そもそもセイバーメトリクスを簡単に説明すると、野球におけるデータ(選手の成績や球場のスペックなど)を統計学に分析する事で、その分析結果に基づいたチーム戦略を考えるための手立てになるものと言える。
噛み砕いて言えば、打率や本塁打、打点といった旧来の指標だけで選手を評価せずに、他の新しい指標も同時に用いて評価するのがセイバーメトリクスである。
(セイバーメトリクスの詳しい説明は機会があったらいくつか紹介していこうと思います。)
このセイバーメトリクスはMLBでは選手を評価する上では欠かせないものとして使用されており、近年ではセイバーメトリクスを用いた選手との比較も頻繁に見られる。
そして、トラウトのセイバーメトリクスが優れているが故に高い評価を受けていると前述したが、その代表的な指標として「WAR」が挙げられる。
WAR・・・打撃、走塁、守備、投球などあらゆるプレーによる貢献度を総合的に評価し、最終的に選手が「どれだけチームの勝利を増やしたか」を示す指標。
このWARには活用法に注意点がいくつかあり、またこの指標自体に不完全な点が見受けられるが、それでも選手の評価には不可欠な指標である。以下がそのWARの数値の評価基準だ。
fWAR rWAR
MVP級 6.0〜 8.0〜
スーパースター 5.0〜6.0
オールスター 4.5〜5.0 5.0〜
レギュラー 2.0〜4.0 2.0〜
控えメンバー 0〜1.0 0〜
このfWARとrWARと言うのは、指標を算出している会社が異なり、その算出方法も違うため、それぞれ評価基準に差異がある。
WARの説明をしたところでさっそくトラウトの数値を規定打席に到達した2012年から見ていこう。
(今回はrWARを採用する)
2012年 10.8(ア・リーグ1位)
2013年 9.3(ア・リーグ1位)
2014年 7.9(ア・リーグ1位)
2015年 9.4(ア・リーグ1位)
2016年 7.6(ア・リーグ1位)
(8/17 現在シーズン途中)
なんと2012年に新人王を獲った年から2016年に至るまで全てMVP級の活躍をしており、アリーグトップという驚異的な数値を叩き出している。
しかも2012年の10.8という数値は同年に三冠王となったミゲル・カブレラ(DET)の7.2を大きく上回っており、これによって、2012年の当時はカブレラとトラウトのどちらがMVPに相応しいか、議論が勃発した。
(結果はカブレラがMVPを受賞した。)
このトラウトが最高のプレイヤーとして評価されている所以が少しは分かっていただけただろうか。
打っては3割に加えて30本以上のHR、
走っては盗塁を量産(2012年に盗塁王)
守っては幾多のホームランをもぎ取る
まさに5ツールプレイヤーと呼ぶに相応しい選手だがそんなトラウトにも1つ弱点がある。
それは肩である。アメリカのスカウティングレポートによれば20〜80という基準の中で40と評価されており、つまり平均よりやや弱いと言える。
しかしながら、2013年7月号の雑誌「Slugger」の匿名で現役GM、球団幹部、スカウトらはこう言ってトラウトを評価した。
「どうしてみんな、彼の肩を悪く言うかわかるかい?それ以外に弱点がまったくないからさ」
トラウトの活躍をこれからも注目していく。
最後にハイライトをご覧いただこう。
追記
そういえばトラウトは性格も生真面目で勤勉な選手だとか・・・何から何まで一流でこんな人間どうやって生まれるのか不思議でなりませんね。