Hoshi World Inc. Blog Edition -2ページ目

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04Apr
- 4月3日2020年のアメリカの状況
  (C) 2019 New York Social Diaryアメリカのすごいところは、州や市ごとに独立した法があって、本当に必要とあればそれらを、市長や知事命令で変えてしまえること。先月アタマまではコロナを甘く見ていたアメリカのいまは、どの州も、市も、1日単位で、ローカル・ルールを当たり前のように変えている。(C) 2020 CDCCDCの最新情報によれば、昨日の段階で、アメリカ全土のコロナ感染者数は、239,279人。そしてこのウィルス感染による死者は、5,443人。アメリカ50州すべてで感染者が確認されており、特に深刻なのが、ニューヨーク州の90,279人。カリフォルニア州は9,191人だが、4,000万人という総人口を考えると、感染者数増加を驚くほどうまく抑えられてる。(C) 2020 LA Weeklyロサンゼルスを始めカリフォルニア州の大都市が、ニューヨークの各都市よりも一週間ばかり早く、外出自粛要請を出し、娯楽を閉め出したことの効果が、明確に数字に表れている。無論、油断は禁物で、ロサンゼルス市長ガルセッティは日々の定時報告で「これから数週間が危険、外出を一層控えるように」と念を押しているし、マリブ・ビーチで自分勝手に行動していたサーファーが昨日、「市の命令に背いた」現行犯として逮捕されたりもした。特に大都市ほど、規制は緩むどころか加速の一方、6月辺りまで文字通り、身動きが取れなくなるのでは、との空気が強く感じられる。(C) 2020 Al Jazeera私が住んでいる、郊外の小さな町だって他州の大都市の動きには影響を受けまくるもので、市民ひとりひとりがソーシャル・ディスタンシングをきっちり取るようになったし、買い物の際にはマスクをつけていない客を数えたほうが早いほど。ニューヨークやロサンゼルスのような大都市の在住者はこれからさらに不便な生活を強いられるかもしれないが、私が住むエリアにもその余波は必ず出てくるので、モグラはたまた冬眠するクマの気分で、2020年という奇妙な年を過ごすしかないだろう。少なくともうちの近所の住人たちは、幸い在宅勤務で問題ない一家ばかりなので、供給される娯楽に関しては、わりと諦めムードになっている。(C) 2005 Nine Inch Nailsしかし何よりも、この3週間ほどで一番失われたのがおそらく、曜日の感覚。私自身はここ何年かは完全に在宅に切り替えているので、曜日の感覚にはただでさえ疎かったが、それでもたとえば、月水金の朝は早起きして家族の弁当を作る（代わりに火木は学校のカフェテリアなどを利用）、日曜の昼はアジア系のマーケットに行く、火曜はアメリカやラテン系のスーパーへ、木曜はショッピング、土日の午前は映画、といった具合に、曜日を意識させる、独自の生活ルーチンが築かれていた。それがいまは完全に崩壊しているので、ヘタしたらこの文章を打っている今日が何曜日なのかが、一瞬、思い出せなくなる。(C) YAWDまあ、社会人になると曜日の感覚がどんどん失われるものではあるけど、かわいそうなのは、学校に通っている生徒さんたちだ。学校の数が尋常ではないニューヨークとロサンゼルスは逸早く、ほぼすべての学校が座学を、年内いっぱい休止する方針を打ち出している。規模の大きい学校はオンライン・レクチャーへの切り替えを試行錯誤しているそうだが、規模の小さい、私立の学校は、対策がタイヘンだろう。特にK-12（小中高の12年間）は、他の生徒たちとの接触がないと、良きにつけ悪しきにつけ、社会性や人間性に欠けてしまう恐れが大いにあるので、我が家を含めた、この年齢の子供たちを抱える親は、頭が本気で痛いところだ。(C) 2020 History Channel人類は1918年に、今回のコロナのような被害を世界で巻き起こした「スペインかぜ（Spanish Flu）」を経験しているが、2020年の今は医療が発達しているから、102年前のときのように沈静化に2年もかかるのを想像したくないが、正直、事態があまりに予測不能なので、何らかの答えを出すのが得意な私でも、明日なにがどうなっているのかなんて、分からない。いまの願いとしては、「皆が早く、日常へ戻れるように」。(C) Ships in Bottles見通しの暗い話が続いてしまったので、気持ちを切り替えて。まーーーーー、こんだけ自宅でのヒマな時間が増えると、子供たちと古雑誌で作ったライトセーバーでチャンバラ、ネトフリやディズニープラス漬け（Binge Netflixing/Disney Plusing）、編み物にチャレンジ、英会話レッスン用の教科書作り（コロナに関する教材がメイン）、ボトルシップ作り（＝世界最高難易度のイライラ棒）についに手を出し始める、などなど、これはこれで、普通に日々を楽しんでいると言えなくもない。最も良い暇つぶしになるのが、私にとっては、「音楽アルバムを聞く」。ここまででちょっと長くなりすぎたので、詳細は次回にでも。（Stephen）
31Mar
- 3月30日2020年のアメリカの状況／ラジオ番組
  (C) 2020 New York Times娯楽関係があちこちの州から姿を消して、もう10日ぐらいは経った気がするが、人間はやはり環境適応力が高いもので、自主的な外出制限を強いられていても、不思議と静かに暮らしていける。うちの近所は住民が特に落ち着いているようで、気分転換のジョギングなどに出る際にも、互いにきちんとそれなりの距離を、もう自然な形で取れている。ソーシャル・ディスタンシング（social distancing）の2文字がアメリカでここまで、こんな短期間で主流になるなんて、やはりどっかで現実感が無いが、それを現実として普通に受け入れてもいるから、妙な時代に生きているとも思う。(C) 2020 Hillsborough Countyソーシャル・ディスタンシングは特にスーパーやグローサリーのレジで徹底されており、パーティション（衝立）などで簡易的な壁を設け、廊下にガムテープで「Ｘ」マークを6フィート（約2メートル）間隔で貼り、無用なトラブルや不安を客に与えない各店の対応力の高さを、思い知らされたものだ。客も最初は、この6フィート間隔に戸惑っていたが、客同士が距離を縮めると、店のスタッフが「Step Back!」と大声で怒鳴ってくるものだから、必要なことは無理やりにでも教育していくこういうところが、アメリカの良さだ。(C) 2020 The Interceptトランプ政権もいまは毎日、夕方の時間帯に、きちんとした会見を行っており、「これから2週間ぐらいで感染者数は確実に増加する、だから国民ひとりひとりの協力が必要になる」とのメッセージを明確に声明している。特に注目をしてもらいたいのが、トランプの真横についてある意味でトランプを「監視」している、60年以上も細菌の研究に励んでいる、アンソニー・ファウチ（Anthony Fauci）氏の言動。彼はコロナが拡大する何週間も前からトランプ政権の対応を批判しており、だからこうして、ウィルス対策班の主導権を握ってもらえるのは、アメリカ在住者としてはようやく安堵できる。CDCが冷静に一般公開している統計を見れば、どんな無知でも「このままだとアメリカ滅びるんじゃ」と本気で危機感を抱かないとならないレベルにまで、冗談じゃなく来ているし、こんな状態であっても非日常を現実として受け入れて、政府からの指示に従っている国民は多い。(C) 2020 CNNこの前の日曜に、こんだけの事態にも関わらず、教会で大規模な集会を遂行したフロリダの牧師が、昨日現地ですぐに逮捕された。アメリカ社会はまだまだ、まともに機能している。(C) 2020 TIME当然、明るいニュースもある。かなり早い段階でコロナ感染を告白したトム・ハンクス夫妻がほぼ完治し、無事LAに戻ってきたと、自身のツイッターで報告。アメリカの芸能人は昔からツイッターの使い方が巧く、実際、炎上している有名人を滅多に見ない。シカゴの地元紙「Tribune」によれば、3月は犯罪率が2月と比べて20%も低下したとのことで、ニューヨークやロサンゼルスも10%前後の犯罪率低下を見せている。(C) Fake Nooze無論、明日には状況がどうなっているかは、分からない。それでもアメリカは、まあトランプが大統領になった時点でどんな非現実も国民が受け入れられるようになったんじゃないかと今なら思うが、次の数週間を冷静に見守るムードに、十分成っていると、少なくとも私は感じる。プロダクションの関係で映画やテレビ番組が現在は全滅状態（新しいエピソードを作れない）だが、この状況で最も頼りになるのは、ラジオ。現在、アメリカのラジオ局の大半は、Radio.comと提携して、スマホやPCですぐに聞ける仕様にしている。たとえばWCBSという局は24時間、リアルタイムで、ニューヨーク市で起こっている事柄を報道している。ロサンゼルスならばKNX1070が、24時間、主に地元のニュースを流していて、地元の住民や、LA近郊の最新情報が欲しいならば、これほど頼りになる局は無い。