私は、着付け教室や自らが主宰する学びの会の名に

『なでしこ』と名づけました。
けれど、それは「撫子の花のようでありたい」という意味ではありません。




鹿児島・知覧を訪れたとき、特攻隊資料館で見た「なでしこ隊」の存在に、魂が揺さぶられたのです。

(なでしこ隊とは戦時中、知覧基地で特攻隊のお世話係を命じられた女学校の少女たち)



写真の中の彼女たちの笑顔──



無邪気に笑っている写真の中の彼女たちを見て、

その笑顔に胸を打たれ、しばらくその場を動けませんでした。



今、私たちは本当にこの平和な毎日を精一杯生きているだろうか。
何不自由なく笑えるこの時代を、どれほど尊く感じているだろうか。


平和であることの尊さ、

今を生きることの重みを、胸の奥で感じました。





──そして、奇跡のような出来事が起きたのです。



知覧から帰宅した翌日、訪ねてきた保険の方が、小さな袋を渡して下さいました。




それは──"なでしこの花の種" 


偶然とは思えませんでした。
まるで、「この名を受け取りなさい」と誰かに背中を押されたようでした。




今の時代、着物は日常着ではありません。
けれど、平和でなければ、着物を楽しむことはできません。
私たちがこうして装いを楽しめるのは
先人やご先祖様の努力と祈りがあったからこそ。


モンペではなく、

美しい着物を身にまとい、笑顔で生きられる世界であり続けますように。(モンペも可愛いくて好きです。誤解なきよう...)


その願いを込めて──
私は、屋号を『なでしこ』と名づけました。




あの日いただいた"なでしこの花の種の袋"。

10年経った今も、大切に保管しています。

それは、私にとって原点を思い出させてくれる小さな祈りの種です。