フィレンツェに、大使館の出張サービスがやってくる...
日本大使館から、そんな、お知らせメールが届いた。
出張サービスでは、
パスポートの更新もやってくれる。
ローマの日本大使館に行けば、
1日がかりにはなるけれど、
その日のうちに出来てしまう。
日本での手続きに比べれば、
超高速処理だけど、
その為に、ローマに行くのも面倒くさい。
こうして、
年に2回ほど来てくれる、
出張サービスは、
本当に助かる。
さて、
必要書類とともに、
必要になるのが、
「証明写真」である。
そういえば、メルカート近くに、
写真屋さんがあったっけ。
すっかりあてにし、
ノコノコと出向いてみれば、
記憶にあった、お店の姿はない。
あれ? ここじゃなかったっけ???
同じ通りを右往左往。
私は、すっかり怪しい人である。
毎日、近くを通っていながら、
飲食店に様変わりしてるなんて、
誰が知ろう...
写真屋は、跡形も無くなっていたのだった。
ここ最近の、
フィレンツェのお店の変容といったらない。
お陰様で、
「証明写真」を取る為に、
放浪することになる。
駅近くに、BOXがあったことを思い出した。
見ると、'2ユーロ'となっている。
証明写真って、こんなに安かったっけ?
疑問に思いながらも、
2ユーロを作るために、
近くのBARで、カフェを飲む。
いざ、緊張しつつ、
お金を入れると、
何も言わずに、
フラッシュがたかれた。
キイテナイヨ〜〜
そんなことを思ってたら、
2回目のフラッシュが。
えっ???
と思う間もなく、
再びフラッシュの音。
こうして、4回のストロボは、
あっけない顔のまま、
終わってしまう。
何だか、腑に落ちないまま、
4回の撮影の中から、
選ぶこともできない。
とりあえず、現像されるまで、
待ってみる。
「5分、お待ちください。」
と書いてある。
ボ〜っと立ち尽くしていると、
一組のカップルがやってきた。
「あれ? 順番待ち???」
と聞かれ、
「現像待ち!」
と答えると、
二人は、キャッキャ言いながら、
4回の撮影を楽しんでいる。
彼らが終わって、出てきても、
私の写真は、
まだ出てこない。
結局、
このカップルと一緒に、
現像待ちをすることになる。
「本当に出てくるのかしらね〜??写真だって選べないし。壊れてんのかしら???」
ぼったくられた気でいた。
そしたら、
このカップルは、
「これ、証明写真じゃないよ!これ、白黒の、こんな写真!」
と言って、
表に書かれていた内容を見せてくれた。
あ...
そんなことを話しているうちに、
ガ〜〜っと出てきた、
現像写真は、
世にも恐ろしい、
どこを向いているかわからない
自分の4つの顔が
出てきたのだった。
「わ〜〜、見せて見せて〜〜!」
と、
のたまうイタリア人カップル。
見せてやるよ、
好きなだけお笑い!!!
すると二人は、
嬉しそうに、
私の動揺写真を見て、楽しんでいった。
2ユーロ...損したな
そう、
途方に暮れつつ、
明日また、
出直そう...
と決めたのであった。