実際私も、この文章を書きながらKNXを聞いていたら、LAのファーマーズ・マーケットが、きちんとした書面を通さない限り運営できない、という報道が耳に入ってきた。スマホが生活の主流になった2010年代突入直後から、ほとんどのラジオ局が、オンラインでのストリーミング仕様にスイッチしていて、だからアメリカではいまだラジオが、年齢関係なく浸透し、きちんと「機能している」メディアなのだ。Radio.comは無料かつ、日本からでも問題なく聞けるので、それこそ数か月後や来年にLAに渡ってくる方々にはぜひ、KNX1070を勧めたい。特にラジオのニュース・キャスターは、音声しか発信手段が無いゆえに、ニュースを読み上げる際に発音のどこをどう強調したりリズムをコントロールしたりするかを熟知した、話し手のプロなので、会話力を研究しているひとたちには、ラジオのニュースが最も参考になるだろう。「無料で、世界のどこからでも」が、今の時代はラジオにとって、最大の売り文句になるのではと、個人的には思う。私はどっちかというと、テレビっ子ではなくラジオっ子で、学生時代はオールナイトニッポンを聞き倒していた。私が聞いていた頃は、ウッチャンナンチャン、とんねるず、電気グルーヴ辺りの人気が高かったし、テレビではまず言わない芸能人のホンネが聞ける、スリリングな番組だったものだ。夜中の1時や3時に起きて、ラジオをつけて、120分テープを入れて、録音をする、という生活を、随分と長く送っていた。(C) cyma学生時代の通学時間はだいたい、チャリで片道45分だったので、翌朝録音したテープをウォークマンに入れて、学校の行き帰りで昨晩のANNを楽しむ、というのが、生活ルーチンに自然に組み込まれていた。休み時間で趣味の合う、親しい友人との雑談でも、昨日の電気のやつが、こないだ福山がさー、松っちゃんオールナイトであんなこと言ってたぜ、みたいな感じで、テレビの裏を語る感じで、盛り上がったものだった。いわゆる「葉書職人」にはなれなかったが、気が向いたときにネタを書いて、運良く採用されて、ノベルティをもらったこともある。ナンチャンに自分のネタを読まれたときは、しばらく興奮して眠れなかった、なんて経験もある。受験勉強や中間・期末試験の勉強の際にも、睡眠対策として、いろんな曜日のANNを聞いていた。私はよく、周囲の知人や生徒さんたちからも「リスニング力が高すぎる」と言われるが、それは恐らく、昔からラジオを好んで聞き、音声オンリーへの対応力が磨かれていたからでは、とも思う。(C) AllnightnipponANNを聞いていたのは学生時代だけだった……のだが、数年前、たまたま知り合った、'80年代後半生まれの後輩の子とオールナイトニッポンの話になったときに「私が学生時代に、毎週火曜を心待ちにしていたのが、くりぃむしちゅーなんですよ」と言われ、「Youtubeとかに全部、CMと曲カットが、上がってますよ。ぜひ聞いてください！」とまで教えてもらったら、そらグレーであっても聞かないわけにはいかんでしょ。そもそもラジオ番組なんて、タダで聞けるのが前提だと思っているし、「くりぃむしちゅー ANN」で動画検索したら、一発で掘り当てられた。(C) 2018 Oricon2005年7月から2008年12月まで、全部で159回が放送、さらに最近は1年ごとに復活しているので、トータルで163回が現時点で、あちこちの動画サイトにアップされていたが、まあこれが確かに、1回目から追って聞いたら、楽しいのなんの。有田が暴走して、上田が突っ込む、かと思ったら互いの立場が逆転したりで、くりぃむしちゅーというコンビの仲の良さと連携の巧さが、最初から最後まで堪能できる。またリスナーのレベルもとても高く、上田が発したちょっとした失言を盛大にイジったり、2人の会話の中に出てくる人物をネタにしたりと、フリー・トークが終わってからの各コーナーも充実していた。(C) 2017 Sankei彼らの出身校である済々黌高校での学生時代までもネタにして（日本の学校の部活経験者には、最高に面白い2人の体験談が幾つもある）、それを華麗に「一般人にも分かりやすく」調理するなど、テレビではまず見られない、有田と上田の技量と魅力が、初回から爆発しており、まあ私も、後追いなのに強烈にはまっていた。とんねるずもオールナイトではよく、身内のスタッフをネタにしていたが、それをくりぃむしちゅーは洗練させていたという印象で、だから後追いで聞いても、楽しいのだ。映像がないぶん、有田と上田のトーク力の高さを実感できるし、面白い話を作るにはどうしたらいいか、を勉強しているひとには、最高の素材だろう。動画サイトに上がっているファイルをmp3に変換してくれるアプリはたくさんあるので、それらを利用して、iPodに詰めて、散歩の際には各エピソードを存分に楽しんだし、今でも気が向いたときに、特に気に入った回を聞き直したりしている。興味深いのは、くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンは放送時、女子リスナーも多く（番組の留守電に吹き込んだリスナーからのメッセージがCM開けジングルで使用されていた）、大半が高校生だったので、どきついシモネタが多いにも関わらず、妙に開かれたイメージを打ち出していたこと。私が受け持っている生徒さんの中には'80年代後半生まれも目立つので、そうした生徒さんたちには、2005～2008年の間でウケていた芸人もたびたび話題に上がることから、かなり懐かしくも新鮮な気持ちで楽しめるのでは、と思う。(C) 2016 Tokyo Weekenderピコ太郎でアメリカ人にも受けた小坂大魔王が番組に乱入して、すごくつまらないトークをして滑りまくっていた回があったりも、する。日本もいずれ、娯楽関係が停止して、ロックダウンを強いられる日を避けられないだろうが、そういったときに、まあある程度グレーでもいいから、自宅待機でも退屈をしのげる方法として、こういう情報が少しでも役に立ってもらえれば、幸いだ。（Stephen）
28Mar
- 3月27日2020年のアメリカの状況
  (C) 2020 Scienceアメリカは住む州や都市によって、個人の生活様式に、結構な差が出る。が、この数日間でコロナ感染者数が跳ね上がり、中国やイタリアを抜いて、全世界の感染者数で1位という、不名誉なナンバー・ワンの称号を得たことから、どの州も似たような状況を強いられているのが、在住者の印象だ。(C) 2019 PODS特に人口の多いカリフォルニア州（4,000万人）とニューヨーク州（約2,000万人）が深刻で、ニューヨーク州はそもそも土地が小さいから感染スピードの増加が他州よりも激しく、コロナのエピセンター（epicenter＝中心地）と見られている。ロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティは26日の会見で「I want to be clear, the worst days are still ahead」と、この問題が明日や明後日では片付かず、数週間、いや数か月単位で続くとの、明確な警鐘を込めた発言を公的にしている。カリフォルニアやニューヨークを始め、現在は大半の州が、現実的な意味で不必要（nonessential）なビジネスを店じまいする「命令」を、市ごとに出している。何がエッセンシャルで、何がノンエッセンシャルなのか。ビジネス情報に重きを置くニューヨークの老舗ウェブマガジン「Business Insider」によれば、以下の通り。【不必要】・映画館（Theaters）・スポーツジムやレクリエーションセンター（Gyms and recreation centers）・ヘアサロンやスパ（Salons and spas）・博物館（Museums）・カジノや競馬場（Casinos and racetracks）・ショッピングモール（Shopping malls）・ボーリング場（Bowling alleys）・競技場やコンサート会場（Sporting and concert venues）【必要】・スーパーマーケット（Supermarkets and grocery stores）・デパート（Big-box stores）・薬局（Pharmacies）・コンビニ系（Convenience stores and discount stores）・ゴミ収集（Garbage collection）・医療関係（Healthcare operations）・デイケア（Daycare centers）・家電（Hardware stores）・ガソリンスタンドと自動車修理工（Gas stations and auto-repair shops）・銀行（Banks）・郵便局と配送業（Post offices and shipping businesses）・動物病院（Veterinary clinics and pet stores）・ファーマーズマーケットと食料貯蔵庫（Farmers' markets and food banks）・貧困層を守るビジネス（Businesses that provide necessities to shelters and economically disadvantaged people）・リモートで運営できる教育機関（Educational institutions, for the purposes of facilitating distance learning）・農業と食品加工（Agriculture and food processing）・倉庫サービス（Warehousing, storage, and distribution）・一般の交通機関（Transportation, including airlines, taxis, rideshare programs, and vehicle rentals）・必要なビジネスの運営を助けるビジネス（Businesses that allow essential businesses to operate）こういうときのアメリカ社会は本当にスジが通っているというか、「不必要」カテゴリに認定されたものはすべて、客観的に見ても、納得ができる。