「そこにきみはいて」
を観てきました。完成披露試写会にFan's Voice枠が当たり観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
海沿いの街を旅する香里と健流は、恋人というより家族のような関係だった。しかし入籍が近づいたある日、健流は突然、自ら命を絶つ。香里は健流の親友だったという作家・中野慎吾のことを思い出し、健流の知らなかった一面を知るため、香里と中野は街をめぐる。
というお話です。
人と関わることが苦手な香里は仕事場での関係にも苦労をしていた。ある日、疎遠だった母親が亡くなり、後始末の為に弁護士を頼む。彼は鈴木健琉と言い、彼も香里と同じように人付き合いが苦手なようで、香里は自分と同じ匂いを感じる。
何となくお互いに似たモノを感じて付き合うようになった二人。実は香里は恋愛というモノがよく解らず感情表現も乏しい。俗にいうシゾイドパーソナリティ障害に近く、子供の頃の親による虐待が影響を及ぼしているのかもしれない。
そんな香里を受け入れてくれた健琉は、実は忘れられない恋人がおり、どうしても香里に対して恋愛感情ではなく家族のような感情しか持てなかった。しかし二人は一緒にいることで何かが変わるような気がして結婚を決めたのだ。
1年ほど経ち、婚約をした二人。海沿いの街に旅行に行ったのだが健琉は何か不満げだった。健琉は心と体のバランスに苦しんでおり、入籍が近づいたある日突然自ら命を絶ってしまう。香里はショックを受け、健琉が忘れられないと言っていた恋人を探すため、学生時代の親友の中野慎吾を訪ねる。そして…。後は、映画を観てくださいね。
この映画、独特な雰囲気の映画でした。出てくる人物たちもそれぞれに問題があり、社会での生き方に苦労していることが描かれていました。主人公の香里は感情に乏しくて恋愛という気持ちが解らないというんです。少し前にNHKで放送された「恋せぬふたり」というドラマの主人公に似ているかな。
そもそも人と関わるのが苦手で一人でいるのが好きな人が恋愛感情を抱くことは少ないでしょ。反対に恋愛感情があれば人と関わるし、一人ではなく誰かといるのが好きになるんじゃないかな。一人で読書や映画が好きだとしても、恋愛感情があれば飲み会に行こうとか出会い系に登録しようとかするんじゃないの?
この主人公のように若いのに恋愛感情が分からないというのは可哀想と思うけど本人は最初から感じていないんだから可哀想でも何でもない、それが普通なんですよね。但し、周りから浮いてしまい、白い目で見られるのは可哀想かな。
若い頃は恋愛話で大盛り上がりして、誰かをくっつけようとかありましたよね。この映画の中でも香里が会社の合コンに無理やり連れだされて、後輩の女子に意地悪とかされてる場面がありました。香里が恋愛に興味が無いのを知っていて合コンに誘ったりして、マジで少女漫画のいじめで、観ていて気分が悪かったです。
あんまりネタバレ出来ないので感想が書き難いんですよねぇ。健琉のことも書きたいんだけど、彼のことを書き始めるとどうしてもネタバレになっちゃうので難しいんです。健琉は真面目でお勉強も良く出来て、それで弁護士になったんだと思うんです。ご両親の自慢の息子だったんだと思いますが、本人には全てが重荷だったような気がしました。
もし、彼が両親もおらず自由な生き方が出来る人だったなら、自殺はしていなかったと思うんです。地位も名声もあり、両親の自慢で、後は結婚して子供が出来れば完璧な理想の家族となるんだろうけど、それは古い人間の価値観を押し付けられているだけなんです。彼の願った生き方では無かったんです。ずっと我慢してきたんだけど、それが我慢出来なくなったんじゃないかな。香里は健琉の助けにはなれなかったんです。
健琉はずっと好きな人がいて、どうしても忘れることが出来なかったんです。ずっと愛し合っていたのに世間体を考えて別れを選択したんです。私は好きならどんな障害があっても付き合っていくべきだと思うんですけどね。そんなに世間体って大切ですか?どーせそんなに周りなんて見ないし、誰かが何か言っていたって、聞かなきゃいいでしょ。
しあわせな自分を満喫して、そこに存在し続ければいい。どんなことがあっても、自分は自分でしょ。変わらないんだから大丈夫です。そうそう、この映画を観ていて、1992年の古い映画「きらきらひかる」を思い出しました。あの映画のように家庭内だけでも理解しあえたら、世間体や社会との関わりも少しは我慢出来るし、励まし合って乗り越えられるかもしれません。
今思い出すと「きらきらひかる」という映画って凄い斬新な内容だったんだな。現代の多様性とかなんちゃら言っている時代よりも全然前なのに、いまよりも自由な発想で凄い役者が頑張っていたんですよ。もー、脱帽です。現代に続く古い映画もちょっと観て欲しいな。
この映画の話に戻って、一人になった香里はどうするんだろう。深い洞察力を持ち合わせているので、小説家にでもなってみたらいいんじゃないだろうか。これからずっと一人で生きていくよりも本でも書いて、溜まっているもやもやした気持ちを外に吐き出したらいいんじゃないかと思いました。
私は香里という人物好きです。無表情なんだけど、きっと凄い考えて相手のことを思いやる気持ちを持っていたんじゃないかな。一瞬、唯の天然ボケでは?と思ったりもしたけど、福地さんが演じているので、どこか寂しさと強さがあったように見えました。
健琉役の寛一郎さん、マジでカッコ良かったです。あの憂いを秘めた目を観ていると、こちらの目までウルウル来てしまいます。どんどん色っぽくなっているように見えました。もっと色々な役を観てみたいな。時代劇ももっとやって欲しいし、アクションも観てみたいです。
(舞台挨拶の様子です。写真を撮らせていただけました。)
私はこの映画、超!お薦めしたいと思います。静かな映画ですが、内に人間の負の部分が描かれていて、そんな暗い部分とどう向き合っていくべきなのかと考えてしまうような映画でした。福地さんと寛一郎さんが素敵でとても満足しました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
「そこにきみはいて」











