今夜は今年最後の満月。
その名も「コールドムーン」
わりと高い位置なんだよね。
山の中の工場では、風景がはっきりわかるほど明るい月明かりでしたよ。
家に帰ると、街灯りの方が明るいから空を見上げることも無いけれど、仕事が終わって街燈の一つもない山の中の工場では、本当に月や星を見上げることが多いのよ。
私が生まれた家は田んぼに囲まれていて、ポツンポツンと近所のお家があって、60年以上前だから街燈なんて無い。
横断歩道はあっても信号機は無くて、夜は真っ暗。人や車の通ることも無し。
だから月明かりがとても深く記憶に残っています。
冬場、鼻風邪ひいて鼻が詰まって眠れないとき、
必ず隣で寝ている父が、私をおぶって外へ連れていってくれるの。
冷たい夜風で鼻が通ると、そのままお布団へ寝かせてくれる。
幼い私は、いつも父に聞いていた事があって、
「父ちゃん、どうしてお月さんがついてくるん?どっちへ行ってもどっちを向いてもお月さんがついて来よるよ。」
(これくらいの方言は、わかりますよね。)
父は口数の多い方では無いけれど、
「なんでやろ、はよ治れよ、って見よるんじゃないけ。鼻が詰まったのは治ったか?ほんなら帰って寝るけ。」
と、裏口から布団の所まで連れてってくれるの。
鼻詰まりって、通ってもすぐまた詰まるのよね。そうしたら父は、私が眠るまで背中をさすってくれるの。ずーっと。
優しい父でした。大好きな人でした。
今夜の月は、そんな昔を思い出す、懐かしい感じのする月でした。
あの月より、もっともっと向こうに父はいるんでしょうか。
そして今、すぐそばで空を見上げているのは、40年変わらず夫です。
父さんと同じに優しい夫です。父さんと同じに大好きな夫です。
父さん、心配はいらないからね。鼻が詰まったらお薬を出してくれるよ。さすがに私、重くておぶってもらえないから。(笑)
何故か、父が恋しい月夜でした。