私の住む市も上記の命令に遵守しており、たとえばレストランはテイクアウトのみ、映画館や博物館は閉鎖、銀行やガソリンスタンドは通常営業。ロサンゼルス市はさらに厳しい通達を下しており、命令を無視して運営している「不必要」ビジネスに対しては、「電気と水を止める」と迅速に宣言している。ただこんな事態であっても、集団的な暴動や逆ギレした市民が異常行動に走る、といったニュースは、他の州からも聞かない。私が住む街は、前回も若干バラしたが、安定した年収を持つ市民が大半を占めているので、たとえ数か月仕事が無くてもビクともしないし、「こういうときはみんなで助け合っていかないと」との空気が、感じられる。今朝もジョギングに出たら、早朝にも関わらず何人か「きちんと距離を保ちながら」運動に励んでいたし、路上には「LET'S FIGHT COVID-19」と大文字で、チョークで描かれていた。他にも「KEEP GOING!」、「WE CAN OVERCOME」といったメッセージが見られ、たぶん地元の子供たちが描いたんだと思うが、こういうのを見るとやっぱり、この街の住人は良心があると感じ、安堵する。地元のスーパーに買い出しに行ったら、「LIMIT 1（1人1個）」の通達があったとはいえ、12ロールで$4.99のトイレットペーパーも問題なく買えた。先述のガルセッティLA市長も声明していたとおり、まだまだ最悪の事態が予測できるというか、特にこの国は、向こう2週間が要注意だと私も感じているが、こういうときほど、前回の繰り返しになるが、まともな人間性を保ちつつ激烈バカにならないよう、身を引き締めたいところだ。（Stephen）
25Mar
- 3月24日2020年のアメリカの状況
  (C) 2020 CNN私が住んでいるエリアは、人口数万だが年収$10万ドル（約1,000万円）前後の住人が主な、中流家庭に根差した小さな街。そんな街でも……・米がいつも売り切れ・鶏肉とジャガイモが品不足・インスタント麺類がカラッポ・冷凍食品もほんの少ししか残ってない・トイレットペーパー、マスク、サニタイザーが普通に買えない……を、今日、この段階で、私自身がリアルに経験している。一方で、ジャガイモと鶏肉を除く他の食材調達は、ほとんど困らなくなった。アメリカ系のスーパーは食料を頻繁に再入荷・再補給（re-stock）しているし、アジア系マーケットも肉や魚を問題なく入手できる。（豆腐と米は依然、不足気味だが）私の場合、牛乳漬けから始まるレバー（肝臓）関係の調理も問題ないから、肉の選択肢は一般的なアメリカ人家庭よりも多い。(C) 2019 BEAT THE MICRO BED食器用洗剤や洗濯用洗剤、石鹸、シェービングクリーム、シャンプー＆リンス、雑菌クリーナー、ペーパーナプキン、ティッシュペーパー、といった日用品も、先週と比べたら入手が遥かに容易になった。特に、水のボトル、主に1ガロン（3.89リットル）が、余裕で買えるようになったのは、市民が買い占めを避けていることを証明している、と思う。(C) LADPH最新情報は引き続き、CDCやWHOの公式サイトを確認していただきたいが、この記事に目を通すのはロサンゼルス住人が少なくないから、住人の方々にはカリフォルニア州公衆保健局（Department of Public Health）にも頻繁にチェックするよう、勧めたい。というのも保健局では、どの街で何人感染したのかを、きちんと統計を取って公開しているからだ。昨日の報告書を読むと、ハリウッド近郊で感染者が目立つが、パーティー・ボーイズ＆ガールズの存在で成り立っているような街だけに、これは仕方がない。(C) 2020 EATER LOS ANGELESまたこの記事を下書きしているついさっき、LA市長のエリック・ガルセッティ（Eric Garcetti）が、これだけ勧告を出しているにも関わらず「生きていく上でそこまで必要ではない（nonessential）」ビジネス、たとえばゲーム・ショップやネイルサロンなど、を運営している、事態を未だ軽く見ている店のオーナーを締め出すため、「今後、勧告を無視して運営している店に対しては、供給会社と提携して即、電気と水を止める」と声明。ガルセッティ市長はこの会見で「感染者数はさらに増える。最悪の状況がこれから来る。」とハッキリ言っているし、こういう現実的な報道をきちんとしてくれるのは、住民にとってはむしろ有難いだろう。なんだか見通しの暗い話が続いたので、以下、どうでもいいネタを。トイレットペーパーに関しては、私も計算したところ、今の時点で買い溜めしておいた分で、恐らく数か月は持つ。というのも、アメリカのトイレットペーパーは1ロール284枚がデフォルト、1枚が4cmx4cmの正方形。NUMBER TWO（＝大便）したらどのぐらいの枚数が必要かを検証したところ、私は20枚。一回でこれなので、4人家族で考えると、1日で最小80枚。なので、4人家族だと3～4日で、1ロール（284枚）を使い切る。私の奥さんはこの辺の社会事変に敏感だったので、先月から早々にトイレットペーパーを買い込んでいた。なので計算上、トイレットペーパーを一切買わないでも数か月は、持つ。色々な意味でいまこの国は切羽詰まってきているというか、正直私もトイレットペーパーの枚数を数えるだなんてこれまでの人生で初めてだが、それだけアメリカ社会が、コロナに対してマジになっているのの証拠だろう。真面目な話、排泄行為を我慢するのは身体的にも最悪で、所謂、人体機能障害を容易に誘発させてしまうことから、医者や看護師に対処法を相談すれば「手を汚していいからうんこしろ、絶対に、あと流し忘れるな」と即答されることが窺えるのは、自明の理である。で、こういう話をするとまーーーー、子供たちは喜ぶもので、10歳以下のガキを笑わせるには、うんこネタで十分なのは、世界共通だ。ワシ、poop連呼。ガキ、大爆笑。嫁、大激怒。わい、ボコられる。私と嫁の姓別が逆ならDV案件かもしれんが、なんかね、「嫁」という呼称を使うと空耳アワーの名作「嫁ほら、フマキラーついてるよ」を私は思い浮かべてしまう。我が家の4コマ漫画みたいな話はともかく、アメリカでのコロナ騒動の状況は、それこそ数時間単位で変化しているし、トランプだけでなく、どの州の市長も、夕方近くには、いわゆる「ウィルスに対する公式声明」を発表し、州ごとの法律を改訂している。何しろ、カリフォルニア州は、この危機的状態にもかかわらず「コロナなんて知るか」とばかりにビーチへ出かける激烈バカが先週末に目立ったので、結果、サンタモニカ・ビーチを始めとする海岸サービスが、月曜から完全閉鎖。(C) City of Fort Collinsそれだけでなく、公園やハイキング・エリアも、次々に封鎖。アメリカは良くも悪くも、「事が起こってから対処する」国の典型だが、やるときはやはり、徹底している。というのも、いま世界中で、誰にでも起こっているパンデミックを、現状を軽く見ている連中に理解させる上で、これ以上に効果的な手法は無いからだ。加えて市民側も、いまの段階では、理性を保って、極端な行動に走らないよう、落ち着いて構えている。こんな状況だからこそ、希望的観測を捨てないように、したいものだ。もっとも、こんな状況でも、良いニュースを渡してくれるメディアは、数多い。英語圏の批評記事を徹底的に集めて映画の評価を相対化している「Rottentomatoes」は、ここ数年ではニュース番組などでも引用されるほどの信頼度を築いている。たとえば最近だと、ピクサーの「Onward（2分の1の魔法）」には、批評家からは87%、客からは95%という数字が出ていた。これがまた、妙に納得できる数字で、あの作品を批評的に鑑賞すると、ピクサー作品にしては細かい穴が目立つ。でも客目線で見ると、ピクサーらしい、創造力に溢れた豪華な世界観、美しいアニメーションと、練られた設定もあって、最初から最後まで楽しめる。そんなロッテントマトスが、サイト内で高評価を得ていつつ、無料で見れる作品を、リストアップしてくれている。