダの事を現しているとしか思えない。あの場には自分とヒルダ、祖母の三人しかいなかったのだから。

「ヒルダはエムデンの恋人の生まれ変わり・・・?」

輪廻転生などという言葉をエラムはこれまで信じた事が無かったが、これだけ奇想天外な体験を強いられた後では信じたくもなってくる。いや、今までの自分が想像しなかったことや、どんなに残酷なことさえも受け入れなければ、もっと悪いことが降りかかってきそうな気がしてならないそう言った方が正しいのかも知れない。



もしもエムデンに連れ去られてしまったら、ヒルダはどんなおぞましいものを見る事になるのだろうか・・・あれだけの事をやってのける魔物だ。きっと想像もできないようなものをヒルダに見せるに違いない。

それがどういうものなのか、エラムは具体的に予想できるほど経験を重ねてはいなかったが、それでも強くなろうと心に決めたのだった。

静かな寝息をたてるヒルダを、見つめて優しくつぶやく。

「絶対に僕が守るから・・・」
結局エラムが眠りに付くことが出来たのは、東の空が白んでくる頃であった。



爆発的に加速したエラムの運命は、周囲の全てを巻き込む勢いで暴走を始めていた・・・


テーマ:

『復活祭②』をお届けします。

今回は仮面の独壇場ですので、残酷シーンが駄目だという方は、絶対に読んではいけまんよ!

正直言って、ファンタスティックホラーというよりはスプラッタと化しております..._| ̄|○



これ以前の話は↓のリンクからどうぞですm(_ _)m

プロローグ『過去と現在と』

  第一話『復活祭①』














 ゾブリ・・・


 形容し難い音が講堂に響き渡る。
 仮面の男を下からねめつける為にかがんだ男性教諭の、顔の上半分が無くなっていた。
 その場にいた誰もが、たった今目撃した光景をすぐには理解できない。それ故訪れた、重苦しい一瞬の沈黙。
 講堂の正面近くにいた婦人数名が卒倒し、一人の男子生徒が呟いた。

 「く・・食った?」
 それはとても小さな声だったにもかかわらず講堂全体に響き渡り、我が目を疑っていた全ての者達に、これは現実に起こった出来事であると認識させて行くのだった。
 そう、仮面に意匠されたものであるはずの口が大きく開き、男性教諭の顔を食いちぎったのである。
 誰もが自分は悪夢の中にいると信じようとしていたに違いない。男性教諭の鮮血に染まった男はホラー映画の撮影から抜け出して来たようで、あまりにも真実味に乏しかったからである。
 「クク・・クカカカカカ・・・」
 仮面の男はかすれた笑いを響かせて、立ったままゆらゆらしていた男性教諭の首を掴んだ。そのまま野球のバットを握っているかのように軽々と打ち振るうと、スイカを割った時の様な音を響かせて、近くにいた数人が跳ね飛ばされる。

 「我が復活を、共に祝うがよい・・・」
 それはぎりぎりまで圧縮されていた恐怖に、大爆発を引き起こす引き金となった。


 除いた殆どの者が必死の形相で、ある一定の方向へと走り出す。その先にあるのは、講堂の側面に設置された小さな扉。
 誰もが他人を顧みる余裕を失っていた。気を失って倒れていた者は、数え切れない程の足によって血みどろの肉塊と化す。
 突き飛ばされたり足をもつれさせた者も、一瞬にしてその後を追う事になった。
 「早く・・・」
 引きつった声を出しながら、ヒルダの手をしっかりと握ったエラムも慌てて走り出す。2人は後から来た者から突き飛ばされるようにして、廊下へと転がり出した。

 講堂の中では意味不明な叫びや怒声、我が子を呼ぶ男女の声、罵声、泣き叫ぶ声などに混じって、幾つもの絶叫が響き渡る。それらは、新たな被害者の断末魔の声であった。
 「みなさん落ち着いて下さい!」
 気丈にもパニックを沈静化しようと必死に呼びかけた女教師が、別の男性教諭から無理やり引き倒され、壁に頭をぶつけて昏倒する。

