3回目までは、まだ悲しんでいてもいいような気がしてた。
まだまだじっくり、自分と向き合う時間を取っていいと感じてた。
4回目の月命日。
季節は大きく進んでいた。
百箇日も過ぎたのだから。
お仕事もしなくてはいけないのだから。
動き出さなくては。
家の中に落ちている毛も、探そうとしないと見つけられなくなった。
雨戸の端に絡まっているのを見つけたら大切に指にとって掌に載せるようになった。
以前なら、掃除機が壊れないかと心配になるような毛があちこちにあったのに。
4回目。
Hanaを看病していた私は厚手のセーターやカーディガンを着ていたのに。
昨日は半袖のワンピースを着て、Hanaの写真が少しバッグからのぞくようにして、夏越の大祓の茅の輪をくぐった。
「カーチャン、そろそろ先へ行きなさい」
Hanaに言われている氣もする。
「カーチャン、泣いててもいいけど、ずっと楽しかったじゃない?」
Hanaがからりと笑っている氣がする。
何かを成し遂げようとしなくていいから、一日の作業の一つ一つに集中してみよう。
好きだったことを表現する時間をこれからも持とう。
Hanaと二人で遊んでいるような氣持ちで動いてみよう。
Hanaもきっと喜ぶね。