IMDBやTUBIといった、グーグルなどとの連携でアカウントをすぐに作成できる動画サービスを通じて、無料で楽しめる映画のリストだ。無論、定期的に広告が、強制的に入ってくるが、こういうのはテレビで映画を見る感じで、コマーシャル・ブレイク的な扱いで、良いと思う。中国初のアカデミー候補作「グリーン・デスティニー（Crouching Tiger, Hidden Dragon）」をCRACKLEで見れる。娯楽ドキュメンタリーを新しい方向へ開拓した名作「スーパーサイズ・ミー（Super Size Me）」も、YOUTUBEで見れる。おお、韓国映画のパワフルさを痛感させられたゾンビ映画、「新感染ファイナル・エクスプレス（Train to Busan）」も、TUBIで見れるやん！釜山急行は、今のご時世がご時世だけに、人によってはぜんぜん楽しめないかもしれないが、コロナ騒動が終息したらそれこそ、全世界でパンデミックをネタにした映画が、作られまくるだろーな。そんな具合に、なんとこのリスト、200作品もある。各サービスが他国からのストリーミングをOKにしているかどうかは正直、分からないが、私がチェックしたところいずれのサービスもアメリカ国内なら余裕で動画再生できるので、このリストが役に立てれば幸いだ。これから数週間、いやむしろ数か月、アメリカはいろいろと耐えないとならない事態に晒されるが、まあ私としても、子供たちを慎重に「Don't be a fucking idiot」と教育しているが、最低限の人間性を失わないよう、行動していきたい。（Stephen）
20Mar
- 3月19日2020年のアメリカの状況
  典型的なアメリカン・ジョークで現すなら。良いニュース：「不要な買占めを避ける」との実質的な行動で各州の市民がリアルな警戒心を持つようになった、野菜や果物は普通に買えるようになった、市民が良い意味で自宅に引き籠もるようになった、未だ問題が多いもののトランプが初めてまともな発言をするようになった、武漢市で初めて感染者数が0を記録、ソーシャル・ディスタンシング（社交的な行動を避ける）がリアルに効果を帯び始めてきた。悪いニュース：どの州でも感染者が日に日に増えている、コンサートや映画館や遊園地に加えてトーク番組などの市民娯楽全般が無期限閉鎖、トイレットペーパーを始めとする清潔用アイテムが未だ不足、アメリカに住む市民を覆い続ける不安感、このウィルスをまだ100%防ぎきれない、今はまだ大丈夫かもしれないけど明日はどうなるのか、1日ごとに市民を不安にさせる情報が確固たるソースから流れてくる、誰がリアルな情報を言っているのか不明瞭。コロナ関連の情報で今のところ最も信頼できるのは、CDCからの最新情報と、WHOのケース・レポート。アメリカでの新型コロナ感染者数増加はいまのところ、東と西に、固まっている。特にニューヨーク市が深刻で、19日の段階で4,597名。市長のビル・デブラシオ (Bill de Blasio)も、市民へ「可能な限り家から出ない」旨を、繰り返し発言している。カリフォルニア州もここ数日で感染者数が急増しているため、州知事のギャビン・ニューサム (Gavin Newsom)が19日、「このまま市民の協力が得られないと、8週間で州全体人口の56%が、コロナに感染する」と、恐ろしいが現実的な声明を発表した。実際、数字は残酷かつリアルなもので、CDCの統計を見ていると、ニューサム知事の発言が虚言にはまったく、聞こえない。さらにロサンゼルス市長のエリック・ガーセッティ (Eric Garcetti)は19日夜、「外出を積極的に控えるよう、市民にお願いする」旨を、通達している。幸い私の一家は、ここ3日ほど、必要な食料の調達や、今の段階で入手の難しくない生活必需品を買いに、あちこち外出したが、私の住む街では感染者が現時点でたった2人とのことなので、健康異常を一切感じない。私も妻も、家からでもできる業務に従事しているので、仕事に困ることはない。妻の会社はいちはやく、会議をオンライン・ミーティングに切り替えているので、インターネットの存在は本当に助かっている。子供たちの学校も当然、休校で、再開はいつになるかわからない。(C) 2020 Getty Imagesなので、食料が切れる7日後ぐらいまで、外出は日課のジョギングぐらいにまで控えるだろう。ちょくちょく顔を合わせるうちの隣人たちも、口を揃えて、向こう2週間ぐらいは食材の補給以外で街の中心部には出ないようにする、と言っている。まだ油断はできないが、少なくともあらゆるスーパーの棚がカラッポになっていたこの前の日曜や月曜と比べたら、食材に関しての調達はあまり困らなくなった。バナナやジャガイモ、キャベツが品切れ、ということもなくなったし、アジア系のスーパーならば肉類の入手も難しくなかった。しかしそれでも、状況があまりにも特殊なだけに、ちょっとした誤報やデマがひとり歩きをして、一般市民を無用に怖がらせ、暴走させるのではという恐怖感が、払拭できないし、ギャグも言えない。そんな事態だからこそ市民を落ち着かせる改定やアナウンスもあり、例えばロサンゼルス市は「家賃が払えないテナントを向こう60日間、コロナ散布を抑えるために、追い出さない」を発表。トーク番組の司会者たちやニュース・キャスターらも、ラフな姿で自宅から情報を発信する形に早々に切り替えており、市民を安心させる娯楽を提供しよう、とのプロの姿勢を強く感じる。またここ3日ほど、日課のジョギングに出たら、いつもよりもやや多めに、隣人たちが運動に勤しんでいた。増加している感染者数の情報に惑わされるよりも、「いつもの自分の生活ペースを取り戻す」ことが重要なんだな、と痛感させられる。家にいる時間が圧倒的に増えたから、いつもよりも手の込んだメニューに挑戦したりもしている。我が家は外食をめったにせず、基本は私が、365日、料理をするという役割分担をしており、特に夕食は、ごはん＋スープ＋総菜2品＋メイン2品＋デザートを4人でシェア。スープ関係は以前もここで書いた中華風卵スープだったり、オーソドックスに味噌汁だったりと、その日の気分で変えている。総菜は、レタスやキャベツを少量の油でちょっと炒めて水400ml、砂糖、塩を入れて7～8分煮込んだものや、凝った味付け（すりおろしニンニク＋砂糖＋塩＋しょうゆ＋オイスターソース＋こしょう＋ペッパー＋鶏ガラ粉＋山椒＋ごま油＋ラー油＋ごま＋片栗粉）でマリネードした豚バラの蒸し焼き、水抜きした豆腐に小麦粉を付けてフライパンで焼いて自家製タレ（主に豆板醤使用、スパイシーさが欲しいので）をまぶした焼き豆腐、といった、全員でつまめるもの。メインの品は日によってさまざまなアレンジをするが、基本は、肉＋野菜の炒め物。タレは常に自家製で、昆布などを煮込んで取っただし汁と酒、みりん、しょうゆ、刻みネギをベースに、めんつゆやオイスターソース、海鮮醤、豆板醤、チリ、甜面醤、すりおろしニンニク＆ショウガ、といった調味料を、その日の気分であれこれ調合して、一家が飽きない味付けを工夫している。単純に日本の焼肉的な味が欲しいときは、酒とみりんとしょうゆとだし汁に、砂糖を追加するだけ。調理手順としては、すでにカットしておいた野菜（これも毎日、ランダムで考えるが、タマネギは鉄板）を先に炒め、少量の水を足して、野菜の食感をまろやかにする。いったん野菜をどけて、ごま油をしいて、肉類（牛、豚、鶏が主）を炒め、色が綺麗に変わったらさきほど炒めた野菜を追加、そして自家製のタレを投入。私のレッスンを受けている生徒さんたちには多分、すぐ合点が行くと思うが、私は基本、興味を持った事柄に対して必要以上に凝る。興味を持たないものは誰に勧められてもガン無視だが、一度興味を持った事柄に対して、とことん追及する性格なのだ。なので、頼りになる今の奥さんを落とせたのだが、まあそんな話はどうでもいい。私が本格的に料理に目覚めたのはここ10年ぐらい、特に結婚後なのだが、突き詰めるほど、料理というのは奥が深いし、やっていて楽しい。単純に、底が知れないので、自身の創造力がひたすら、試される。私はよく、英会話の生徒さんたちに、「つねに創造力を働かせなさい」と助言するし、料理はそれこそ、創造性のみならず情報をまとめる能力、限られた時間内で仕上げる能力を究極的に試す意味で、あらゆる生徒さんたちに「do cooking」を勧めている。料理の話になるとつい熱が入ってしまって申し訳ないが、とにかく今は、1時間単位でコロナ関連のあらゆる情報が流れ込んでくるため、明日がどうなるかリアルで分からない状態。もっとも、アメリカはよく「みんながバラバラに生きている」と他の国から揶揄されるが、いざ危機に立たされて団結するとなると、実際にはどの国よりも市民の団結力が高い、というのが私の、20年近いアメリカ生活で経た、実感だ。願わくば、今のこの、「どの国に住んでいても感じる不安」を、早急に、それこそ3月31日までに、払拭してもらえれば、と心底願う。（Stephen）
14Mar
- 新型コロナに関して今日（3/14/2020）の段階で分かっていること（要所訂正済み）
