こうしてアウキでの日々は静かに、穏やかに過ぎていった。
ぼくは町を歩き回り、多くの友達を作ることができた。彼らはぼくを家に招待し、ごちそうを振る舞ってくれたりした。
そうする中でぼくはソロモン、特にマライタの文化や風習を理解するようになっていった。
肝心のイルカとは縁のない生活ではあったが、それでもアウキでの滞在は刺激に満ちてとても楽しいものだった。
そして船で置き去りにされてから二週間が経った。ついに待ちわびていたビリーからの知らせが届いた。
まず返事が遅れたのはマラリアにかかってしまったからだということだった。
次に一週間後にこの島の反対側にある船着き場まで来てくれ、そこでおまえさんを待っとるとあり、日時が指定されてあった。
「やった!」
ぼくはガッツポーズした。これでやっとイルカに会える。
そもそもそれこそがぼくの本来の目的だった。
アウキはのどかな町だった(マライタ州アウキ)