キャンディの森 311話 テリィ物語 タロットカードの占い師 | キャンディの森

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キャンディキャンディ 私的二次小説

翌朝はいい天気だった。
「う〜ん!素晴らしいお天気ね!雪も止んだみたいだし。お天気もテリィのデビューをお祝いしているようだわ。」
キャンディは心を弾ませていた。豪華ホテルでの一人の宿泊は寂しいものではあったが、テリィの心からのプレゼントでもあったので、何もかもが愛しく、ルームサービスの朝食ですら、キラキラ輝いて見えた。

「キャンディス様、ご朝食の用意ができました。」
ホテルのボーイが豪華なワゴンで朝食を運んできた。
「は〜い!ただいま!」
ワゴンには食べきれないほどの量の朝食がズラリと並んだ。
「こんなに。。!  食べきれないわ。。」
「お出かけまでには時間がございますから、お散歩にでも行かれたらいかがでしょう。帰られましたら、少しまたデザートなどお持ちいたしましょう。」
「ありがとう!でもそんなたくさん食べたらドレスが入らなくなるわ。。見てるだけで満足よ!」

キャンディは空を見上げながら、食べる前にお祈りをした。
「こんなに豪華な部屋、そしてお食事に感謝します。テリィ、ステキなプレゼントをありがとう。。どうかあなたの初主演の舞台が成功しますように。。」
そう祈って、十字を切った。

「さてさて!いただきまぁ〜す!ああ、テリィがいたらなぁ。。美味しい!このパンケーキ!食べた事ないぐらい美味しい!うん!最高!」

キャンディは今日というこの日がどれだけ素晴らしい日になるかとしか考えられなかった。
朝食を終えて、近くに公園があるらしく時間もあったので散歩に出た。ニューヨークの街にはストリートミュージシャンや占い師や露天商など、様々な珍しいものがたくさんあった。
「う〜ん、お腹いっぱいだから運動するのに丁度いいわね。。寒いけど気持ちいい。。あら、何だろう?」

タロット占い師が路上にいた。
「お嬢ちゃん。。どうかね。占い。」
「占い?」
タロットカードには嫌な思い出があった。昔、アンソニーと初めてデートした時にふたりでタロット占いのおばさんに占ってもらった事があった。その時に出たカードは「死神」のカードだったのだ。不吉な予感がしたがアンソニーは笑っていた。
「僕はそんなの信じていないよ、キャンディ!」
でもアンソニーはその後すぐに亡くなった。その事を思い出した。

「いいわ、おばさん。私信じてないから。」
「まあ、そう言わずに。カードはいろんな事を教えてくれるんだ。参考程度に聞くのも面白いよ。。」
「そう。。?  じゃ。。」
暇つぶし程度と思いながら、キャンディは占い師の前に腰を下ろした。
占い師はまじないの言葉のようなものをつぶやきながらカードを並べた。
「さぁ、ここは何かな。。」そう言いながら占い師はカードをめくった。

「う〜ん。。お嬢ちゃん。。ちょっと。。」
出てきたカードは、運命の輪の逆位置、恋人の逆位置、太陽の逆位置、隠者の正位置、真ん中は悪魔の正位置だった。
「これは。。」
「どうなの?おばさん。」
「あんた、恋人がいるのかい?」
「えっええ。。」
「その恋人は何か隠しているね。。」
「えっ!!」
テリィが話があると言っていた事を思い出したので余計に気になりだした。
「その恋人は大変な運命を背負わされとる。運命の針がうまく進まなくて逆方向へ向かうような何か恐ろしい事が起きている。悪魔の呪いのような事だな。。」
「ええっ?!そんな恐ろしい事?」
「ああ、太陽が沈み、賢者が逆位置、吊るしびとが正位置、何か悪魔的な力によってがんじがらめのようじゃ。」
「がんじがらめ?テリィが?」
「そうじゃ。。恐ろしい。こんなカード展開は珍しい。。」
「ねぇ、未来はどうなるの?」
「じゃカードに未来を尋ねてみよう。。」
もう一度、占い師はまじないの言葉を唱え、ダビデの星のように並べた。
「戦車の正位置、運命の輪が正位置、最後は。。死神の正位置。。」
「きゃっ!!死神!!」
「お嬢ちゃん、死神は別に怖いカードではない。これは新しい出発を表すんじゃよ。」
「新しい出発?」
「そうあんたの未来は明るい。あんたは強い女だ。戦車が出とるだろ?運命と戦っていく姿が示されるねぇ。運命はやがて正しい方向に回る。それまでは苦労じゃが、自分を見失うんじゃないよ。それにこの恋人は、大変弱っている。自分の気持ちを打ち明けられないでいる状態じゃ、いたわってやりなさい。。悪魔に首を絞められてる姿が見えるようだからね。。」
「何だか怖いわ。。悪魔だなんて。。おばさんそこまでわかるの。。?」
「私は、ジプシーなんじゃよ。家はあっても無いようなもんなんだ。こうやって人様の運命を当てて、神様からの言葉を伝えてご忠告をしているのさ。カードには神が宿っているからね。。」
「もし、当たらなかったら?」
「よく言うだろ?当たるも八卦。。八割当たれば大当たりさ。」
「なんだ!良かった!全然当たってないと思うけど!」
「当たってない事を祈るよ、お嬢ちゃん。。」
「でもありがとう!面白かったわ。」
「はい、1ドル。。ここへ。」
キャンディはお金を払って再び歩きだした。

そして占い師の言葉を思い出していた。

「あんたの恋人は弱っていて、大変苦しんでいる。。」

テリィが苦しんでいる?確かに元気がない。。いつもと様子が違う。。私には挨拶のキスもなかった。そして話があるって。。

今日が初日だから緊張していて、大変な思いをしているからだとキャンディは勝手に思っていた。テリィがスザナの事で苦しんでいる事など想像もつかなかった。

「まあ、いいわ。今日終わったら何か聞いてみるべきね。外れてたらテリィと二人であのおばさんのところに行って、大はずれよって言ってあげなきゃね!」

キャンディは寒い手を擦り合わせながら手に息を吹きかけた。
「でも、もし、本当に当たったら。。ううん。。信じない!信じない!私の未来は明るい!そう、何があっても強く生きるわ!私は私ですものね!テリィ!」

キャンディはすっかり占いの事は忘れて賑やかなショーウィンドウを見ながら歩いていた。そして、いつか横にテリィがいて、腕を組みながらこの街を当たり前に歩くカップルになるんだろうかと思うと幸せな気持ちがどこまでも広がった。


「そうだ!テリィにお花を渡そうっと!そうテリィに似合う真っ赤な薔薇をたくさん買ってふたりでお祝いしよう!」

スィートキャンディのバラの色は淡いピンク色だったな。。テリィは真っ赤なバラが似合うわ。。

キャンディは花屋さんで大きな花束を買ってテリィとふたりでお祝いするためにワインも買った。

「そうね、こうなったらとことんびっくりさせちゃおうっと。。あっあの髪留めかわいいなぁ。。ドレスに合いそう!あの靴もいいわね。。それともあっちの方が。。」

そんなこんなでホテルに着くと夕方をとっくに過ぎていた。

「さぁ、急いで着替えなきゃ!テリィの好きなすみれ色のドレス。。テリィ。。きれいって言ってくれるかしら。。」

キャンディはドレスを胸に当てて部屋の中で踊るように喜んでいた。