 その男性教諭は後ろから来た者に押されて転び、声を上げることすら出来ずに息絶えた。


 何とか廊下に出る事ができたエラム達だったが、すぐには外を目指さなかった。パニックに支配された者達と同じ方向へ移動するのが恐ろしいと感じていたからである。

 その判断が正しかった事は、講堂内と同じ惨劇が廊下でも繰り広げられた事で証明されたのだった。

 平和な街の平和な学校は、いまや地上に出現した地獄そのものの様相を呈している。

 エラム達は混乱に巻き込まれないよう、人の流れの反対側にある廊下の壁に背を預けていた。その眼前を、恐怖に彩られた傷だらけの顔が凄まじい勢いで駆け抜けていく。彼らが一様に目指しているのは、一階へと向かう下り階段であった。

「みんな!気をつけて行かないと・・・」

 何が起こるか気付いたヒルダが最後まで言い終える前に、階段では地鳴りのような音と共に将棋倒しが発生していた。

「ああ・・」

 両手で顔を押さえるヒルダを抱きしめると、エラムはゆっくりと歩き始めた。ようやく人の流れが緩やかになったからである。しかし、今歩いているのはエラム達のように混乱を避けたわけではなく、負傷して走れないだけの者達だった。


エラムは扉の前で出会った女教師に肩を貸すと、講堂の中を伺いながら扉の前を通り過ぎる。

仮面の男は全身を返り血で赤く染め上げ、まるで長いパンのように、千切れた脚を口元に運んでいるところだった。

 あまりのおぞましさに全身の毛が逆立つのを感じて、エラムは眼を逸らす。だが、そのせいで彼は見逃してしまったのだった。彼の横顔を、仮面の赤い眼が凝視していたのを・・・である。


 
 エラム達は下り階段を目指しながら、何度も後ろを伺わずにいられなかった。 絶叫の間隔が減ったのは、仮面の男が被害者達をゆっくり喰らっているからに他ならないと思ったのである。彼らにそれを確認する勇気は無かったが、紛れも無い事実であった。


 仮面の男はそれまで、哀れな犠牲者達の血肉を堪能していたが、胃袋が満たされると、ある目的を持ってゆっくりと走り出す。その目的とは、史上最悪の『腹ごなしの運動』であった。

 必死に逃げようと折れた足を引き摺っている男を蹴り飛ばすと、近くにいた女の脚を払って転がし、首を踏み抜く。徐々に速度を上げながら次の標的に肉薄する。誰もが同じ方向に逃げ出していた為、仮面の男は自然とエラム達を追いかける形になっていた。


 絶叫の間隔が急に短くなった事で反射的に後ろを振り返ったエラム達は、仮面の男から蹴りを受けた男子生徒がガラスを突き破って落ちて行く姿を見た。あの奇怪な笑い声と共に殺戮者が姿を現すと、流石のエラムも慌てて走り出す。

 「先に逃げなさい!」

 叫ぶ女教師に一瞬気を取られて、もう一度後ろを振り返ったとき、エラムの眼前には醜悪な造詣の仮面があった。

 表面に血管のようなものが脈打ってはいたものの、それは紛れも無くエラムがよく見知っている仮面だった。しかし、あれは数刻前父親に貸し出したはず・・・

 「エムデンの仮面・・・どうしてここに・・・」
 呆然とつぶやいたエラムは、女教師が上げる血煙と、自分に向けて伸ばされた腕を避けようとして足をもつれさせ、ヒルダもろともその場に倒れ込む。

