The dog actually Times

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[photo from The Telegraph

私たちが普段何気なく使っている"ペット"という言葉。犬や猫、鳥、魚など、人間とともに暮らす動物のことをさしています。もともとは英語の"pet"が、日本語でもそのまま"ペット"として広く使われていますが、その、ペットという言葉を使用することそのものが不適切ではないかとする論説を、英国のオックスフォード大学の研究者らが、動物倫理学の専門誌『Journal of Animal Ethics 』に発表しました。

『Journal of Animal Ethics』の編集者でもある、オックスフォード大学の Andrew Linzey 教授らは、"pets(ペット)"という言葉、そして"owners(飼い主、所有者)"という言葉のいずれもが大変侮辱的な言葉であるとし、それぞれ、"companion animals(コンパニオン・アニマル、伴侶動物)"と""human carers(世話をする人)という言葉に置き換えるべきであると言っています。なぜならば、動物に対して軽蔑するような言葉が使われることで、それらの動物への扱われ方に影響を及ぼすと考えているからだそうです。

確かに、日本語でペットという言葉を人間に当てはめて使う場合、決していい意味合いを含んだものではありません。そこには主従関係が存在しているでしょう。一方、彼らが提唱する、コンパニオン・アニマル:伴侶動物という言葉からは、共生する動物との対等な関係が存在しているという印象を受けるかと思います。また、飼い主、所有者(owners)という言葉は、道徳的な扱いが制約されない資産や機械などの物に対して使うものでもあり、命ある動物が果たしてそれらと同列なのか?ということにもなるのです。

彼らは、"wildlife(野生動物)"という言葉についても、その代わりに"free-living(自由に生きるもの)"という言葉を使うことを提案しています。wildness という言葉には、野蛮とか乱暴というような意味合いが含まれているからです。

さらには、キツネのようにずる賢い(sly as a fox)とか、ブタのように食べる(eat like a pig)といった、形容詞的に動物を使う言葉についても、動物に対して誤ったイメージを抱いてしまう恐れがあると指摘しています。

英語と日本語では言語は異なるものの、それぞれの言葉が持つ意味合いやイメージの影響力について考えることは大切だと思います。みなさんは、ご自身の愛犬のことをペットといいますか?知り合いの犬、見知らぬ犬たちについてはどうでしょう?そもそも、ペットという言葉は本当に侮辱的であると感じますか?また、"○○ちゃんの飼い主さん"と言わずに"○○ちゃんのパパ、ママ"といった言葉が広く使われるようになってきているのも、もしかしたら、"飼っている人/飼われている犬"という構図を無意識のうちに感じて避けているからなのかもしれないとも思うのです。