男は確かに、好きな不倫相手がいながら、もうひとりの女に心を動かしていくことは

 

よくある。単に好意とか同情から躰の関係まで進む可能性も高い。

 

だが、そうなりながらも男はどこか醒めているところがある。肉体的に結ばれながら

 

心はそれほどのめり込んでいない。「浮気」とは、文字通り「気持ちが浮ついている

 

状態」をいう。しかし不倫の場合は、浮気中にさらに浮気をするのだから「移り気」

 

とでもいうべきかも知れないが......

 

それは、今付き合ってる女から気持ちが離れている、という意味ではなく、躰は関係

 

していても「気持ちは宙に浮いている」というように解釈すべきかもしれない。

 

躰は欲情のまま別人格で行為を繰り返すが、「心」までは、のめり込んでいないから

 

男の浮気の多くは、やがてもとの鞘(さや)に納まる。

 

 

だが、女の場合はそうはいかない。躰とともに心まで相手にのめり込んでいく。関係

 

はしていても「心は別」というわけにはいかない。

 

いわば、浮気より本気になりやすい。そう思わせる「一途さ」が女にはあるから、男

 

は「女の浮気」を本能的に恐れるのかもしれない。

 

多分、男の浮気と違って「もとの鞘」に、おとなしく納まってくれないと心のどこか

 

で覚悟している。

 

もっと言えば、自分の目の前で魅せてくれた痴態や妖艶な反応を、他の男の腕の中で

 

していると想像するだけでも気が狂いそうになるからだ。

 

 

男は、女に問い詰められたとき、いつも「理屈」で言い訳しようとする。

 

「へェ〜、まだ元カノに未練があるんだ、あの人と逢っていたんでしょ」と詰め寄ら

 

れると、「その時間は、取引先の社長と銀座のクラブで飲んでいたんだよ。その証拠

 

に、すぐその店で撮った写メ送るよ」というように弁明する。常にアリバイをつくり

 

理詰めで説明しようとする。

 

 

だが、女が問い詰められたときは、男がするように理詰めの説明はしない。「先週

 

メールしたのに、なぜ返事くれなかったの。男と韓国にでも行ってたんじゃないの」

 

と問い詰められても、あっさり頭を下げて「連絡しなくてご免なさい」と謝るだけで

 

ある。それでもなお執拗に問い詰めると、女は怨めし気な顔をして最後に泣き出す。

 

「他のオジさんと韓国になんか絶対に行ってないわ、母と行ったのよ」ときっぱりと

 

否定し、それでも疑うと「これだけ言っても信じられないの・・・」と言って、泣き

 

じゃくる。下手な言い訳より「感情」で訴える方法をとる。

 

涙とともにそう訴えられては、さすがの男も追求する気力を失ってしまう。そのまま

 

泣きじゃくる女の姿を見ていると、これほど泣いているのだから「女の言ってること

 

は本当のことだろう」と思い込むというより、そう思いたくなってしまう。

 

 

浮気の弁明として「理」で説明する男と、「情」で訴える女と、どちらが勝っている

 

かは明白で、理はいつか露見するが、情は下手な理屈をこねていない分だけ、バレる

 

確率は、はるかに低い。

 

実際、男のような理詰めの言い訳は、ひとつアリバイが崩れると、次々崩れ出し収拾

 

がつかなくなる。それに較べて、「信じてくれないの」と言って、泣きじゃくる女の

 

やり方なら、もともとアリバイなぞないのだから、崩れる心配がない。

 

あとはひたすら、相手の男が信じるか信じないかの問題になってくる。女に少しでも

 

未練があれば、男は信じるしかない。

 

 

不倫中の男と女が嫉妬で争うかぎり、根本のところでは、和解したいと願っている。

 

相手を問い詰めながら、「実はそうではなかった」という確信を求めている。

 

こんなとき、下手な弁解より「私を信じてくれないの」という一言の方が、よほど

 

説得力がある。そう言われては、あとは、相手を信じるか否の問題と相手にどれだけ

 

の未練があるかどうかの問題になる。

 

 

察しのいい読者なら「これって、倫太郎と平成生まれの彼女とのことじゃないの」と

 

思ったに違いない。敢えて否定はしない。

 

 

平成生まれの彼女を見ていると、総じて、男より女の方が「嘘」はうまそうである。

 

その原因は男のずぼらさにもあるようだが、それ以上に「嘘」をつくときの心構えの

 

違いかもしれない。嘘をつくなら、どっしり腰をすえてつくべきである。

 

その点、いざとなると、女の方が度胸がよさそうである。男はいろいろ策を弄するが

 

根は、女より小心なのかもしれない。

 

 

男と女の嘘には、根本的に違うところがあるようだ。僕のように齢を経て、多少とも

 

女を知っている男は、このことを実感的に知っている。

 

男の嘘は、頭で練られ「理論的に作り出される」のに対して、女の嘘は頭というより

 

むしろ、生理というか「感覚」で作られる傾向にあるようだ。

 

 

女は、「男の小さな嘘」に対して、男よりはるかに大きな反応を示す。派手に泣いた

 

り喚いたりする。だが、本当に「底深い嘘」に合うと、むしろ腰を落ち着けて、どっ

 

しり耐える。この点、男は、「女の小さな嘘」にこそ涙をこらえて耐えるが、大きな

 

嘘に対しては、からきしいけない。その耐える能力は、女からみると数段落ちる。

 

 

要するに、女の「男の小さな嘘」に対する反応は、実はもっと耐える余裕をもった上

 

での大げさな反応であり、男のそれは、余裕など全くないギリギリでの反応だ、と

 

いうことができそうである。だから、もう一段リアリティーを伴う「女の嘘」になる

 

と男は、たちまちパニックに陥り、前後不覚になる。

 

 

先日、会食中、平成生まれの彼女に「実は、倫太郎さんの他にもう一人、お金持ちの

 

オジさんがいるんだァ。倫太郎さんには嘘はつきたくないから」と突然告白された。

 

この「倫太郎さんには嘘はつきたくないから」は、彼女が結婚をするときに、実際に

 

使われた台詞でリアリティーがあり、僕は「やっぱり」と言うか、「そんなァ」とか

 

「今までの9年間はなんだったのか」とパニクり、目の前が真っ暗になった。

 

「倫太郎、しっかりしてよ、今日は何日だと思っているのッ、4月1日よッ」と、い

 

たずらっぽい眼をして笑われた。

 

「エイプリルフールかァ」と、情けないことのに大粒の涙がこぼれ落ちた。「倫太郎

 

泣いてんの」とスマホから眼を外し、こっちを見たが、「泣いてねェよ」と、必死で

 

笑いなら、トイレに逃げた。

 

戻ってくると「長かったね、泣いてたの」と、スマホを見ながら、声を掛けてくれた

 

ので「いやッ、大きいのをしてた」と言うと「最低ッ、このクソジジイ」と久しぶり

 

のタメ口で笑ってくれた。

 

 

 

 

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