遅ればせながら、NHKの未解決事件ファイルを観た。
オウム真理教が、なぜ暴走するに至ったかという視点で、教団初期のメンバーに取材するNHK記者をドラマ仕立てで追っていくものだったが、現在高橋容疑者が逃亡中で世間を騒がせていることも重なり、なかなか興味深いものであった。
こういう力の入った番組を観ると、あらためて気持ち良く視聴料を払いたくなるものですわ。
話は戻るが、取材対象の元メンバーは、バブル期に浮かれていた世の中に何か違和感を感じ、入信するに至ったとのことだが、その頃の自分は大学生生活を送っていた。
学内や駅前で、お面を被った白装束の集団が、意味不明な終末論を説いたパンフレットを配り歩く様はやはり異様であり、江戸末期のええじゃないかではないが、ある意味バブルの世の中に同期した厭世的なパロディではないか、と醒めた目で眺めていたのを思い出す。
ただ、自分もそんな世の中に違和感を感じていたのは事実であり、サークル活動で野草を食べるという行為を通して、他のチャラチャラした人間とは、自分は違うのだ、と意地を張って過ごしていた気がする。
自分も充分チャラチャラしてたのにね…。
入信者と自分の違いは何だったのだろうか。
恐らく彼らはもっと真面目で不器用で、普通の人間よりも社会に対して大きな違和感を抱えてしまった。そして、社会に対する適応障害を発症するまさにその直前、現状が虚構にすぎないと説くカルト団体に、自分が正常であるということを認められ、強烈に惹かれたということなのかもしれない。
普通の人間は自らの力で、どこかしら現状と折り合いをつけるのだが、彼らは思い込みによって、抱えるものが大き過ぎると感じ、自ら解決することを放棄したという点が、結局のところ一番の違いなのかもしれない。
そして、救いを求めた先が、まともな団体であれば良かったのだが…。
まだまだ、サリンの後遺症に苦しんでいる方もいる。以前、松本サリンの被害に遭われた河野さんの手記を読んだことがある。
想像することしかできないが、被害者にとっては一日一日がまさに地獄だ。
現在逃亡中の容疑者が、一刻も早く逮捕されるといい。そして、犯した罪を償うという行為を通じ、自らの救済に立ち向かうことを切に願う。