以前、夏の間はモロッコに滞在していた頃
毎日カサブランカの赤いタクシーに乗っていた。
モロッコのタクシーは街ごとに色が変わる。
カサブランカは赤
マラケシュはベージュ
エッサウィラは濃い水色
エッサウィラの旧市街には
タクシーが乗り入れ出来ないので
旧市街の入口からはスーツケースを運んでくれる
運び屋さんが、リヤカーで荷物だけ運んでくれて
ホテルやリヤドまで歩いていく必要がある。
カサブランカのタクシーは
どの都市よりも機敏に停まってくれて超便利。
イタリア生活が嫌になっちゃって
モロッコに帰ってタクシー運転手をしている人もいて
イタリア語がペラペラな人にも出くわす。
大抵、私は夫の実家周辺のローカルな地域を
タクシーで行き来しているので
殆どの運転手さんはアラビア語しか話さない。
ある日、海からタクシーに乗り
家までの長い距離を送ってもらった時
とっても優しい運転手さんで
私と色々と喋っていた。
「君はイスラム教徒かい?」
と聞いてくるので
いいえ、でも、いずれ神がお望みであれば....
と答えると、みんな喜んでくれるので
私は毎回そう答えるようにしている。
きっぱりとイスラム教を否定せず
無駄な事を言わずに相手に希望を与える
この答えを、私は気に入っている。
インシャアッラーという言葉だ。
今、私がイスラム教徒でないことも
自分の意志で決めているのではなく
神がそのように放置しているだけのように
イスラムの人達は、すべて神の思し召しにより
現実が動いていると心から信じているから。
そしてタクシー運転手は私に
この言葉を言ってごらん!と
自分が言う言葉を真似するように私を促した。
ラー、イッラーハ、イッラッラー
ムハンマドッラスーッルッラー
私は真似して言うと
「はい、これであなたはイスラム教徒だ!
簡単だろう?」
と、運転手は得意そうに笑った。
彼が私に唱えさせたのは
シャハーダという信仰証言のフレーズで
イスラム教徒になる儀式では
モスクにて、二人のイスラム教徒の前で
シャハーダを唱えるだけで入信の儀式は完了するのだ。
実は私は、シャハーダの事を知っていたのだけど
運転手さんがあまりにも良い人だったので
知らぬふりして、唱えてあげた
別にここで頑なに唱えるのを断ったってね...
せっかくここまで楽しくお喋りしてきたのだし
また運転手さんの得意気な笑顔が見れて良かったじゃないか。
だから、イスラム教徒になりたい人は
シャハーダを唱えるだけだから
簡単だよ!ってお話でした
ってそんなに簡単にイスラム教徒になれないよな
それこそ、私の意識を根底から覆す
精神革命を神が起こしてくれるのであれば....
インシャアッラー