 だが、それは結果的にエラム達の身を護ることになっていた。

 『エムデンの仮面』と呼ばれたモノを着けた者は、禍々しい風となって、彼らの頭上を飛び越えて行ったからである。

 エラムに向けて伸ばされた手は、彼の代わりに前を走っていた男子生徒の体を引っ掛けて行った。その血を頭からかぶって、ヒルダが大きな悲鳴を上げる。

 「ひぁぁぁぁ!」

 その口を慌てて塞ぎ、エラムはそのまま動きを止めた。

 「静かに・・・まだ近くにいると思うから」

 押し殺した声に、涙目でヒルダは頷く。

 倒れ伏していた二人は気付かなかったが、エラム達を冷静に見つめる目があった。

 赤い双眸・・・仮面の男である。

 『それ』は満足気に頷くと、低い笑い声を漏らしつつ新たな犠牲者を求めて駆け去って行くのだった。



 約一時間後・・・突入してきた警官隊は、折り重なって倒れた生徒達の亡骸の下で、恐怖に震える二人を発見する事になる。

 しかし、仮面の男の姿を発見することは、ついに出来なかったのである。


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お待たせしました。『復活祭①』をお届けしますm(_ _)m
この話は私が見た夢を元に書いていますが、多少の脚色は施してあります。

プロローグの英雄譚とネーミングは、完全に後からくっつけたものだったりするとです(^ω^;)
これ以外にも脚色した部分があるんですが、全部ばらすと面白くないので、このくらいで留めておく事にしますね♪





プロローグが未読の方は→『過去と現在と 』 からどうぞです














震える指を叱咤して、エラムは電話機に手を伸ばす。
60年前のものだと、骨董好きの祖母が自慢していた品である。
当の祖母はというと、いつもの腰掛けに無残な姿を晒していた。

「もしもし・・・警察ですか?」
声が震えたのは、体に残った恐怖が去りきっていないからだ。
始めは疲れきった様子でいい加減な対応をしていた電話オペレーターだったが、状況を話すとすぐに警官を派遣してくれると約束してくれた。
受話器を置くと、エラムはゆっくりとヒルダの元に歩み寄る。
彼女はまだ放心状態から抜け出せておらず、その瞳は何も無い空間を映し出していた。
抜け殻のようなヒルダを何とか立たせると、エラムは隣室へ向かいながら呟いた。
「どうして・・・どうしてこんな事に・・・」


 この日の朝、エラムは何とも言えない気だるさと共に目を覚ました。半年前に他界した母より受け継いだ物を、父親に貸し出す約束をしていたからだ。それは母の家系に古来より伝わる品で、歴史的に大きな価値があるにも関わらず、その存在を秘密にされて来た物であった。
これを衆目に晒す行為は、先祖への不敬であり、呪われると言い伝えられて来たからである。




 「これ、絶対に身に付けちゃいけないらしいよ。もし見に付けたら、ご先祖様の呪いを受けるんだって」
 エラムは不思議な文様の刻まれた箱を手渡しながら、冗談交じりに父親に語ったのだった。
 「エラム、お前まさか本気でそんな話を信じてるわけじゃないだろ?」
 エラムの頭を優しく撫でる、父親の大きな手が心地良い。
 「当たり前じゃん。呪いなんてナンセンスだね。大昔の王様じゃないんだから」
 無邪気に笑うエラムに、父親は申し訳無さそうな微笑を向ける。
 「すまないな。展示が済んだら、すぐに入学式に行くよ。会社の経営がもうちょっとうまく行けば、こんな事をする必要は無かったんだが・・・」
 「それは言わない約束でしょ?使える物はちゃんと使わなきゃね♪」
 そう言い残すと、エラムは真新しいカバンをかたから下げて家を出た。

 高層ビルの窓が朝の光を反射して、オペラの主役のように彼を照らし出す。エラムはそこに立って、幼馴染のヒルダを待つのが好きだった。
勿論それ以上に彼女の事が好きだったのだが、いまだに想いを伝えきれずにいる。この時間だけのスポットライトは、そんな彼の気持ちを後押ししてくれるような気がするのであった。まあ、結局いつも大事な一言を言えないまま、学校に着いてしまうのだが。

