いよいよ本格的な夏休みに入る、
土曜日のメルカートは、
ガクンと人が減った感じが否めない。
それでも、
土曜日となると、
いつもより、少し多めな気がする、イタリア人。
「どこもかしこも、中国人で...」
そんな言葉を何度聞いたことだろう...
イタリア人が多い時は、この言葉をよく小耳にはさむ。
怒るのもおかしな話だが、
正直、嬉しい言葉でもない。
毎回、こんな言葉を聞いているうち、
返し言葉を考えるようになった。
「あっちもこっちも、中国人かよ!」
「へ〜〜、どこに???」
「何だよ、ここも中国人...」
「ブー、ハズレ!も〜いっかいチャンスあげよっか?」
「増えたよな〜〜、中国人!」
「本当よね〜〜、フォルツァ イタ〜リア〜〜なんちゃって。」
もちろん、人を見て応えるが、
大抵は、オッさんばかり。
今日もまた、
そんなイタリア人がやってきた。
オッさんは、なぜか、朝からメルカートをふらふらしている。
「あ"〜 中国人かよ、ここも〜〜」
そういうオヤジに、
「残念だけど...中国人じゃないのよ〜〜」
ちょっと明るめに応える。
「何で、残念なんだよ?」
「だって、中国人って強いじゃあないですか?日本人って、いつも、こういう感じでしょ?」
と言いながら、
お辞儀をしてみせた。
「え?日本人なのか?」
こう聞き返すところが、オバちゃんと違うところ。
こういう会話は、オヤジの方が、のりやすい。
「そうなのよ、中国人って強いよね〜。アレヨアレヨといううちに、バ〜っと広がっちゃうもの...日本人も強くなきゃって思うのよ〜」
「いやぁ、日本人はいいよ。」
そういうオヤジは、さっきの言葉を取り繕うとしているのが見える。
「いいんですよ、オッさん!あんまり変わんないから...」
「いやいや、日本人は、素晴らしい!」
そう言って、
「まぁ、頑張れよ!」
オヤジが立ち去ろうとする。
タイミングを見計らって、
「ブォナ ジョルナ〜〜タ〜(ごきげんよう!)」
と呼びかける。
オヤジは、片手を上げて、
「お前もな〜〜」
そう言い残し、去っていった。
考えるよりも先に、言葉が出がちなイタリア人は、
意外に変化球に弱いらしい。
怒るより、楽しんでしまった方がいい。
そんなこんなで、今日も無事、
喧嘩することなく、
1日を終えたのである。