7.自治体DXの推進について | 上田ゆきこのブログ

7.自治体DXの推進について

G o v T e c h ガブテック東京を通じた共同調達について

 

Q26:今後の地方公共団体基幹業務システムの統一・標準化については、文京区においても、国が期限としている来年度末までの完了が難しい可能性がある。東京都は先月、総務省とデジタル庁に、移行期間の十分な確保と移行期限後の開発費用の国負担について緊急要望を行っている。

内閣府は本年3月、大手ベンダーの営業戦略による公共サービスの後退や地域にノウハウが残らないなどのリスク、いわゆるベンダーロックインを回避するため、事業の運営について自治体や住民がコントロールできる状態にしておく必要があると指摘しているが、システム標準化等の大規模開発においては、大手ベンダーに頼りがちになる現実がある。

区はGovTech東京を通じた共同調達などにより、最適なデジタルサービスやソフトウェアなどの導入や調達コストの低減を目指しているが、その効果を現時点でどのように評価しているか。

 

A26:これまで利用してきた電子申請や電子調達に加え、本年度より、AI議事録と職員向けのe ラーニングについて、共同調達サービスを利用している。

区単独での調達より、導入及び運用に係る経費の削減や、調達業務の効率化が図られ、スケールメリットによる効果を実感している。

テーマ別部会も開催され、共同調達サービスを利用する自治体間の情報共有も進んでいる。

引き続き、共同調達のメリットを享受できるサービスを見極め、適宜適切に活用していく。

 

 

G o v T e c h 東京を通じたデジタル人材の確保について

 

Q27:不足する自治体デジタル人材確保のため、行政課題の解決に意欲のある人材と、DX推進に関する課題を抱える都内区市町村とのマッチングを支援する人材紹介サービス、GovTech東京パートナーズがスタートしていますが、まだまだ紹介できる人材が少なく、事例も限定的と聞いている。

今後、文京区もGovTech東京パートナーズを通じて、即戦力のデジタル人材を確保することができる見込みがあるのか。

A27:現在、区では、G o v T e c h 東京が区市町村に対して実施する「プロジェクト伴走型サポート」を活用し、窓口DXの推進や情報セキュリティポリシーの策定について、期間を限定した伴走支援を受けている。

デジタル人材について、採用したい区市町村とのマッチングを支援する事業である「G o v T e c h 東京パートナーズ」の活用には、報酬や就労環境等、条件面での課題もあることから、これまで、本区の採用事例はないが、引き続き活用の可能性について検討していく。

 

 

NTT東日本との協定について

 

Q28:NTT東日本との協定に基づく業務改善の推進やデジタル人材の育成については、2年目となる。

交流職員等からはどのようなフィードバックが行われ、庁内DX推進にどのような成果・効果があったか。

協定に基づく人事交流やデジタル技術を活用した行政サービスの向上の今後の展望を伺う。

 

A28:区からNTT東日本へ研修派遣した職員は、主に、派遣先が他自治体に対して行うDXによる課題解決の提案業務や、文章生成AIの調査・研究等に従事している。

派遣職員からは、業務効率化に向けた生成AIの活用方法や、プロンプトと呼ばれる入力指示文の書き方、最新技術の動向などのフィードバックがあり、これらを全庁に周知するとともに、生成AIを活用した自治体DXの推進に活用している。

派遣期間を終了した職員については、他自治体への導入支援で得た経験を活かし、庁内業務のDX化を一層推進する業務に、即戦力として配置する予定。

 

 

ウェルビーイング指標の活用について

 

Q29:デジタル庁はデジタル田園都市国家構想の実現に向け、地域幸福度(Well-Being)指標の活用を進めている。

このツールは区民生活の豊かさや行政課題をビジュアル化、見える化でき、本区においても施策の効果等を測る指標として有効に活用できるのではと考える。

今後の総合戦略の見直し等に取り入れてはと考えるが、見解を伺う。

 

A29:本区では、社会状況の変化に迅速かつ柔軟に対応できるよう、4年後の目指す姿を掲げ、毎年度、点検とバージョンアップを行う行政計画として、「文の京」総合戦略を策定し、令和2年度より用いている

それ以前は、基本構想実施計画で設定した指標に基づき、基本構想実現度評価によって、施策ごとの評価を行っていた。

当時は、各施策のアウトプットを用いた指標が多かったことから、手段である施策の数値に意識が向きやすく、施策の目的の認識につながりにくい状況が見られた。
そのため、指標を用いずに課題の解決に着目する現在の総合戦略の考え方に至ったが、今般、EBPMや、アウトカム指標による目標管理などの考え方も浸透してきたこともあり、今後の総合戦略の見直しにあたっては、議員ご指摘のウェルビーイング指標の活用も含め、次期計画のあり方から検討すべきものと考えている。