 ほどなくしてヒルダの姿が街角に現れると、エラムは軽く手を振って彼女が自分の所に駆け寄って来るのを待つ。
 しかし、ヒルダが辿り着く直前に、スポットライトはなにものかによって遮られてしまった。不満そうに上空を見上げた二人の目に、巨大な垂れ幕が映し出される。
 「残念。スポットライトに入るみたいで、私好きなのにな~」
 「僕もそう思ってたんだよ。ホントに嫌な垂れ幕だな」
 お互いに同じ感想を持った事を内心喜びつつ、2人は新しい学び舎へ向けて第一歩を踏み出す。

 朝の光を遮った垂れ幕では、『英雄エムデンの仮面初公開!』という赤字の宣伝文句が踊り狂っていた・・・。




 それから一時間後・・・
 中学校の講堂は、新入生とその親で埋め尽くされていた。
 割と緩い校風らしく、生徒の好きな椅子を選んで座る事は出来たのだが、校長や来賓の挨拶がやたらと長い。ヒルダ以外にも小学校からの友人が15名程いるのだが、そのうちの半分はこっくりと居眠りをこいているような有様だった。
 エラム自身も列の端っこで大きなあくびをかみ殺し、隣のヒルダに苦笑いしてみせる。その時だった。

 身体の背面にある全ての毛穴からどろどろとした何かが侵入してくるような、強烈な悪寒に襲われたエラムは、思わず呻き声を上げた。
前かがみになりながら周囲を見回すが、誰一人として今の感覚を共有した者はいないようである。
 「エラム、どうしたの?」
 エラムの様子に気付いたヒルダが様子を伺おうと前かがみになった瞬間、重い音と共に閉じられていた講堂の正面扉が押し開けられる。
 全ての者を振り向かせるような存在感。引き寄せられるようにして全ての目が振り返る。
 そのどれもが始めは神妙な表情をしていたのだが、やがてあちらこちらから笑いに変わって行った。
 たった今講堂に入ってきた男が、珍妙な仮面をかぶっていたからである。白っぽい材質で造られた仮面には黒い蛇の文様が彫り込まれ、その上に大きなお札が貼り付けられている。全ての仮面に必ず開けられているはずの目穴は存在せず、見事に表現された両目は硬く閉じられている状態であった。

 「アンタは何をふざけているのかね?厳粛なる入学式にこんなお面で来るなんて」
 大きな体躯をした教諭が男に詰め寄ると、仮面に貼り付けられたお札を腹立たしそうにむしり取った。
 「頭がおかしいんだから、銃でも持ち込んでるんじゃない?」
 ある女子生徒が不安げに囁くが、しかし、仮面の男は動かない。静かにそのまぶたを開き、真紅の瞳で男性教諭を見つめただけである。いや、正確に言うと、開かれた双眸は男のものではなく、仮面に意匠された『それ』であった。
 「よく出来てるな~。あれってどうなってんの?」
 「何だか気持ち悪いわね」
 そういった囁きが交わされる中、エラムは静かにヒルダの手を握って、ゆっくりと移動を始めた。
 これから何が起こるのかを理解したワケではなかったが、あの仮面に強い恐怖を感じていたからである。
 「ねえ、どこに行くの?」
 不安を隠せないでいるヒルダを連れて、仮面の男から身を隠すようにして講堂の横にある扉を目指す。
 「判らない。でも、アレは危ないよ。何となくだけど、すぐ逃げられるようにしておかなきゃいけない気がするんだ」
 実はヒルダも、エラムと同じように漠然とした恐怖を感じ取っていたのだが、どうすれば良いのか判断出来ないでいたのである。だから、確信を持っているように見えるエラムに黙って従うしかなかった。

 扉の近くに辿り着いた時、エラムは講堂内の空気が明らかに凍て付いた事を理解した。小さな悲鳴があちこちから聞こえ、重い沈黙がその場を支配する。
 そして数秒後。沈黙は圧縮された恐怖となって、大爆発を起こしたのである・・・

