桜終え丘に名残りの芝桜

( さくらおえ おかになごりの しばざくら )


「桜」は散ってしまったが、「桜」の名を持つ草花がまだ地上を賑わしている。その代表的なものが「桜草」であり「芝桜」である。



以前にも取り上げたが、江戸時代の著名な俳人小林一茶は、そのことを以下の句に詠んでいる。

我国は草もさくらを咲きにけり



この句では、「桜草」を取り上げたものと思われるが、「桜草」に関しては、既に本ブログで取り上げているので、今日は「芝桜」について詳しく見てみたい。



「芝桜」は、その名の通り、「芝」のように地を這うように広がり「桜」に似た花を咲かす。淡桃、赤、薄紫、白色など色が多彩で、グランドカバーとして公園などでよく見かける。


 

古くから、石垣や広い斜面を彩る花として親しまれているが、地面を覆うように咲き、土の流失を防ぐ役割も果たす。

 


 

本日の掲句は、そんな「芝桜」が公園の丘を飾ったいるのを見て詠んだ句である。「芝桜」は春の季語。



因みに、「芝桜」について、過去に詠んだ句は意外と少なく、以下の2句のみだった。


【関連句】
① 咲きどころ地べたに変えて芝桜
② 桜散りまだ桜草芝桜




「芝桜」は、ハナシノブ科フロックス属の多年草。原産地は北米。花期は4~5月頃。既述の通り、「桜」に似た形の淡桃、赤、薄紫、あるいは白色の花を咲かせる。別名は「花詰草(はなつめくさ)」。



「芝桜」で詠んだ句を結構ある。以下には、その中からいくつか選んで掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

【芝桜の参考句】
紅白が丘を二分の芝ざくら /鷹羽狩行
風這はせ色を這はせて芝ざくら /杉本艸舟
絵に文字に丘一面の芝桜 /遠藤清子
足元の風に色あり芝桜 /堀百合子
ひとところ日に盛り上がり芝ざくら /渡部志津子