 

 

生成AIの活用について

 

Q30:生成AIについては、令和6年度から活用が始まっているが、既製品の生成AIはもっともらしい嘘の回答をする場合もあり、実用上の課題となっていると聞いている。

検索拡張生成(RAG)と言われる組織内の信頼できるデータをつなげ、参照して情報を抽出し、より精度の高い回答させる仕組みを導入している企業等もある。

こういった技術の導入によってさらなる業務効率化を図ってはどうか。

今後の生成AI活用の方針を伺う。

 

A30:インターネット上にある一般的な情報を参照して回答を生成するのではなく、必要な情報が置かれた外部のデータベースを参照することで、個別の事情に即した精度の高い回答を得ることができる機能として「検索拡張生成」が注目されている。

本区においても、本年度、複数のサービスにおいて試行し、その有効性が確認できたことから、来年度の導入に向けて検討を進めている。

 

 

著作権に関する問題等の対策について

 

Q31:文化庁の文化審議会著作権分科会は本年3月、「AIと著作権に関する考え方について」を公表し、生成AIが学習データ収集を行う際の著作権に関する問題等が指摘されている。

区としてどのような利用ルールに基づく生成AI活用が行われ、さらに今後必要となる対応等があれば、お考えを伺う。

 

A31:生成AIを適切に利用するためのガイドラインを整備し、知的財産権に関する確認ルールに基づき運用している。

このほか、個人情報等、機密性の高い情報の入力の禁止、生成AIの回答の根拠の確認、生成AIによる回答であることの明示などを定めている。

今後も、生成AIの機能拡充や発展等に伴い、新たに生じるリスクを早期に把握し、必要な対策をガイドラインに反映することで、生成AIの適切な利活用を継続していく。

 

 

情報セキュリティインシデント演習の効果について

 

Q32:DXの進展に伴い、さらなるサイバーセキュリティの強化が必要とされている。

サイバー攻撃に対応するため、最小被害に抑え、早期の復旧を果すため、内閣サイバーセキュリティセンターと連携したインシデント演習が行われていると聞いているが、効果を伺う。

 

A32:区では、内閣サイバーセキュリティセンターが主催する「分野横断的演習」に、毎年度参加している。

この演習は、自治体向けにアレンジされたインシデントシナリオを用い、机上訓練として実施しているもの。

この演習に参加することで、情報セキュリティインシデントに対し、応急的な対応ではなく、事業継続計画等の障害対応に係る規程や体制の事前確認を行うことができ、障害対応体制が毎年度最適な状態に保たれるとともに、職員の迅速な対応能力の向上を図る機会ともなっている。

本年度も、来月、この演習に参加する予定となっており、引き続き、区の情報インシデント対応の強化に努めていく。

 

 

庁内DXの進捗管理について

 

Q33:昨今、庁内での誤送付による個人情報の流出等が相次いでいますが、内部統制による再発防止策にも関わらず、これらの事故が減らないのは、DXの取り組みが不徹底で、紙やメールでの書類送付が残っていることも一因と考えられる。

情報政策課が、庁内DXの進捗を管理し、見える化して、DXが不十分な部分のシステム開発を進めていく必要があると考えるが、どうか。

 

A33:区では、昨年度から「文京区DX推進プロジェクト」を重点施策と位置づけ、行政手続きのオンライン化、業務改革への取り組み、DX推進に必要な環境・仕組みづくり、DX人材の育成をメニュー化し、情報政策課がその進行管理を行っている。

なお、内部統制分野にDXを活用する必要性は認識しており、その取り組みの一つとして、区が保有する情報資産に係るセキュリティ対策の強化を目的としたファイル暗号化ソフトの導入について、現在、準備を進めている。

今後も、情報政策課を中心に、庁内のDXを推進していく。

 

 

今後のデジタルツールの導入について

 

Q34:都内には、専門知識がなくても職員がノーコードで業務用のアプリを制作できるサイボウズ社のクラウドサービス「キントーン」を活用し、各課の紙ベースの業務をアプリに移行し、業務改善を図っている自治体もある。

今後、庁内DXの推進のため、どのようなデジタルツールの導入を検討しているか。

 

A34:庁内のDXを一層推進するため、議員ご指摘の、専門的な知識が無くても業務用アプリが作成できるノーコード・ローコードツールや、郵送や電話による区民への連絡業務で活用できるショートメッセージサービス、マイナンバーカード等から基本情報を読み取り、申請書を印字する書かない窓口等のデジタルツールの導入を検討している。

これらのデジタルツールを導入し、職員が自らの創意工夫により、更なる業務効率化や区民サービスの向上に取り組める環境整備を進めていく。