  (C) 2020 BBC私もアメリカ生活が20年近くになるが、TARGETやCVS、TRADER JOE'Sなどの大手スーパーの棚から日常生活品や飲料水がごそっと消えたり、イベントが次々にキャンセルになったり、学校や会社が向こう2週間は一時閉鎖されたりなどの非現実を目の当たりにすると、今回の新型コロナがH1N1以上の騒動なのを痛感させられる。全世界的に情報が錯綜していて、特にソーシャルメディアの存在がそのパニックぶりに余計な拍車をかけているとしか思えないが、いま私が断言できるのは、「SNS、特にツイッターを即、辞めろ、屑みたいなリツイートがあなたの常識を惑わすだけだから」。私はツイッターが、誰でも衝動的にゴミみたいな情報を散布できる上にカス同然のネタを「一般的」と拡散してしまえることから、昔から大嫌いだが、ぶっちゃけ利用者数が多い（日本は全世界で2位）ことから、扱いに特に慎重になっているし、どうかこの文章を読んでいる方々には、最も避けてほしいアプリだ。現時点で最も信頼できるのは、全世界の医療情報をまとめているCDC（Centers for Disease Control and Prevention／アメリカ疾病予防管理センター）であり、実際、2020年の今日、CDCで検索すると、本体サイトよりも、コロナ対策の特設サイトが上位に来るほど、世界中からのアクセスが増加している。現段階で明確なのは……：・WHO（World Health Organization／世界保健機関）の調査データによれば、2020年3月13日の時点て、132,758人が感染、そのうち死者は4,955人。・中国では80,991人が感染し、死者数は3,180。・CDCによれば、アメリカ全土では、感染者数は1,629人、死者は41人、報告された州は47。・老舗のオンライン新聞「THE HILL」によれば、約13万人以上の感染者のうち、その半分の、約7万人が、無事に回復したとのこと。……という、実質的なデータの数々。そう、致死率は、上記の数字からも計算できるとおり、およそ4%。さらに回復率も高く、過半数が無事に、社会復帰している。死者のデータをCDCのサイトで詳しく見ると、大半が高齢者で、普段から運動を欠かさない健康的なひとほど、回復が早いようだ。なので、現段階では、過剰反応をする必要が、無い。あとは、みんなが引き籠もって、ウィルスの拡大を、微小であれ防げれば、今月末にはある程度の終息を見せるだろう。ただそれでも、トランプのバカが「非常事態宣言」名目でいらんこと言ったせいで、アメリカ国民に余計な不安を煽ったもので、全米のスーパーや薬局に、ここ3日で客が殺到。なにしろ“stockpiling（買い溜め）”や“hoarding（買占め）”と言った特殊な単語を、ニュースで秒単位で耳にするし、事実、うちの近所もその影響を受けまくっている。そんな混乱を脇目に、CDCのサイトにも明記されているが、現時点でコロナを完璧に抑える薬は発明されてないとはいえ、日常的な行動で十分、このウィルス散布を抑えられるのだ。・きちんと手を、20秒以上、洗う・見知らぬ人との接近を、なるたけ避ける、特に咳を頻繁にしている相手・少しでも気分が悪くなった、家に居て、寝る・咳や鼻水が出たら、すぐに手元の衣服などで覆う・持っていれば、ガーゼマスクを外出時に常に着ける・常に除菌上記すべて、常識的判断に基づくものだ。私だったら、日常生活を普通に送るし、決まった日に食材を調達しに、地元のスーパーまで歩いていく。(C) 2019 Cambridge実際、今日のお昼に、ペプシを飲みたくなったので6缶セットを買いに行ったら、周りの客がやたらペーパータオルや石鹸やらを買い物かごに入れていて、見事に踊らされているな～、と苦笑してしまった。別にトイレットペーパーを、買い溜めする必要なんて、無い。単に情報が先走りしている、それも9割はソーシャルメディアとスマホのせいで、と私は冷静に考える。ただ残念ながら、アメリカ全土で、今の段階で自粛ムードが強まっており、ディズニーランドを始めとする遊園地、博物館、ブロードウェイ・ミュージカル、ライブ・コンサート、トークイベント、などなどが、騒動が終息するまで休止。衝撃的だったのは、私も大好きな「The Late Show with Stephen Colbet」を始めとする、客参加のトーク番組が、向こう2週間、延期になったこと。この手のトーク番組は、アメリカのひとびとの本音が聞ける意味で、非常に重要だと思うが、それらが延期となると、現在の状況の深刻さが、いやでも伝わってくる。まあでも、ジョン・オリヴァも数週間前に「Don't be a fucking idiot」と宣言していたが、とにかく、一言であらわすなら、「馬鹿になるな」。このブログを読んでくれている、私の生徒さんたちにも、「とにかく落ち着け」としか言えないが、正直、今の状況は私でも、「明日どうなるか分からない」。でも、な、フィリピンパブで「俺は陽性だ」と言って陽性コロナをばら撒く馬鹿みたいなのには、なってほしくない。まあ、2月半ばの段階で、コロナに関する情報を綺麗にまとめていて、今の段階でも十分に有用なレベルに達している、ジョン・オリヴァのプレゼンを、みんなにきちんと見てほしい、何でかっていうと単純に「面白くて、情報密度があるから」。そういえば先週の、TBSラジオで20年以上深夜ラジオをやっている爆笑問題の番組を久々に聞いてたら、コロナネタまみれ、ノリが2000年代前半に戻ったみたいで、最高に面白かった。やっぱりこういう、世界的にやばい状況だと、芸人の腕が試されるし、暗い情報を聞きたくない我々に、笑いを運んでほしいものだ。アメリカ生活が長い私でも、ここからどうなるかは、私も全く、分からない。ただ、どんな切羽詰まった状況においても、可能な限りの冷静さを、保ちたいと思う。（Stephen）
06Mar
- 「限られた時間で適切な対応」というプレッシャーを幾つも経験する重要性
  (C) Robomate+教科書作りや、他の講師のやり取りや管理も含め、一応私は、月にそれなりの数の生徒を教える講師の位置に加えて、「Hoshi World Inc.」オンライン英会話レッスンのプログラム・ディレクターも勤めている。このプログラムの歴史は浅く、講師の数も多くはないが、現在はなかなか、質の高い先生が集まってくれたと思う。この先生探しの苦労話は別の機会にネタにしたいが（まあ、ネイティブの連中の、信用できないこと）、今回はこのプログラムに関して、多少の突っ込んだ説明を。(C) 2013 Kettering Foundation私の生徒たちも、直接、明確に言及されなくても、このブログで私の書いた記事に確実に目を通しているだろうし、なので以下の話も面白く読めるはず。このプログラムは大まかに、日常英会話コースと、看護関係コースの2つに分かれている。日常会話コースは、英語を初歩から学ぶ生徒に適した作りで、最初は「自己紹介」や「行きたい国」、などの簡単な英会話からスタートし、後半になると「なぜこの仕事に応募したの？」や「ちょっと返金したいんだけど？」、「なんで急に請求額が上がってるの！」といった、アメリカ生活における実践的な内容へとレベル・アップしていく。よって、ある程度英語力に自信がある生徒には、このコースの後半を、履修してもらうのだ。(C) nursing.com一方で看護関係コース、まあ厳密に言えば、「医療に関する英語を学ぶ」コースだが、まあこれが、一言で喩えるなら、「苦行」。レベル1と2がやたら簡単に設定されているが、レベル3以降は難易度急上昇。咄嗟の判断で予期しない質問に答えられるか、限定された単語で作文がすぐにできるか、何よりも、説得力のある意見を「きちんと英語で」言えるか。事実、私が現行で教えている生徒の全員が、レベル3と4で、詰まっている。(C) 2019 Assignment Help Servicesというのも、レベル3&4は教科書の数が一気に増えることに加えて（名目上、各レベルはA～Dまでの4つだが、レベル3と4は「3-Z」「4-Z」まで教科書がある）、上級試験（Advanced Exam）がTOEFL並みの一発勝負、ゆえにここを越えるために、並み以上の努力が必要。特にこの上級試験（Advanced Exam）が重要で、このレベルのテストは生徒が事前に予習・復習をほとんど出来ず、その場の対応力が求められるから。言われたことをこなしているだけだと、ここで一気に、振り落とされる。(C) Level UP RN!例1：医療用語を自分で持ち込んで、それを90秒から120秒以内で、きちんとした情報量と質を伴って、適切に説明しなさい。例2：これから講師が与える単語のうち2単語以上を使って、「アカデミックな文体で」作文しなさい。準備時間は30秒。「例1」に関して言えば、最短で90秒、最長で120秒で、この合間に収まらない生徒に私は、10点満点で6点以上をまず与えない。というのも、看護師と言う職業は、タイム・キーピング、タイム・マネージメントが重要だと、素人の私でも考えるから。(C) 2017 Mediumまた、たとえ指定のタイム・リミットに収まっても、その情報クオリティが低ければ、私は6/10で止める。生徒がプレゼンした情報の査定に関して私は、スペリング、意味、用法、内容、どこで利用されるのか……などなど、徹底的に細かく見る。