お久しぶりの徒然美術館でございます。

スーパーマイペースな感じで続けていたら、こんなにドカンと空いてしまいまして。いや、まぁ言い訳以外の何ものでもないんですが。

ぶっちゃけた話、美術を見るモードにここのところ全然ならず、美術館に行かないわけではないんだけれど、自分の皮膚の30センチ先くらいでもやっと感じているような、間接的な感覚しかないので、そんな曖昧なこと文字にしても、ねぇ?

それを打ち破ってくださったのが、ボナールさんでございます。

いや、ボナールって、それこそオルセーとか、ナビ派の展覧会行くと、おーーやっぱり素敵だなぁ、とは思うんだけど、こんなにボナールだけどどーんと見る展示ってなかなかないんですよね。

恥ずかしながら認識が甘かったようで、見終えた今、感銘を受けた画家ランキング上位を覆しそうな勢い。半端なく魅力的でした。

19世紀末、ナビ派の一員として活躍したボナールは、目に見えるものをそのまま表現するのではなく、記憶と想像を行き来しながら、キャンバスに大胆な色をのせていく画家です。

色をのせるって当たり前だけれど、ボナールの独創的な色合いには、不思議な温かみや冷たさといった「温度」、そして絵の中に流れている時間の「物語」がある。これってものすごく面白い感覚。

自らのフィルターを通すとは言え、そこにあるものを写し取ろうとする画家が多い中、勇気を持って写実を放棄し、イマジネーションへと飛び込んだ彼の世界観は、実に自由で大らかで。でもその反面、とてつもなく神経細やかな一面も垣間見える。

 この人の作品でなによりも凄いと思うのは、どれだけ絶望的な世界を覗き見ようとも、欲望をさらけだそうとも、そこに僻みや歪みのないところ。本当に余計なものがないと言言えばよいのか。要するに、自分自身の信念、そして被写体への大元の想いがぶれていない。

ロマンティックなことを言うようだけれど、それって私、「愛」なんじゃないかと思うのです。人への愛。被写体への愛。そして自分自身への愛。愛という言葉から連想されるイメージは、もう少し甘いものだけれど、本当の愛って何かを信じる力にあるように思う。

人一倍繊細な心のひだで人と向き合い、作品に向きあい、多くの試練を乗り越えなければならなかったボナールのもがきは計り知れないけれど、きっと心の芯はしなやかに強く、慈愛に満ちた人だったに違いない。

そう感じて、展示室を見回したら、ボナールの深いで溢れているように思えました。

私、この展覧会からどれだけ生きる力をもらったかわかりません。ここ近年で稀に見るコレクションの数々です。

国立新美術館にて12月17日まで。もしよければ足を運んでみてくださいね。




長谷寺にて。日本の秋は美しい。

◎国立新美術館
オルセー美術館特別企画
ピエール・ボナール展
Pierre Bonnard, l'éternel été
Pierre Bonnard, The Never-Ending Summer

会 期
2018年9月26日(水)– 12月17日(月)
休館日
毎週火曜日
開館時間
10:00−18:00
毎週金・土曜日は20:00まで。ただし9月28日(金)、29日(土)は21:00まで
*入場は閉館の30分前まで
展覧会ホームページ
bonnard2018.exhn.jp