難民認定制度の人道的見直しを求める意見書(案)を提出しました
令和3年9月定例議会に、「難民認定制度の人道的見直しを求める意見書(案)」を提出しました。
この定例会には4会派が同時に入管行政及び難民認定に関する意見書案を提出しました。
3月にスリランカ人女性が入管施設で亡くなったことが大々的に報道され、入管における外国人への人権侵害が注目されたこともあります。
どの会派の意見書案も入管行政の人権面への改善を求める点については共通しています。
会派創の意見書案の趣旨は以下です。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の 2019 年「グローバルトレンズ(年間統計報告書)」 によれば、世界では紛争や迫害によって祖国を追われた人々が第二次世界大戦以降最悪の 7950 万人に上り、世界人口の約 1%、約 97 人に 1 人が難民となっています。
今まさに東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会において、困難を乗り越える 難民アスリートの姿への感動と尊敬の気持ちが世界に広がり、難民支援の重要性への国際 的な機運が高まっています。
しかし、日本政府は、難民条約加盟 40 年、長年にわたり UNHCR への支援を行っている重要なドナー国と言われている一方で、日本で難民認定を受けるための証明基準は厳しく、国内の難民受け入れは、年に約 40 人、ドイツやアメリカの 1/1000、難民認定率は 0.5%と先進国の中では極めて少なく、難民鎖国と批判されています。
昨年は日本で難民申請をした男性が期間の上限を設けず、司法審査の機会がないまま長 期収容された問題について、国連人権理事会が「国際人権規約違反」という意見を採択しま した。
また、今年 3 月に名古屋入管の収容施設でスリランカ人の難民女性が死亡した事件に ついて、出入国管理庁は医療体制や職員意識に問題があったことを自ら認めています。
さらに、先の国会では、3 回目以降の申請者の強制送還を可能にする出入国管理法改正案 が出され、迫害の恐れがある国への送還を禁じた難民条約違反として、日本弁護士連合会などの支援団体や国連から批判され、廃案となりました。
日本の難民への人権意識には国際的にも疑問の目が向けられています。
よって、日本の難民認定制度を人道的なものとするために、国に以下の3点を含む改善を求めるものです。
1 収容の長期化を防ぐために、収容の要件及び収容期間の上限を定め、裁判所によって収 容の可否及び期間を審査する制度を創設すること
2 紛争地から逃れてきた申請者を適切に保護する定義を規定すること
3 難民の保護を十分に行いながら難民認定手続きを行う組織を出入国在留管理庁とは別に設置すること