単なる医療用語の説明でも、突っ込まないとならない箇所は、山ほどある。何しろ、私たち講師は医療単語に詳しくないし、看護師を目指すなら、そうした相手に難しい用語をきちんと説明できない時点で、水準以上のコミュニケーション能力を持たないと見なされる。ありがちなのが、難しい単語を、さらに難しい単語を使って説明しようとするパターン。「今日私が持ち込んだのはResuscitationで、これの意味は生命をrestoreして」「restoreってどういう意味？」「え、あの、えっと、つまりそれはcardiopulmonaryで……」「cardiopulmonaryって何？」燃え盛っている炎を消化しようとして、水ではなくうっかり油をぶちまけるようなものだ。教科書に書かれた内容を朗読しているだけだと、このトラップにあっさり引っかかる。なので少しでも「いまあなたが自分でしゃべっている内容は、ちゃんと分かって言ってるの？」と疑問に感じたらすぐ突っ込むし、それに対して「自分の言葉で」説明できなきゃ、一気に減点。残念ながら、たとえば「inflammation」のような初級レベルの単語を、全く説明できない生徒が少なくない。そんなの、「burning pain, irritating pain, sore pain, inside of your body」で、片付くでしょうに。そして何よりも重要なのは、「あなたがしゃべっているその情報は、面白いの？」。ピックアップした医療用語をきちんと理解している生徒は、その辺の「真の意味」を捉えていて、私が知らなかったネタを、面白く伝えてくれる。(C) Essay Edge「例2」ともなると、正答率はさらに低くなる。講師がランダムで「certify / English / translation / transcript / any / educational / provide」と単語を提示し、その中から最低でも2つ使って、30秒で文章を作成しないとならないから。それも、「アカデミックなスタイル」で、との条件付き。(C) AJE Scholarつまり、「I need to translate my transcript into English.」は不正解だが、「If the applicant's transcript is not in English, provide the appropriate form to the certified translator.」なら、正解。主観を避け、マニュアルっぽく書かないとならない。私の基準だと、提示した単語を使ってまあ文章が書ければ、10点中の5点。アカデミックな文体に沿えば、6点。文法の間違いなども細かく見るので、現時点での最高点は、7/10。いや、1人だけ8点をつけたな。「ベイマックスは制御装置に異常が発生し、暴走した」的な文章で、発想も着眼点も面白かったからだわ。そうだな、3月限定で、coronavirusを絡めた作文ができたらプラス1点、にするか。かように、レベル3と4の、通常（一度しか受けられない）ではなく上級試験（何度も挑戦可能）では、受験者の「現時点での」リアルな英語力が、あらゆる形で残酷なまでに試される。重要なのは、「言われて仕方がなく課題をこなす」では無く、「与えられた課題をどこまで面白く、正当なやり方で、調理できるか」。それも、限られた時間内で。日本の英語教育はこうした、英語を用いて咄嗟の判断力・瞬発力・応用力を磨く勉強の仕方を、全く教えないので、このテストの平均点は、1回目だと、100点満点中の59点。それがまあ、普通と言えば普通だし、そもそもこのテストの目的は、「受講者がどのぐらい、英語環境で、一発勝負に耐えられるか」。だから、1回だけ受ければいい、みたいなエスカレーター式ではなく、満足のいく点数が出るまで何度も挑戦、との体裁。2回目以降は徐々に点数が向上していくものの、現時点（3.6.2020）で、67点以上を出した生徒は、私の担当では、ゼロ。(C) Your DOST他の先生方はどう対応しているか分からないが、それでも「なるたけ厳しく（Be strict!）」を伝えているし、「楽勝だ」的なコメントをNoriko-sanも聞かないとのことなので、ここを一番の壁にしている生徒が多いのは、窺える。実際このレベルは、特に日本に居る生徒さんたちが、アメリカで勉強することの大変さを体感してもらう上で、とても役立っている。(C) NACACなにしろアメリカで生活し始めたら、迅速なリアクションと適切な対応が常に、どんな場面でも、要求されるから。その場できちっと処理できないと、極端な話、裁判に持ち込んでも敗訴するし、「事が起こって後からぐだぐだ文句を言う」、旅行者気分の日本人は、結局文句を日本人相手に言うだけで、実質的な結果に持ち込めない。「次は上手くやる、今回は準備」、「明日がんばる」が原則として通用しないのが、アメリカ社会。よって、この程度の英会話授業でも、講師たちは厳しく見ないとならないし、生徒たちには真剣に、望んでほしいのだ。（Stephen）
02Mar
- グリーン・デイとアメリカン・イディオット
  つい数週間前にひっそり出た、グリーン・デイの新作を聞いた。「Father of All Motherfuckers」というヤケクソなタイトルだが、これで13作目。で、これがとても良かった。ここでネタにするぐらいに。大半の曲が3分以下でまとまっていて、速い曲も目立つ。おまけに、どの曲もフック（引っかかり）があって、ここにきてバンドが原点に返ったパワーを十分に感じさせてくれる。(C) 2020 Warner Records1曲目のアルバム・タイトル・ソングはPortugal. The Manのヒット曲「Feel It Still」からパク、もといインスパイアされたメロディに感じるが、曲の流れがスムーズなので、そんな細かい点は気にならない。10曲で26分と、CDに商品価値があった時代ならば客からクレームが着かねない長さだが、アルバムを通して聞くのが馬鹿らしいと思われる今のデジタル時代なら、逆にこうして、短く、手際よくまとめるほうが、2020年のリスナーには効果的だろう。私自身、グリーン・デイのアルバムを通して聞いたのは、2004年の「American Idiot」以来だから、16年ぶりか。(C) 2019 NMEグリーン・デイなんておっさんおばさんが好む懐メロパンクだろ、という概念をきちんと覆していて、若い子にもアピールできる要素に溢れているし、私が英会話を主に教えている20代の生徒さんたちにも、普通に勧められる。やっぱりロック・バンドは、勢いが全てなんだな、を痛感させられる。まあグリーン・デイに関しては、彼らが華々しくデビューした頃、だいたい1994年ぐらいだと思うが、周りの連中が「Basket Caseはクールだぜ！」「Brain StewとJadedの組み合わせは最高！」と盛り上がっていても、当時の私にはそんなに響かなかった。というのも、最初に火が付いた頃の彼らの音は軽く、ロックやパンクに不可欠な「男らしさ」や「深み」を感じられなかったから。なので私の中でグリーン・デイは、メンバーのルックスも良く、実際コンサートでも女子が目立ったことから、ガールズ向けアイドル・バンド、とのイメージを拭えなかった。それを一変させられたのが、先述の、2004年に出た「American Idiot」。オープニングのタイトル曲からして今までとはキレが違っており、演奏が男らしく、堂々としている。投げてくるメッセージも、当時のアメリカ社会に対する不満や不安を分かりやすく、一気に発露させていたので、とても取っつきやすかった。ゴタクはいいからついてこい、的な自信に溢れた吸引力を、前面に出していて、これがまた頼もしい。(C) 2005 Warner Records2曲目の「Jesus of Suburbia」がいきなり9分もある大作だが、曲の流れが終始スムーズだから、長さをまるで感じない。アルバムはその後も淀みない流れで進行し、時に泣いたり、時にハネたり、時に和ませたりと、多彩な表情を与えつつ、ラストの「Whatsername」まで、1時間近い長距離を華麗に完走してくれる。911以降のネイティブには、「Wake Me Up When September Ends」が、心底に響いて、当たり前だろう。(C) 2019 NewFuryMediaサウンド・クオリティ的にも屈強かつ肉厚で、メジャー・バンドらしい風格が存分に出ていたし、全体的に力強く豪勢、それでいて、浅くない。ミュージシャンのアルバムを通して聞くなんてことを滅多にしない私でも、これだけは気が向いたときに、1曲目から通して最後まで、今でも聞くことがある。(C) 2018 CBS Newsこのアルバムは全世界で約1,400万枚も売り上げており、グリーン・デイのキャリア上では、2番目。ひとつまえの「WARNING:」が内容的にもセールス的にも厳しかったのもあって、アメリカン・イディオットは、私のような一般層までも巻き込んだ点でも、バンドの完全復活を世界中に強く、印象づけたものだ。(C) 2014 KERRANG!なにしろウィキペディアのこのアルバムの解説が、とても音楽アルバムの紹介とは思えないほど、長い。それだけこのアルバムは、楽曲的にも、コンセプト的にも、語りどころを見つけやすいのだ。リーダーのビリー・アームストロングも当時あちこちのインタビューで「今のアメリカ社会が抱える問題に焦点を絞った。自分にとってもComing of Age（アマチュアが真のプロになる、との意味でも使われるフレーズ）的な作品だ。」と語っていたそうだが、作り手としても、相当の手ごたえを感じていたのが分かる。2004年は、ブッシュが再選する云々で、アメリカ社会自体が落ち着かない雰囲気を抱えていた印象が、いまこうして振り返ると感じられるし、だからこそこのアルバムは、この当時のアメリカに住むひとびとのモヤモヤを豪快に打ち消してくれる説得力があったのかもしれない。(C) 2005 Reprise Recordsまあ、コンサートではやっぱりあんまり巧くなかった、というかビリーはギタープレイよりもいかにクールなステージングを見せるかにこだわるミュージシャンだから、あれはあれで気にならなかった。グリーン・デイは最近、ジミー・キンメルの番組にライブ出演していたが、ついにビリーはギター演奏を放棄していたし、コンサートは今後、基本5人編成で進めていくのだろう。機会があれば久々に、コンサートを見たいところだ。（Stephen）
