朝8時過ぎのTGVに乗って、コメルシーへ向かいました。
これはパリの東駅gare de l'est
1時間ほどでMeuseムーズ駅に到着。
TGVムーズ駅はこんな感じのなんにもない、だだっぴろい所にいきなりあります。ちょっとお天気悪し。
バスに乗り換えてコメルシーを目指します。
コメルシー駅を降りて、徒歩で町の中心centre villeへ。
スタニスラス王の宮殿
スタニスラス王はもともとポーランド王で、のちにロレーヌ公国王となったため、コメルシーやナンシーにはその宮殿があります。美食王として有名で、フランス菓子や料理にはたくさん名前がでてきます。ルイ15世妃のマリー・レクチンスキの父であり、娘にたくさんの料理やお菓子を教え込んだ、とされています。
どうして私がロレーヌ地方にある、この小さな町コメルシーに来たかったかというと・・・
観光案内所で買ったマドレーヌの本
スタニスラス王がコメルシーの王宮に滞在していたときに、女料理人のマドレーヌが作ったケーキがあまりにおいしくて、娘のマリーに送ったところヴェルサイユで評判になり、パリに広まったという説があります。ほかにも説はありますが、そのレシピはコメルシーの職人たちが長い間秘密にしていて、レシピは売り買いされていた、というのです。
あるとき、料理の辞書に「コメルシーのマドレーヌ」と題したレシピを発見。
嬉しくてすぐに作ってみました。素朴においしい!
でもしばらくするとまた違う本に乗せられていた「コメルシーのマドレーヌ」のレシピを見つけてしまいました。それはまったく違う作り方と配合でした。
いったいどれが本当のマドレーヌなの!?
こうなったら、いつかはマドレーヌの町コメルシーに行って、本当のレシピを探してみたい。どんなタイプのマドレーヌがコメルシーのマドレーヌなのか、どうしても自分で確認したい! と思ったのです。
というわけで、とうとうやってきました!
広場に面したマドレーヌ工房へ。
A la cloche Larraine
8 place Charles de Gaulle 55200 Commercy
http://www.madeleine-commercy.com/accueil.php
いろいろなボックスが並びます。
袋入りを買いました。パリでのデザミ講座に来て下さる方々へのお土産にしましょう。
これはレジのあたりに並んでいたものを貰ったのですが、
「これは本物じゃないのよ」
とお姉さん。
「中国とかのアジアに向けて輸出するために、いっかい冷凍になってる。生地も本物じゃない」と何度も本物じゃないことを念押し。
食べてみると・・たしかにこれはマドレーヌではなくて、ジェノワーズ的です。ざっくり食べ応えがあり、おいしいけど、違います。
ウインドウに飾られていたのは
「戦前、コメルシー駅のホームで、売り子さんたちに使われていた台車」
子供の頃の微かな記憶、米原駅のホームでお弁当を首からかけて売っていたおじさんたちの姿がぱっと頭に甦りました。フランスでも駅で駅弁ならぬ「地方特産品」を売っていたのだと思うと、ほのぼのとした気分に。
でもフランスの「戦前」って、どの戦いのことなのでしょう。
もう一軒の工房へ。雨の中、とぼとぼと町の中心から歩くこと15分。
La boite a madelaines
ZAE La Louvière 55200 COMMERCY
http://www.madeleines-zins.fr/content/6-la-boite-a-madeleines
こちらでは、作っている様子をお店から見ることができます。
試食を食べてみて、はっと思い出しました。
かつて私がパリのボンマルシェで買ったのは(高島屋の「銘菓百選」みたいなコーナーがあって、コメルシーのマドレーヌも買えます)、この会社のマドレーヌでした。ちょっと塩辛いのです。
こっちの工房では、ミラベル(スモモの一種)のマドレーヌを買いました。少し塩気のある生地に、かん!とアルコールの効いたミラベルが入っていて、これもまたおいし!です。
とても満足して、ふたたび町中へ戻ります。
同行してくださったお二人とお昼のお店を探します。
本当は観光案内所でほかのパティスリーの場所を3箇所くらいも教わっていたのに発見できず、町はちょっと眠った様な感じ(これはフランスの地方に行くとよくあること)。
場違いにモダンなレストランを運良く発見しました。よかった!
デザートに取ったミラベルのキャラメリゼ、アイスクリーム添え
ロレーヌ地方はミラベルの産地です。これは食べておかなくちゃ!
今の時期の果物ではないので、たぶんシロップ浸けだと思いますが、とってもおいしかったです。
(日本でも食べられるようになってほしいと切に願っています。)
お天気がちょっと悪くて、寒かったのですが、とても楽しい滞在でした。本当に来られてよかった!! と心から思いました。
一緒に行きたいと言ってくださったお二人にも感謝です。
ところで冒頭の本当のレシピは見つかったのか? です。
じつはお店を2軒回った時点で、かなり満足。すっかりそのことを忘れていました。まあ、いいか。
でも観光案内所で貰った「マドレーヌの歴史」というパンフの裏にレシピがありました。2軒目の工房で買ったポストカードにも。
もちろんともにそれがオリジナルのレシピだとは思いませんが、でも傾向はつかめるハズ。
近々お菓子の授業にてやります!
さてここでお二人とはサヨナラして(お二人はナンシーへ)、私はジャムの町を目指します。ここから先はエライことに!
続きはまた明日。