日本のトップリーグに初めて選手登録した外国籍のサッカー選手は、1967年に来日しヤンマーディーゼルサッカー部で背番号「8」を背負った日系ブラジル人、ネルソン吉村だ。

 

ボールタッチの柔らかさが、まるで吉本新喜劇の池乃めだかの形態模写のごとく(それはネルソンに失礼?いや、めだか師匠の芸も世界に誇れる名人芸だと思うから失礼ではないだろう)ネコがボールとじゃれ合う姿に似ていたことから「ネコ」の愛称が付いたネルソンは、釜本邦茂との黄金コンビで得点を量産。日本国籍を取得し「吉村大志郎」の登録名で日本代表の背番号「10」も背負った。

 

この歴史は変えようがない。ネルソン吉村がジョージ・ベストやヨハン・クライフと並ぶくらいのヒーローだったサッカー少年時代を過ごした僕は、ヤンマーの試合が観たくて広島県北部の田舎町から大阪に移り住み、ヤンマーを前身とするセレッソ大阪のこともクラブ創設以来、応援し続けているので、「大阪ダービー」でガンバ大阪のサポーターが「♪俺たちがオオサカさ~青と黒~俺らだけ~」とチャントを歌うのを聞いても「エエよ。ホンマは吹田やけどキミらがオオサカでも」と思ってしまう。僕らは世界を見つめているからだ。

 

日本代表がワールドカップに出場するなんて「夢のまた夢」だった時代、ワールドカップ優勝というとんでもない夢に向かって歩き始める第一歩として、ネルソンははるばる地球の裏側から大阪にやってきてくれた。そんな風に感じている僕は、その大いなる意志を受け継いでいくことがセレッソ大阪というクラブの存在意義だと確信している。

 

ヤンマーの監督に就任したネルソンは小柄で評価も高くなかった森島寛晃の獲得を熱望。モリシは「生命力を燃やすような」プレーでネルソンの期待に応え、クラブがセレッソ大阪と名前を変えてからも、ネルソンから継承したセレッソの背番号「8」に特別な意味を持たせるほどの活躍を見せた。

 

そのモリシとJリーグで素晴らしいペアプレーを見せていたセレッソの背番号「9」西澤明訓が世界を驚かせたのが2000年6月4日。モロッコで開催されたハッサン2世杯の「フランス代表vs日本代表」戦だった。先発したモリシと西澤は「阿吽の呼吸」の連係プレーで1998年のワールドカップで優勝したフランス代表の守備陣を翻弄。前半34分にモリシが先制点を奪い、後半25分には西澤がスーパーボレーを叩き込んで当時の世界王者を追い詰めたのだ。

 

結果は同点に追いつかれてPK戦で敗れたが、日本人選手のペアプレーが世界に通用することを示した貴重な一戦となった。モリシの動きを捉まえきれなかったフランスのDFマルセル・デサイーが試合中にイラ立ちのあまり「地中海に沈めてやる!」と怒鳴って詰め寄ってくるくらい、この日のモリシ(と西澤)はキレキレで、世界を見つめる僕たちセレサポも観ていて心が震えっぱなしだった。

その12年後、2012年10月12日。フランスサッカーの聖地サンドニスタジアムで行われたテストマッチ「フランス代表vs日本代表」戦では、かつてセレッソの魂の背番号「8」を付けて活躍し2010年にボルシア・ドルトムントに移籍、この年からマンチェスター・ユナイテッドに移籍していた香川真司と、シンジから背番号「8」を継承したのちセレッソからニュルンベルグに移籍していた清武弘嗣が先発出場。前年、セレッソからボーフムへと移籍していた乾貴士が後半に交代出場し、セレッソトリオがピッチに並んでからチームの躍動感が増した。決勝点は後半終了間際。速攻からシンジがゴールを決めたのだ。日本代表がアウエーで対フランス戦に初勝利。そのピッチにネルソンの遺伝子を受け継ぐ選手が3人も立っていたことに、僕が大いに感激したのは言うまでもない。このときシンジは、かつてネルソンが背負った日本代表のエースナンバー背番号「10」を背負っていた。

 

だから、昨日の日本代表のテストマッチ、オランダで行われたカメルーンとの試合で、セレッソユース出身の南野拓実が初めて背番号「10」を背負っていたのが、とても感慨深く、2年前のロシアワールドカップの「日本代表vsベルギー代表」戦を思い出してしまった。ベルギー戦ではセレッソから世界に羽ばたいた2人、背番号「10」香川真司と、背番号「14」乾貴士(そういえば乾は去年、日本代表で背番号「10」を付けていた)が躍動。アディショナルタイムに伝説的なカウンター攻撃を喰らって敗れ去ったが、日本が世界のサッカー先進国に追いつける可能性を感じさせてくれた。

