著作権のお話NEXT | 調布ヶ丘第3倉庫(西中島分室)

著作権のお話NEXT

武雄市関係で著作権の話をすることはもうないかなーと思ってたら、思わぬ問題にぶち当たった。

草津市議西垣和美氏のブログ「未来に責任ある支持を:心ほっとBlog@にしがき」に「企業という自覚の武雄市」という記事を目にした。
 
内容は武雄市視察レポであるが、そこに「市立図書館の指定管理者が、蔦屋を経営しているグループで、これまでの公立図書館の概念をひっくり返すような形態です。たとえば、図書館にスターバックスが入り、飲食可能。物販可能。DVDやCDの数も半端でなく、館内では無料視聴、試聴でき、借りるときは有料。20万点の書物を開架。」という図書館に関する言及があった。
 
蔦屋を経営するCCCが指定管理者となることや、スタバが入り飲食可能、物販可能、DVDやCDのレンタル、20万点開架はまぁいいとして、目が点になったのは、DVDやCDの館内視聴が無料ということ。
 
DVDやCDは蔦屋のレンタル用在庫と考えられるが、これを館内視聴で無料にすると、著作権的にえらいことになるのではないかとふと思ったのだ。

DVDやCDは言うまでもなくそれぞれ映画の著作物であり音楽の著作物だから当然著作権法による保護の対象となる。

著作権の内容にはいろいろあるが、DVDやCDで特に問題となるのは「貸与権」(法26条の3)と「上映権」(法22条の2)である。

レンタルの場合は貸与権が問題となるので、通常レンタル用DVDやCDはしかるべき権利処理(要するに許諾)を行い、レンタル1回いくらという使用料を著作権者に支払う仕組みとなっている。
武雄市図書館に同居する蔦屋でもレンタルに関しては上記の権利処理を行い、レンタル毎に使用料を著作権者に収めることになっているはずである。

では、館内視聴に関してはどうか。

館内視聴は館内での貸出しということではないから「貸与権」の問題とはならない。
不特定または多数の図書館利用者に再生機器を使って視聴させるものだから、「公の上映」に該当するとして「上映権」の問題となる。
だから、館内視聴させるにしてもやはり著作権者の許諾が必要であり、何らかの権利処理を行わなければならないはずである。当然、そこにはレンタル同様に使用料を著作権者に支払うという必要も出てくるだろう。
とすると、館内視聴を無料にすると使用料支払いの分だけ確実に赤字となる。
その赤字をCCCが蔦屋としての営業分から埋めるということならさほど問題はないのだけれど、蔦屋と図書館は設備やスタッフなど一体となっているような感じで、ひょっとしたら図書館運営の委託費用の中から埋め合わせがされてしまうかもしれない。
そのあたりは大丈夫なのかというのが、僕の問題意識。

なお、「上映権」に関しても無許諾でOKな例外もあるにはある(法38条1項)。
その要件は
1 「上演」「演奏」「口述」「上映」のいずれかであること(「コピー・譲渡」や「公衆送
信」は含まず)
2 既に公表されている著作物であること
3 営利を目的としていないこと
4 聴衆・観衆から料金等を受けないこと
5 出演者等に報酬が支払われないこと
6 慣行があるときは「出所の明示」が必要
である。
営利のレンタル事業者である蔦屋のレンタル用在庫商品を上映することは、上映の対価を得ないとしても、営利事業者への顧客誘引のためとして営利目的を否定することは困難だから、法38条1項の例外には該当しないものと考えられる。

ちなみに、今日の昼間、

武雄市図書館の1Fを占拠する蔦屋でCDやDVDの有料レンタルをするようだが、館内視聴は無料という話もある模様。その場合、館内でも貸与だからとレンタル同様に1回あたりいくらといったレンタル使用料を著作権者に支払う必要があるのではないか。 #takeolibrary

あくまで営利企業たる蔦屋の在庫だから著作権法38条の例外に該当しないとなりそうだし。もし使用料が必要ならそれは蔦屋の計算で処理することになって図書館運営費から支弁してはいけないことになるな。このへんどうなんだろ。#takeolibrary #たけお問題 #takeolaw

とメモ代わりにツイートしてみた(館内視聴が貸与同様と言ってるのはちゃんと調べる前だったので不正確)。
すると、樋渡啓祐市長(@hiwa1118)から

ないです。 RT @baked_pudding RT@yuki_k1: ・・館内視聴は無料という話もある模様。その場合、館内でも貸与だからとレンタル同様に1回あたりいくらといったレンタル使用料を著作権者に支払う必要があるのではないか。#takeolibrary

と反応があった。
無料視聴がないですなのか、使用料の支払いの必要がないですなのか、いまいち不明確だが、後者として、ほんまに大丈夫なんやろか?
レンタル屋の在庫商品をお客さんに無調で視聴させても著作権者に使用料を払わなくてもいいということであれば、著作権関係のビジネスが劇的に変わる話になるのだが。

知財が専門の先生方はどう思われるのか、気になるところではある。