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この小説は、私が実際に夢で見た物語です。
一番軽いものなので、手始めに書いて行く事にします。
ちなみに、思いっきりファンタジーだったりします。

物語の内容上、それなりにエグイ表現が出てくる事がありますが、それでも良いという方のみ、自己責任で読んでやって下さいm(_ _|||)m

















 ここは現代の地球に良く似た世界。
 近代的な町並みと懐古主義的な町並みが混在する都カストゥーリア。
 地球上全ての国と同じように、ここにも一つの英雄譚が語り継がれていた・・・


―150年前―
 カストゥーリアは、地上で最も栄えている都市国家のひとつであった。
 最先端の技術を用いて作られた武器は他国の軍を圧倒し、広大な版図をこの国にもたらしていた。
 交通の要衝に建設された都には異国の文化が集積され、全ての国民がその富を貪る事が許されていた。
 そう・・・『国民は』である。


 光あるところには必ず影となるものが存在するが、この国に関して言えば、それは平民の下に位置づけられた奴隷達のことを指す。
 不夜城と称えられる程の明かりは電気によって賄われていたが、それは奴隷達が日夜動力を動かし続ける事を強いられたからである。
 彼らの出自は、未開の地から連れてこられた者もあれば、戦争で捕虜になった者。戦敗国から連れ去られて来た者まで様々だった。

 奴隷の扱いは非人道的なものが多く、強制労働によって命を落とした者は野山に打ち捨てられ、物言わぬ獣達の胃袋に収まるのが常であった。
 力仕事の出来ない女子供は性の慰み者として扱われ、気が触れた者は前者と同じ末路を辿る。
 人が人として扱われなかったこの時代を、後世の者達が『狂楽の時代』と呼ぶ所以であった。


 しかし、そんな奴隷達の中に、エムデンと言う誇り高い男がいた。
彼は最強の名を欲しいままにした剣闘士で、身の丈190cmを越す美丈夫であった。滅ぼされた国の王子だという説もあるが、本人が何も語らなかった為、真実は誰にも解らない。顔に蛇、胸には鷲など、均整の取れた肉体には幾つもの動物をかたどった刺青が彫られていたが、それらは戦勝を祝う彼の主人によって、強制的に押し付けられたものである。
 勝利を掴む度に加えられる、激痛と屈辱に耐えながら、彼は勝利を掴み続けた。ただ生きる為ではなく、ある目的を実行に移す為に。

 彼は、決して対戦相手を殺さなかった。
 殺さずとも、戦闘力を失った剣闘奴隷は野山に捨てられる事を知っていたからである。しかし、それは町の外に潜んだ彼の部下達が、瀕死で討ち捨てられた対戦相手の命を救っているという、絶対の自信を持っていたからでもあった。


 こうやって増やした部下が200人に達した頃、ついにエムデンは決起する。
 地下水路から潜入した部下達は、まず奴隷小屋を打ち壊し、町に火をかけながら中心部を目指した。屈強な剣闘士を先頭に、解放された奴隷達が鋤や鍬を持って続く。武器になりそうなものを持たない者は、自らを拘束していた鋼鉄の鎖を武器に、圧制者達に牙を剥いた。

 当時のカストゥーリアには20万の市民が住んでいたが、奴隷の数はその3倍を軽く超えていた。膨れ上がる反乱軍によって軍の詰め所が襲撃され、組織だった反攻も出来ぬまま、兵士達はただの肉塊へとその姿を変えていく。
 闘技場の雄として市民にも人気のあったエムデンは、対戦相手を数刻前の主人達に変えて、その力を十二分に見せ付ける事となったのである。彼の武勇は『其は人の姿をした竜巻に他ならず。全てを薙ぎ倒し、全てを灰燼に帰せしめん』と、当時の歴史書に記されている程だ。

かつて主人であった者達は骸と化し、僅かな生き残りは鎖につながれることになった。完全に主従が入れ替わったのである。
この後もカストゥーリアは、幾多の戦乱によって主を変え、姿を変えて、現代に到るのである。