そして、試合が終わったあと中継画面に映し出されたのがこの映像。

号泣する女性サポーターが被っているのは、わが家にもある「なりきりロビーキャップ」だった。ロビーとはセレッソ大阪のチームキャラクターで、本名を「ノブレ・バリエンテ・アッチェ・ロビート・デ・セレッソ」という。スペイン語で「高貴で勇敢な、由緒あるセレッソ家のオオカミ息子」という意味。はるかロシアの地で、ネルソンの遺伝子を受け継ぐオオカミの息子たちの勇敢な戦いぶりを、しっかりと見届けてくれていたセレッソサポーターがいたことに、僕の涙腺は崩壊した。

 

彼女は多分、ネルソン吉村のことは知らないと思う。でも、ネルソンの背番号「8」をルーツとするセレッソの魂の熱さは知っているはず。スタジアムでオオカミの息子たちが見せる「魂のプレー」に声援を送り続けている「高貴で勇敢な、由緒あるセレッソ家」の一員だ。世界を見つめる僕らセレサポの代表として、コロナ禍を乗り越えた(はずの)2022年のドバイワールドカップのスタジアムにも足を運んでくれるのではないだろうか(ロシアワールドカップ以降も、日本代表のアウエー戦の中継で「なりきりロビーキャップ」を被った彼女の姿を目にしたので)。

 

そういう「世界を見つめている」目線で見ると、昨日の南野のプレーは「まだまだ完成途上」を思わせた。まぁ、コロナ禍にありながら代表の強化を計りましたという「言い訳」のようなテストマッチだから、昨日のカメルーン戦のことをアレコレ論じることにあまり意味はない。それよりも13日のテストマッチ、対コートジボワール戦だ。南野が、ドバイワールドカップでも背番号「10」を背負えるくらいの、そして現在所属しているリバプールにとって欠かせない選手となるくらいの、「さすがは世界を見つめているセレッソ大阪出身」と観ていてワクワク出来るようなプレーを期待したい。タクミなら出来るはずだ。

 

【本日の夢の風予想】

 

今日からJRAでも観客を入れての競馬が再開された。僕も久しぶりにウインズに馬券を買いに行こうかと思ったが、台風の影響で京都も東京も馬場状態が読めない。馬券の購入は自重。予想したレースの指数と印をデータとして載せておくだけにする。

 

新潟7R

◎レオハイセンス(23)○ローズオブシャロン(20)▲ケイティディライト(19)☆クリッパークラス(16)壱 アングレーム(16)弐 ロナ(16)参 ヒメサマ(15)四 シシリエンヌ(15)

 

東京7R

◎ジェロボーム(17)○ルトロヴァイユ(14)▲アドアステラ(14)☆ワンダーマンボ(13)壱 ガルチッチャ(12)弐 マクルーバ(10)参 ヒートライトニング(10)四 フレンドアリス(10)

 

東京8R

◎グルアーブ(28)○シーシーサザン(26)▲メルテッドハニー(26)☆タイドオーバー(25)壱 デトロイトテソーロ(25)弐 メデタシメデタシ(23)参 シュルルヴァン(22)四 スウィートメリナ(22)

 

東京10R

◎ブランクチェック(43)○トラストロン(31)▲オンザロックス(28)☆グローリーグローリ(28)壱 ゲンパチルシファー(25)弐 イッツリット(22)参 グランソヴァール(21)四 ヴァイトブリック(21)

 

京都11R「オパールS」OP・L 1200m芝

◎ケープコッド(29)○ヤマカツマーメイド(28)▲メジェールスー(27)☆リバティハイツ(26)壱 カツジ(24)弐 アマルフィコースト(23)参 プリディカメント(23)四 レジェーロ(23)

 

京都12R

◎ハギノリュクス(31)○スマートアリエル(31)▲ジョウショーリード(24)☆リネンファッション(21)壱 メリッサーニ(17)弐 ムーンザムーン(16)参 バラーディスト(14)四 ヘイセイラスト(13)

 

東京12R

◎オーロラテソーロ(34)○スリーグランド(33)▲レッチェバロック(32)☆セイヴァリアント(31)壱 シセイタケル(28)弐 コマノゼニト(25)参 オルクリスト(22)四 ホッコーライデン(21)