「ご、ごめん。川田君、ごめん」
また、早川さんが昨日と同じように頭を抱え始める
「ねぇ、早川さん」
「なに?」
「なんか昨日から、同じとこ、ふたりでぐるぐる回っているだけのような気がするのは気のせい?」
「ううん、そうだと思う」
早川さんのしおらしい声に、俺も少し冷静さを取り戻した
「ちょっとだけ、怒らないで聞いてもらえます?」
「う、うん」
「要するに俺は恋人にはしてあげられないけど、友だちだったらいいよ、そういう理解でいいんでしょうか?」
あまりに未来が見えない展開に、ちょっと嫌味のある言い方になってしまった
「そっか、その手があったか!」
「その手があったかって?」
「うん、別に男女でも友だちになってもいいんだよな!」
「えぇ、まぁ・・」
「あたし、友だちもほとんどいないし、それすっごいいいよ。悩みも一発解消!」
「・・・」
「よし、あたしたち友だちだな!少年!!」
「俺はちょっと悲しいですけど」
俺がそう言うと、早川さんは俺を睨みつけた
「い、いえ・・なんでもないです」
そう言わざるを得なかった
ふぅ・・・
俺はなんとなく溜息をついてしまった
結局、自分が望んだ結果には、ならなかったからかもしれない
そんな俺を早川さんが、じっと見つめていた
「ホントはさ・・」
「え?」
「恋人とか友だちとか関係なくてさ・・」
「・・・」
「あたしダメなんだよ」
「なにが?」
早川さんの言ってる意味がよくわからなかった
「あたしは優しくされたらダメなんだ」
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