義母の命日の出来事
7月24日、この日は義母の8回目の命日でした。
私たちは、朝早くに家を出て、
義母の眠る大森へお墓参りに行きました。
まだ午前中だというのに、太陽は容赦なく照りつけていて、
私は思い出していました。
あぁ・・・8年前の今日も、まさにこんな暑い日だったと。
お墓参りを終え、駅まで歩いていた時でした。
私たちの足元で動く何かを見つけました。
それを見て、私はびっくりしたのでした。
「生きたセミの抜け殻って!!」
そう叫んだ私に、夫が横からすかざずこう言いました。
そう突っ込みながらも・・・
夫も初めて見たというのです。
歩道の横に植えられた木の下から、這い出てきたのでしょう。
でも、生きたセミの抜け殻・・・じゃなかった、
羽化前のセミ? は、出てきた穴のすぐ近くにある木には
登ることなく、歩道へ歩道へと歩き出していたのでした。
このままじゃ、気づかれないで、歩行者に踏まれてしまうか、
自転車に引かれてしまうのも時間の問題でしょう。
夫は、傍に落ちていた木の枝を差し出して・・・
捕まえようと必死でしたが、
セミはなかなか木の枝にしがみついてはくれませんでした。
歩道でしゃがみこむ私たち・・・。
それを見ていた長女は、
他人の目が気になるようで、こう言いました。
しかし、夫は長女をキッと睨むと、
いつになく強い口調でこう言ったのです。
「セミがどんな一生を過ごすか、
ぺーちゃん知っているだろう!!」
*アブラゼミは6年
そうして、夫は暑さと戦いながら、
無事にセミを木に戻してあげたのでした。
任務終了! と思いきや、
でも、夫はなかなかその場を去ろうとはしませんでした。
男って・・・
いつまでも少年の心を持ち続けているものなんですね?
でも・・・もうそろそろ行かないと、
熱中症にもなりかねない暑さでした。
と、夫の方を振り返って・・・
なんと、夫がセミに語り掛けているじゃありませんか!!
か・・・か・・・・
耳の錯覚でしょうか?
今、母さんって聞こえたんだけど!!
すると、夫は、何の躊躇いもなくこう言いました。
「そうさ・・・さっきから思い始めていたのさ。
今日は母さんの命日じゃないか・・・。
そして、今日、
俺は生まれて初めて羽化する前のセミを見たんだよ・・・
これは偶然じゃないんだ!
絶対にそうさ! このセミは母さんの生まれ変わりだって!!」
このセミがお義母さんの生まれ変わりだって?!
男って・・・
女よりはるかにロマンチストって言いますけど・・・。
でも、まさか、このセミがお義母さんの生まれ変わりだと
言い切るとは!
その時、私には聞こえたような・・・。
天国から叫ぶお義母さんの怒鳴り声が・・・。
あれは私の空耳だったのでしょうか?
お義母さん!
あなたの息子はそう言い切っていますが・・・
お義母さん・・・お義母さんなのですか?
私は、このセミがお義母さんの生まれ変わりでないことを
祈ってます。
だって・・・それじゃあんまりにも、
はかなすぎるじゃありませんか!