 さて、一つの偉業を成し遂げたエムデンであったが、最大の功労者であるにも関わらず、歴史からその姿を消していた。
 歴史家によっては『戦勝後の権力争いに敗れて都を去ったのだ』と言い、また別の歴史家は『最初から存在しない英雄だったのだ』とも言う。諸説入り混じり、彼の出自と同じく、真実は闇の中に包み隠されているのであった。




―そして現代―


 大粒の雨が石畳を打つ。その音を遠くに聞きながら、少年は祖母の話に耳を傾けていた。 滑らかな栗色の髪は短く刈り揃えられ、くりくりとした大きな瞳は青灰色をしている。目鼻立ちの整った愛らしい顔をしているが、その表情は恐怖に彩られている。
 部屋の中にはもう一人少女が座し、少年と同じように恐怖に凍った瞳で、友人の老婆を見つめていた。赤銅色の肌に黒い瞳。流れるような長い髪は、黒曜石を溶かし込んだように艶やかだ。
 少年の名はエラム、少女の名はヒルダと言う。
 ともに12歳で、カストゥーリア市立中学に、今朝入学したばかりである。


 「二人とも良くお聞き」
 暫くの沈黙の後、老婆が重い口を開いた瞬間、エラムは異様な気配を感じて天井を振り仰いだ。黒い大きなものが、高い天井に張り付いているのが彼の瞳に映る。
 「あれは・・・」
 「エラム、あんたの父親は・・・」
 二人の声が重なるのと、天井に張り付いていた何かが重力に身を任せて落ちて来たのは、一体どちらが先だったろう。
 エラムは無意識に老婆とヒルダの間に身体を割り込ませ、落ちてきた何かは老婆の背後に地響きを立てて降り立った。

 「!!」
 次の瞬間、エラムは見た。
 驚いて振り向こうとした祖母の頭が、稲穂のように刈り取られる瞬間を・・・
 赤い間欠泉が驚くほどの高さまで吹き上がり、床を打ってビシャビシャと嫌な音を響かせる。
 「真実を知る者は、これでもうおらぬ」
 地の底から響くような声が、黒い影から漏れる。
 「く・・来るな」
 辛うじて搾り出した声は、低い嘲笑によって遮られた。
 「この状況で声が出せるか・・・子供にしてはなかなかの胆力よ」
 遠くで起こった稲光が室内を明るく照らし出し、黒い影の姿を一瞬だけ浮き上がらせる。
 『それ』は黒いスーツを着込んでいたが、顔には奇妙な仮面がはめられていた。それも、ただの仮面ではなく、表面に血管のようなものが脈打つ不気味なものである。
 「ひっ・・」
 老婆の哀れな姿と仮面の恐ろしさに、ヒルダが小さな悲鳴を上げた。
 大切な友人を背後に庇うと、エラムは萎えそうになる気力を奮い立たせて、必死に相手を睨み付ける。
 「それでこそ騎士に相応しい。このような醜い姿では祝儀も出来ぬ。花嫁も幼い故、我が迎えに来るまでその身柄、そなたに預ける」
 エラムには、仮面の目に当たる部分から、赤い光が迸っているように見えた。
 何かを言おうとしても声が出ない。
 そうして睨みあっている間に、二度目の雷光が部屋を眩しく照らした。即座に轟音が響き渡る。


 あまりの眩しさに、手で一瞬目を覆ったエラムだったが、視力を回復した彼が周囲を見渡したのは、仮面の男の姿は完全に掻き消えた後であった。

 夢であって欲しいと願うエラムに、首を失った老婆が残酷な現実を突きつける。
 二人は声を失って、暫くの間動く事が出来なかった。
 雨がその強さを増すのと引き換えに、雷鳴はゆっくりと遠ざかって行く。
 エラムに出来る事は、まだ頼りない手を握り締める事だけであった。

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