「うーん、こうなったら行けるところまで行くしかないか……」
この時、実に帰国予定の前日だった。
「大丈夫、国際便は必ず飛ぶ、信じておれば飛ぶじゃろう。世の中はそんなもんじゃ」
ビリーが呪文のように唱えた。
「気をつけてね。なにかあればすぐに帰ってくるのよ。ここがあなたたちの家なのだから」
オルータは不安そうな表情を浮かべた。
「じゃ、みんな忘れ物ないな」
ぼくは言い、最後に各部屋を見て回った。
確認が終わるとビリーとオルータと握手をし、全員モーターボートに乗り込んだ。
アダチは名残惜しそうにJJと黒猫を見つめた。二匹とも別れであることに感づいたのか寂しそうな表情を浮かべていた。
左からぼく、エミリ、アダチ、アミ、モニカ。アダコアを発つ直前(マライタ州アダコア 2000年)