吉田裕子(塾講師)の国語エッセー | 古典(古文・漢文)・近現代文学・歌舞伎・狂言

”国語を学ぶことで、感受性と対話力を磨いたら、人生はもっと楽しい。”という思いのもと、ブログや書籍で情報を発信する他、定期的に「大人向け古典講座」を開催しています。予備校・高校・カルチャースクールの講師、ライター。


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東銀座の東劇で「シネマ歌舞伎」を観てきました。

 >> シネマ歌舞伎 公式サイト

今月は、どちらも坂東玉三郎さんの出演された舞台。シネマ歌舞伎に仕立てるに当たって、玉三郎さんご本人が監修・編集されています。 


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この看板をご覧になってもお分かりかと思いますが、玉三郎さんの世界は、映像作品にし甲斐がありますねぇ。実に美しい。玉三郎さんと七之助さんの舞踊《二人藤娘(ににんふじむすめ)》、大変美しゅうございました。 パンフレットも買ったのですが、本当に絵になるお二人です。

今回、同時上映は《日本振袖始(にほんふりそではじめ)》。こちらは近松門左衛門の人形浄瑠璃がもとになった作品です。

『古事記』や『日本書紀』に描かれる八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が出てくるお話なんですが、八岐大蛇の正体が、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の妻になった木花咲耶姫(コノハナサクヤビメ)の姉 岩長姫(イワナガヒメ)であるという独特の設定です。

この設定、『古事記』などが好きな方からしたら、根拠のない、めちゃくちゃな設定です(苦笑) 歌舞伎や文楽では、より舞台が劇的な展開となるために、原作や史実を曲げていることがよくあります。非合理的な設定・流れの作品も結構あります。もともと古典や歴史の知識がある人からすると、筋書きを読んだ段階では、違和感が強かったり、流れが理解できなかったりする場合もあると思います。

でも、市川海老蔵さんや片岡愛之助さんのような圧倒的パワー、坂東玉三郎さんや中村七之助さんのような絶世の美しさで、思わずため息の漏れるような名舞台に仕上げられてしまいますと、そういう細かい違和感なんてどうでも良くなってしまうのです(笑)

今回は、妹 木花咲耶姫のみが結婚に成功したことを妬んだ岩長姫が、その嫉妬のあまり八岐大蛇となり、美しい女を喰らい続けているという設定なのですが、妖しい雰囲気を持った岩長姫(玉三郎さん)が突如 豹変し、恐ろしい隈取りのある八岐大蛇になるという展開が劇的で、良いんですよねぇ。素戔嗚尊を演じる勘九郎さんは、お姫様のピンチに駆けつけるスーパーヒーローという感じで、正統派に格好良いし! パンフレットにも収録されていた幕引きの場面がとても格好良くて好きでした。

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★ホームページはこちら。著書(『美しい女性(ひと)をつくる 言葉のお作法』(かんき出版)、『頭をよくする整理のしかた』、『人生が変わる読書術』、『正しい日本語の使い方』、『大人の文章術』、『源氏物語を知りたい』、『東大生の超勉強法』(枻出版社)など)でも情報を発信しております。

都内の大学受験塾に勤務する他、隔週月曜13時に東急セミナーBE古典入門講座を担当しています。また、吉祥寺 古典を読む会も主宰しております(2月15日(日)14時「中宮 定子の人生」)。
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古文を読んでいると、仏教が作品の内容や作者の価値観に影響を与えていることもしばしばです。それで、あれこれ仏教について調べる内に、興味が広がり、仏教自体にも関心を持つようになりました得意げ

1番シンパシーを感じるのは禅宗の曹洞宗

鎌倉時代、道元が日本に伝えた教えで、瑩山が全国にその教えを広めました。座禅に重きを置いていることで知られる宗派です。

そうした共感の思いから、ふとコンビニで手に取ったのがこちらの1冊。


道元「禅」の言葉―ゆっくり読む、ゆっくり生きる (知的生きかた文庫)/三笠書房



この中に詰まった言葉はどれも、特定の宗教について語っているというよりは、普遍的な生き方を説いている感じがしました。


◆一休禅師
夜もすがら 仏の道をたずぬれば わが心にぞ たずね入りぬる

(参考)道元禅師  仏道をならふとは、自己をならふなり。


◆道元禅師
放てば手に満てり。

《「もっともっと」という欲を手放すと、かえって既に手にしている豊かさに気付くことができる》というようなニュアンスで受け止めています。


◆道元禅師
魚(うを) 水を行くに行けども水の際(きは)なし。

魚は、どこまでがゴールかなどと意識せず、ただ、そのとき、そのとき、懸命に泳ぎ進んでいます。そうしたイメージで、いつも「今」に対してひたむきにあることが、結果として、伸びやかに力を発揮することにつながるような気もしています。


