荒れた海が ふと息をひそめる。
風が止み、時がほどけ、
光がひとすじ――心の奥へ差し込む。

静寂の中心に、ひとりの影。
微笑みは波を鎮め、
私は迷うことなく、その方角へと走り出す。

潮が引いたあとに残るのは、
もう悲しみではなく、
再び会えるという確信。

別れを越えた魂たちは、
姿を変えて、
「今」を生きる私に触れてゆく。

目を閉じるたびに、
あの海の音が呼んでいる。
――“もう、怖がらなくていいよ” と。

私は手を振り、微笑む。
すべての出会いは、
光へ還るための旅路だったのだと知って。