KRW売られる一方で朝鮮日報は「米国日本とスワップを」
https://shinjukuacc.com/20200317-04/
 
 

韓国ウォンが1200ラインの最終攻防戦を展開中

2020/02/08

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「米国日本と通貨スワップを速やかに締結せよ」とする記事が掲載されました。

といっても、記事を読んでいると地味に不快感を急に催す記載もあり、

また、韓国側が作り出した日本韓国間の

諸懸案は一切解決していない状況にあります

なので、日本の有権者のひとりとしては、

おいそれと「通貨スワップを提供すべき」

とは言い出しづらい雰囲気にあることは確かでしょう。

 

朝鮮日報「米国日本とスワップを」

 

数日前から当ウェブサイトでも注目している論点のひとつが、隣国のドル不足です。

 

先ほどの

ムン大統領G20テレビ会議提案に米国オブライエン"非常に良い提案

では、韓国メディア『ニュース1』(韓国語版)に掲載され、

韓国メディアで通貨スワップ(あるいは為替スワップ)の待望論が見られる、

という話題を紹介しました。

 

その際、紹介し忘れたのが、

同じく韓国メディアである『朝鮮日報』(日本語版)の、次の記事です。

S-KoreaCrisisQuicklyEnterIntoSwapWithUS-Japan

2020/03/1709:18付 朝鮮日報日本語版より)

 

朝鮮日報の記事タイトルは、先ほどよりもっと踏み込んで

「米国日本と通貨スワップを」と記載されています。

記事の書き出しは、こうです。

 

米国連邦準備理事会(FRB)は15日、ゼロ金利と量的緩和だけでなく、

通貨スワップ金利の引き下げという緊急対策を講じた

 

この記事で「通貨スワップ金利の引き下げ」とあります

が、これは当ウェブサイトでは

G7emergencyMetS-KoreaStronglyAwareExchangeSwap1

でも紹介したとおり、

「通貨スワップ」とあるのは

「為替(foreign-exchange)スワップ」の間違いでしょう。

 

主要6中央銀行日本、米国、欧州、英国、スイス、カナダは

現在、期間・金額無制限の為替(foreign-exchange)スワップを保持しています。

このネットワークに参加している中央銀行であれば、

お互いの通貨を引き出して国内の銀行に貸し付けることができる、という仕組みです。

 

たとえば、日本国内の民間銀行が米ドルを必要とするときには、

この銀行は日本銀行に担保を差し入れ、

日本銀行は米国FRB(厳密にはニューヨーク連銀)に円資金を担保として差し入れ、

ドル資金を借りてきて、それを民間銀行に貸してあげることができます。

 

言い換えれば、日本、米国、欧州、英国、スイス、カナダ

6ヵ国・地域の民間金融機関にとっては、

担保さえ積めば、6つの通貨で短期借入をすることができるのです

(もっとも、米国ドル以外の流動性供給については、

ほとんど利用実績はないようですが…)。

 

どうでも良いのですが、

この為替(foreign-exchange)スワップを巡り、朝鮮日報の記事では、

 

FRBは同日、

通貨スワップ協定を結んだ欧州連合(EU)、英国、カナダ、スイスの

中央銀行に対するスワップ金利を0.25%引き下げると表明した

 

とあります

が、文章からわざわざ日本を抜くあたりに悪意を感じるのは気のせいでしょうか。

 

為替スワップ同盟から弾かれた韓国

 

それはさておき、朝鮮日報は記事のなかで、

 

ゼロ金利と量的緩和が主に米国企業と金融市場を対象とする国内向け対策とすれば、

通貨スワップ金利の引き下げは主な経済同盟国がドルを調達しやすくする

海外向けの対策だ。

しかし、韓国はFRBと通貨スワップ協定を結んでいないため

恩恵は受けることが難しい。」

(※下線は引用者による加工)

 

と述べていますが、「恩恵を受けることが難しい」のくだりは、

「韓国は関係ない」、の間違いでしょう。

なぜなら、韓国銀行はそもそも

この「為替(foreign-exchange)スワップ協定」に加わっていないからです。

 

そして、朝鮮日報は驚くべき主張を展開します。

 

専門家は『金融・為替市場の危機を防ぐため、

米国日本などと速やかに通貨スワップ協定を結ぶべきだ』と指摘した。

(中略)鄭徳亀(Jeongdeok-gu,정덕구,チョン・ドック)理事長は

『今急いでこそ、米国などと最大限大きな規模の

通貨スワップ協定を結ぶことができる』と述べた。」

(※下線は引用者による加工)

 

「為替(foreign-exchange)スワップ協定」からわざと日本を抜いて表現したくせに、

なぜ「米国日本」と、日本を絡めてくるのでしょうか。意味がわかりません。

 

また、朝鮮日報も例のWSJの社説を引用し、次のように述べます。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近の社説で、

『金融市場の安定のため、FRBはオーストラリア、韓国、中国、台湾、香港

などと通貨スワップ協定を結ぶべき』」と主張した。

韓国企画財政部、韓国銀行など関係当局は通貨スワップ協定について、

『金融のセーフティネットを強化するために努力している』

とコメントした。

 

WSJ-FRB-ForeignCentralBankForeignExchangeSwap1

WSJ "FRB는 외국 중앙 은행과 통화 스왑 연장을"

WSJ「FRBは外国中央銀行と為替スワップ拡張を」

 

この書き方からすれば、韓国政府や韓国銀行などの当局は、

少なくとも日本米国との通貨スワップや為替(foreign-exchange)スワップについては

具体的な交渉が何もできていないように見受けられます。

 

韓国のスワップは意外と充実している

 

さて、いつもの話題ですが、

韓国が保有している(と自称しているものも含めた)

スワップを一覧にしておきましょう(図表)。

 

図表 韓国が保有している(と自称しているものを含む)スワップ

 

相手国と失効日

金額とドル換算額

韓国ウォンとドル換算額

中国(2020/10/13?)

3600億元(514.1億ドル)

64兆ウォン(516.3億ドル)

スイス(2021/2/20

100億フラン(105.2億ドル)

11.2兆ウォン(90.4億ドル)

UAE(2022/4/13

200億ディルハム(54.4億ドル)

6.1兆ウォン(49.2億ドル)

マレーシア(2023/2/2

150億リンギット(34.6億ドル)

5兆ウォン(40.3億ドル)

オーストラリア(2023/2/22

120億豪ドル(73億ドル)

9.6兆ウォン(77.4億ドル)

インドネシア(2023/3/5

115兆ルピア(76億ドル)

10.7兆ウォン(86.3億ドル)

二国間スワップ小計

857.3億ドル

106.6兆ウォン(860.0億ドル)

CMIM

384.0億ドル

 

合計

1,241.3億ドル

 

カナダとの為替スワップ

期間、金額無制限

 

(【出所】韓国銀行発表等を参考に著者作成。

換算額は日本時間3月17日午後4時20分頃のWSJのマーケット欄を参照)