◆道元禅師
結果(けっか)自然(じねん)成(じょう)。

「大きな摂理の中で、自分が多少じたばたしたところで、結果は変わらないんだ……」という諦めにも見える言葉ですが、そうしたマイナスなイメージで取るのではなく、「物事はだいたい、なるべきようになる。だから、一喜一憂したり、焦ったりせず、のんびり構えて取り組んだらどうか」というメッセージを受け取ったら良いのではないかと思いました。


さて、何か、皆様にも響く言葉がありましたら幸いですニコニコ

こうした本を読むだけでなく、実際に座禅をする機会も増やしたいと思っています。まずは自宅で、からスタートかな得意げ



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私の中で印象深い文学者を挙げるなら、外せないのが与謝野晶子です。

その作品自体はもちろんですが、情熱やバイタリティに溢れた生き方自体に強く惹かれます。


今日は、そんな彼女の短歌の中から、個人的にお気に入りの作品をご紹介したいと思います。

少し言葉は古いですが、いちいち解説せずともエネルギーの伝わってくるような歌ばかりかと思います。


みだれ髪 (新潮文庫)/新潮社


まずは、彼女の処女歌集であり、最も人口に膾炙した『みだれ髪』から。

もともと妻子のあった鉄幹に恋し、その情熱で大阪から東京に上った晶子の若さの爆発した歌が詰まっています。この頃、20歳を少し過ぎた晶子です。


やは肌のあつき血汐(ちしお)にふれも見でさびしからずや道を説(と)く君 


狂いの子われに焔(ほのお)の翅(はね)かろき百三十里あわただしの旅
※百三十里は大阪-東京間のこと


むねの清水(しみず)あふれてついに濁りけり君も罪の子我も罪の子


春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳(ち)を手にさぐらせぬ


いとせめてもゆるがままにもえしめよ斯(か)くぞ覚ゆる暮れて行く春


道を云わず後を思わず名を問わずここに恋い恋う君と我と見る


病みませるうなじに細きかいな捲(ま)きて熱にかわける御口(みくち)を吸わん


みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしていませの君ゆりおこす


清水へ祇園をよぎる桜(さくら)月夜(づきよ)こよい逢う人みなうつくしき


なにとなく君に待たるるここちして出でし花野(はなの)の夕(ゆう)月夜(づきよ)かな

晶子は63歳のとき、荻窪の自宅で亡くなりました(昭和17年5月29日)。晩年の歌を集めたのが、遺詠集の『白桜集』です。

この中には、先に亡くなった鉄幹(昭和10年没)を偲んだ歌が多く収められています。

そちらから2首。


人の世に君帰らずば堪(た)えがたしかかる日すでに三十五日


青空のもとに楓(かえで)のひろがりて君亡き夏の初(はじ)まれるかな



なお、彼女が亡くなった際、詩人の高村光太郎が次のような詩を残しています。



詩・与謝野夫人晶子を弔ふ


5月の薔薇匂ふ時 
夫人ゆきたまふ。 
夫人この世に来りたまひて 
日本に新しき歌うまれ 
その歌世界にたぐひなきひびきあり 
らうたくあつくかぐはしく 
艶にしてなやましく 
はるかにして遠く 
殆ど天の声を放ちて 
人間界に未曽有の因陀羅綱を顕現す。
壮麗きはまり無く 
日本の詩歌ためにかがやく。 
夫人一生を美に貫く。 
火の燃ゆる如くさかんに 
水のゆくごとくとどまらず、 
夫人おんみづからめできせ給ひし 
5月の薔薇匂ふ時 
夫人しづかに眠りたまふ。





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