28Feb
- 全米の医者や看護師の10%が薬物中毒
  (C) Health Clarityここ数週間アメリカでも、コロナのニュースを聞かない日が無いぐらい。どの州で何人発症した、感染の疑いがどこどこの街にある、と、まあ情報が錯綜しているし、外出を控える一般人も続出。ロサンゼルスなんて移民の街ゆえに飲食業がつねに繁盛しているイメージが強いが、よく外食するNoriko-sanいわく「最近どこのレストランもガラガラ」。コロナに関する最新情報を常に流していることから、アメリカの医療関係情報を統合している機関「CDC - Centers for Disease Control and Prevention」の名を、ニュースでこれほど耳にするなんて、ウェストナイル以来かもしれない。もっとも、今回のネタはコロナではなく。(C) 2009 IMAGINE MD英会話クラスのレベル4では、いまアメリカの医療現場で現実に起きている問題をピックアップして、それを議論していくという内容を中心に展開しているが、特に掘り下げているのが、「全米の病院に勤務している医者や看護師の約10%が、薬物中毒に陥っている」問題。この10%と言う数字は、科学・医療関係のジャーナルをまとめている「ScienceDirect」や、薬物中毒メカニズムの解析に日々励む「Advanced Recovery Systems」が運営するその名も「DrugRehab.com」にも掲載されているので、とても信頼度が高い。(C) 2017 Summit BHCこの問題は底が深く、とても1回25分のレッスンではカバーしきれないので、7レッスンに分けている。中毒に陥る理由は様々だが、医者や看護師は、いわゆる「取扱いに慎重を要する」薬物へのアクセスが、いくら監査の目を厳しくしても可能であり、かつ日々の激務のストレスから逃げたい誘惑心を突かれるから、というのが目立つ。これはなかなか、医療関係に携わったことがない私でも、考えさせられる。(C) 2014 narcononofoklahomaアメリカの医者や看護師はそもそも毎日が「非日常」、他の国と違って様々な権限を持っているので、ストレス解消に「ちょっと試してみるか」的な感覚で、こっそり、摂取量を間違えると危険な薬物に手を出しても、別に不思議には感じない。「こうするな」と言われるとつい、「そうしたくなる」のは人間のサガだし、こればかりは、良心の呵責云々で片付けられる問題ではない。特に、看護学校を生真面目に勉強して優秀な成績で卒業した生徒ほど、こうした誘惑に陥りやすいのでは、と思えなくもない。もし危険な薬物の管理が甘い病院に、そうした未熟な看護師が勤務したら、まあ、結果は見える。私はどちらかというと、成績が優秀なのに悪いこともしっかり経験しているタイプの生徒だったので、社会にいざ出てから、様々な予測不能の事柄に対して適応が早かった、と自負している。まあ私の話はともかく、患者を鎮痛状態に置く医療方法として「conscious sedation」があるが、確かに私自身としても、歯医者で複雑な治療を施してもらう際は麻酔を打ってもらうが、打たれてからものの数分で皮膚感覚が無くなり、歯茎を削ったり痛覚神経を刺激されるなどのかなりの荒療治をやられても、何の痛みも感じず、むしろそのゴリゴリした感触を第三者的に味わうのは、かなりの非日常的な体験だ。摂取の仕方によって簡単にハイ（＝気分高揚）になれるし、つくづく医療関係に携わるひとたちは、強烈な誘惑に耐えて、立派な人間にならざるを得ないのを、たとえ実際の医者や看護師になってからでも、毎日ペースで強いられていると思う。(C) Harvard Universityなお、数ある鎮痛系薬物の中でもとりわけオピオイドの問題は、ここ10年ぐらい、アメリカでは定期的に、ニュースになっている。先述のCDCはここ3年ほど、「年間薬物監視報告書」を公開しており、これを読むと、「12歳以上の約5,000万人が、何らかの形で、違法の薬物や、処方箋の過剰摂取を経験している。[p.8]」や、「2017年だけで70,213人、オーバードーズ（薬物過剰摂取）で死亡、そのうち67.8%はオピオイド絡み。[p.9]」など、一般人からは想像がつかないデータが次々に浮かび上がってくる。アメリカ社会において、薬物の問題は本当に根深く、たとえばつい最近起こった事件で、「地元では名医と言われていた医者が、施術の際にヤク漬けになっていて、結果逮捕された。」だなんて、リアルかつ「いま、この場で、現実に起こっている」事件が速報されたりもする。ハッキリ言って答えの出ない問題ではあるが、現行の生徒の一人でも多くに、「騙されたらダメ、この手の逃避は結局、何の解決にもならない」が伝わってくれれば、私もレッスンをする甲斐があるものだ。（Stephen）
08Feb
- スーパーボウルとアカデミー賞
  (C) 2020 The Hollywood Reporter2020年が始まったと思ったらもう、スーパーボウルが終わっていた。スーパーボウル直後のアメリカはそれこそ、次の大型連休が独立記念日の週まで無いため、最初の祭りが終わった感に、見舞われる。(C) 2020 Outer Banks Restaurant Guideそのぶんスーパーボウル当日に当たる2月最初の日曜は、盛り上がる。スポーツバーや、大型モニターを持っている隣人の家などに多数で集まって、試合を適当に見ながら合間に挟まれる新CMを楽しんで、ハーフタイムショーで盛り上がって、その流れでナチョスやピザ、ビールなどの、大雑把でジャンクな料理を貪りつつ、3～4時間ぐらいの無駄な時間を浪費しても誰からも文句を言われない、ある意味でアメリカの駄目な文化を象徴する最高の日曜日、と思えなくもない。(C) 2020 How-To-Geek今年の第54回の視聴率は昨年よりやや上……といっても、およそ1億世帯という数字を聞くと、アメリカの人口の半分以上が生中継を見ているんでは……と錯覚させられる。実際スーパーボウル鑑賞は、社交的なイベントとしてアメリカ文化に根付いている。ゆえに、これだけの視聴率ともなると、にわかどころか、本当にルールを把握しているひとの絶対数が少なくなる。(C) 2020 CBS Sports「一般人にも分かる今年のスーパーボウル」といった記事をCBSが試合直前にアップしているように、メディアもその辺はしっかり対応してくる。だいたい15人ぐらいで集まると、その中で2人ぐらいはガチのフットボール好きなので、試合の最中、他の皆はそうした少ないガチ勢に「あれ何で点が入ったの？」「いまの何でファール？」「あの選手なんで人気あんの？」といったしょうもない質問をがんがんぶつける。私なんて隣人の家に行くまで、どのチームとどのチームが戦うのかすら知らなかったぐらいだ。(C) 2020 ABC 7 Newsで、ガチ勢が詳細に答えてはくれるが、他の皆は聞いているように見えて、じつはまともに聞いてない。社交的な場なのに全然コミュニケーション取れてないじゃん、と思ってしまうが、それでいいのだ。単にスーパーボウルを口実に、普段集まらないひとたちが集まって、大量のジャンクフードとビールを昼間から貪って、意味のない会話をひたすら続けて、お！いま点が入ったね、なんか分からんけどイエヤ！言っとくか、他の連中も叫んでるから一緒に叫ぼう、な大味なノリを楽しむ。(C) 2020 yahoo finance感覚的には、日本の正月休みそのもの。屈強な野郎共がひたすらぶつかり合う瞬間の連続は、ガタイの良い白人選手だからこそ成り立つスポーツの醍醐味が凝縮されているし、WWEを見ているかのようなワイルドな楽しさがある。試合そのものは中断が多いが、その隙間を埋めるCMは、全て新作。