ユメノアトサキ ♯31 | せつない恋のはなし

ユメノアトサキ ♯31

ユメノアトサキ #1はこちらからどうぞ♪





暗い道を彷徨ってた。





歩いても 歩いても 何も見えなくて。





怖くて不安で とても疲れて



疲れ切って



諦めないって約束したのに 諦めそうになった。








その時 聞こえてきたんだ。








行かないで。








塔子さんの声が暗闇の中に聞こえたんだ。





そしてそれはまるで 一筋の光が射したように



オレが行く道を指示してくれたんだ。










力のない、やっと聞こえる声だけど



ハルは私にゆっくりと話してくれた。







よかった。




ホントに戻って来てくれたんだ。



よかった。





繋いだ手に温もりが宿り、そっと握ると優しく握り返してくれる。







その事が嬉しくて 夢のようで




「……なんで、泣くの?」



私を見つめていたハルにそう問われるまで




自分が泣いている事にも気付かなかった。




「嬉しくて」



答えながらあいた左手で涙を拭うと、また後から後から涙がこぼれてくる。








「ゴメンね。変だよね、私」






長い時間張りつめていた気持ちがほぐれたせいなのか


止めようと思っても涙は止まってくれない。






すると、それまで繋いでいた手をハルはそっと離すと


ゆっくりと私の頬にその細い指で触れた。







「……オレの方こそ、ゴメン。…塔子さんを、泣かせてばっかで…ゴメン」






「ううん。嬉しくて泣いてるんだから、いいの」






声が聞けること。



こうやって触れられること。



触れた手が温かいこと。








今目の前にあることすべてが特別で


しあわせだと感じるよ。










ハルくん。





あなたがいてくれるから。












このまま




どうかこのまま



私たちを一緒にいさせてください。








ハルの微笑みを見つめながら 心の中で強く願った。












→ユメノアトサキ#32へつづく



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