3月1日(木)

 

とうとうロンドンの宿に着いた。

 

わたしの宿は日本の企業がやっているので、日本人が管理人さんでとても助かる。

しかもお部屋がとても素敵で快適。

ベッドカバーが可愛いし、ミニキッチンまで付いている。

ああ、ここなら30日間過ごせそうだ。

時刻はまだ夕方の17時。

荷物を置き、ちょっと安心を得たわたしは、早速、街に繰り出してみることに(古いな)。

建物が本当に素敵だ、観るだけで飽きない。

 

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だがとにもかくにも、ロンドンは5年ぶりの本格的な雪。

今日いきなり寒くなったらしい。ホントに『雪女』のわたしのせいかもしれない。

わたしのせいかもしれないくせに、会津に生まれ育ったゆえ自分は寒さに強いという…。

ごめん、ロンドンの人々。

 

 

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「カバンは身体の前」という母の言葉を忠実に守りつつ、周りを歩いてみた。

ここでもう一度母に教わったいくつかのワードを思い出してみた。

 

「カバンは身体の前」

「粉はやめろ」

「あんこは喜ぶ」

 

母は偉大である。

 

さて、まず重要なのは、近くに快適なカフェがあるかどうか。

これ重要、だって名古屋人だもの。

いやコメダとは言わないよ、モーニングも無くてもいいよ。

だけどカフェは重要なのだ。

快適なカフェが見つかれば、ホンだって書ける。

そうだ、こっちに居たってホンは書かなきゃ。

ロンドンに来たから締め切りが無くなるなんてことはない。

締め切りは万国共通。

 

キョロキョロしてたら、まずスタバを見つけ、安心。

もっと歩いてみると、なんかさらにいい感じのカフェが。

とりあえずそこに入ってみる。

よし、英語でやり取りだ。

わたしはその時まで当然、ドリップコーヒーとかブレンドコーヒーなるものがメニューに書いてあるものだと確信していた。

ところが…無い。

おいおい、普通のブラックコーヒーはどれなんだ。

探しきれないうちにわたしの番が来てしまった。

なんだか陽気なお兄さんが応対してくれた。

わたしは仕方なく一番上書いてあるものを頼んだ。

 

「すみません、ラテをください、テイクアウェイで」

 

英語でそう頼むと、お兄さんは陽気にオーダーを通す。

違うんだ、ラテが飲みたいわけじゃない。

日本でもどこでもホットのブラックしか飲まないのに。

するとお兄さんはわたしの慣れない様子に気づいたようで、

 

「どこから来たの?」

 

と聞いてきたので、

 

「アイムフロムジャパン」

 

と答えるとお兄さんはさらに陽気さを増し、

 

「Oh!ゲンキデス!」

 

と言った。だからわたしもつられて

 

「元気です」

 

と答えた。

するとお兄さんは満足そうに、

 

「ゲンキデス!ゲンキデス!」

 

と連呼してきた。たぶん「元気ですか?」と聞きたかったのだろう。

おそらくわたしの英語もこっちのひとにはこれくらいにしか聞こえないだろうな、と思うと、なんだかお兄さんにとても親近感を持った。

ありがとうお兄さん、ゲンキデス!

 

宿に戻り、飲みなれないラテを飲みながら、わたしは今後の対策を練った。

研修計画を遂行するためのやることリストを作った。

明日はいよいよ、受け入れ先の劇場に挨拶に行く。

ちなみにわたしにはここに来る前からお世話になっている日本人の女性、Aさんがいる。

その方のおかげで今回の受け入れ先も見つかったのだ。

そのAさんとも明日劇場で会えるかもしれない。

いよいよ動き出すという緊張と、いまだ別世界にいるようなふわふわ感。

 

明日こそは普通のホットコーヒーを飲んでやる。

そう心に決めて眠りについた。