(C) 2020 I4Uおまけに今年のハーフタイムショーは、ジェニファー・ロペスとシャキーラがストリッパーまがいの踊りをバンバン披露してたものだから、下品だな～と苦笑しながらも（案の定、翌日の新聞記事などでは批判されていた）、盛り上がりに拍車がかかるのなんの。試合結果なんて全く気にしないし、年に一度、隣人や仲間同士で集まって、頭カラッポにして数時間ほど盛り上がれるのが、スーパーボウル・サンデーだ。(C) 2020 Oscarsそれにしても今年は、アカデミー賞がスーパーボウルの翌週に流れるものだから、なんだか余計に時間が早く流れる気がしてならない。以前も触れたが、映画が文化として根付いているこの国では、マニアックな作品の名が一般層へも、アカデミー賞授賞式が近づくにつれ、浸透していく。で、年に新作を150～200本ぐらい見る、私のようなそこそこの映画好きたちは、どの候補がどの賞を取るのかを予想して意見交換するのも普通にやるし、ラジオやテレビのトークショーでは、司会者たちがけっこうマニアックに受賞に関する分析を語ることも、この時期はあちこちで起こる。(C) 2020 Gentlemen's Journal今年の候補リストを見ていると、例年よりもバラついている印象で、何だかんだで誰が何を受賞するのか読みにくい展開になっている。作品賞では「1917」が手堅いと、あちこちのプロフェッショナルなメディアで語られているが、「Parasite」でアジア映画初の作品賞受賞を望む声が、草の根では高まっている。(C) 2020 Varietyまあ「Parasite」は、既に他の賞を幾つも勝ち取っているから、アカデミー賞外国語部門での受賞はほぼ確実だろう。「1917」も「Parasite」も作品賞と監督賞の2部門に入っているから、どっちかが両方取るか、個別に取るかで、分かれそうだ、との意見もある。主演男優賞に関しては、ホアキン・フェニックス以外にはあり得ないとの意見も納得だし、「Joker」自体は冗長だと感じた私でも彼の演技はこれまでの集大成（セレブ業界に強烈なドッキリを仕掛けたり、奇人変人の役を数え切れないぐらい演じただけに）、説得力抜群だと思った。また助演男優賞に関しても、ブラピがついに取るんじゃないの、と私の周りでも言うひとが多い。(C) 2019 Buslteジュディ・ガーランドになりきったレネー・ゼルウィガーが主演女優賞に手堅い、とあちこちで聞くが、今年のこの部門はほぼ全員、「演技が凄すぎて、現実の姿を消し去っている」レベルなので、これは誰が獲るのか最後まで分からない。一方で助演女優賞は、知人の映画好きはみな口を揃えて、離婚弁護士役を演じたローラ・ダーンだと言っており、というのもその離婚弁護士は実在する人物を基にしていて、ハリウッド・セレブの離婚問題を器用に片づけている人だから、だとか。(C) 2020 Paradeそれらの主要部門以外にも、脚本はどの作品が獲るのか、脚色は、編集は……などなど、興味は尽きない。近年は5:30pmに生中継が始まって、2時間ぐらいでスパッと終わってくれるから（昔は余裕で3時間を越えて、飽きる瞬間が多かった）、今年も本放送が楽しみだ。（Stephen）
01Feb
- 2020年1月のPLAYLIST
  Hoshi World Inc.WEB班Takです前回につづきハッシュタグ#HWIplaylistを使った先月のプレイリストをまとめました1月はお正月気分でみんなダレるのでアガる曲を教えてもらいました"Goddess of Sunrise" by Zenoイントロがすでにお正月ですドイツ人ギタリストだとかで曲紹介してくれたスティーブン先生が当時ルームメイトだった韓国人から推されたとかなんでも日本でしかＣＤ出してないミュージシャンをひたすら追いかけてたそうで「ただでさえ高い日本版ＣＤをわざわざ1.5倍の値段で空輸して買っていたツワモノ」と先生はいいます「まあでもねー、私の世代はみんな、ＣＤっていう無駄なものに、余分な金を、平気で落としてたものだよ。それこそいまの若い子たちがガチャゲーやソシャゲーでお年玉を溶かしまくるのに変に共感できる、っていう」そこですかでもぼくもけっこうガチャ回して金溶かしたなぁ。。。Fall Out Boy - Immortals (Official Music Video) (From "Big Hero 6")曲紹介してくれたＨＡＲＵさんはディズニー映画の中でもベイマックスが大好きらしく「こっちのほうが絶対エンディングに合ってる」と熱くなってくれました日本版だとエンディング曲が違うんですよね「Big Hero 6は感動ものじゃなく、日本の古典アニメに敬意を払った、激熱ロボットアニメだものね。私も大好きだよ」と先生も言ってますタイトルもオリジナルのビッグヒーロー6のほうがみんなで戦ってる感があっていいしこればっかりは日本の宣伝方法がマイナスですよねEminem ft. Rihanna - The Monster (Explicit) [Official Video]ぼくからエミネムは一時期スランプでしたがこの曲でいいかんじに戻ったな～って思いましたリアナさんのボーカルも超かっこいいですTaylor Swift - Shake It OffＨＡＲＵさんも「テイラーならこれ！」ですがぼくもそう強く思います1回聞いただけで覚えられるメロディだしもう押せ押せ～って感じの曲調ですよね"Bleed American" by Jimmy Eat World曲紹介してくれた先生から「これほどジョギングに合う曲は無い」もう20年ちかい昔の曲ですがギターが鳴りまくってるハードロックですね女子ファンが多いバンドだとかで先生がコンサートに行ったら「女の子ばっかで、自分だけ浮きまくり」だったとかKendrick Lamar - M.A.A.D. City (Feat. MC eiht)ぼくからケンドリックさんは若手ラッパーとして一気に有名になってそのプレッシャーに勝ったすごい人ですその彼のすごさが詰まったこの曲はいつ聞いてもぼくはあがります！"Step Up" by Drowning Pool先生から「この曲が入ってるアルバムの表紙のお姉ちゃん、有名ポルノ女優のジェシー・ジェーン（Jesse Jane）だよ。」いきなりそこですか「でもって公式のビデオだと、一番肝心な放送禁止用語を叫ぶ瞬間が切られてるので、敢えて非公式の動画を。」さすが先生、元ヤンってとこに説得力あります「いや、ちゃんと勉強して3.6のGPAは保ってたよ。いろいろ悪いこともしてたけど。なので、昔で言うなら、健康優良不良少年かもね。」かもね、いいのかなぁ。。。余計に先生のアヤシイ部分が強調されたようなでも曲は超かっこいいですさすがＷＷＥのテーマ曲になっただけありますね～"Straight Outta Compton" by Niggaz Wit Attitudesたたみかけるように先生から放送禁止用語連発ソングぼくもこの曲は大好きですがまさかスティーブン先生まで好きだとは予想外「日常生活で汚い言葉なんて使わないでしょ。私なんて子供に悪影響を与えるから一切言わないもの。だから、こういう曲を聞くと、いいストレス解消になるのよ。代弁者みたいな感じで。そりゃこの曲、有名になるでしょ。」先生って説得力ありすぎですギャングスタラップが1987年でここですでに完成されてる意味でも重要な曲でしょうだからラップやヒップホップに興味ないリスナーも取りこんだと思いますAvril Lavigne - Girlfriend (Explicit)アブリルの有名曲ですが限定版にしか入ってないやつですＨＡＲＵさんも「絶対こっちのほうが刺激あっていい！」たしかに最初のほうですごい歌詞をうたってますぼくもふつーのガールズロックなオリジナルよりも攻めまくってるこっちのほうが好きです"Guerrilla Radio" by Rage Against the Machineなんかスイッチ入った先生から立て続けに放送禁止用語ソングあーけっこうこの曲聞いたことありますプロレス系の番組で「ゲリラとラジオ、っていう2つの言葉を、ここまで華麗に組み合わせた曲なんて、これが唯一じゃないの」と先生は言いますし「子供に聞かせてワルを教える」のが先生のポリシーです禁止用語があるほどに曲って楽しくなるものですね～"Right Next Door to Hell" by Guns N' Roses「ギターソロに入る直前のアクセルの絶叫を聞いてくれ。これこそ正に魂の叫び。いやファッッッユーーーーーッッッッッッ絶叫してるだけなんだけど、それで私の一番好きなガンズの曲になったね」スティーブン先生ってやっぱ真面目に見えてかなりのワルですよねでもぼくもこれ聞いて一緒に叫びたくなりましたファッッッユーーーーーッッッッッッ先生はその後の一瞬だけ枯れた声で投げやりに言う「bitch」もかなりのお気に入りだとか"Force Ten" by Rush年明けにこのバンドのドラマーさんが脳腫瘍で亡くなってアメリカでも緊急ニュースになってましたそれだけ歴史に名を残すドラマーだったそうで曲紹介してくれたスティーブン先生もこうおっしゃってくれました。「寝耳に水。ラッシュは6回ぐらいコンサートを見たけど、ロックバンドはこうあるべき、なカッコよさと威厳を示してくれてて、本当に好きなバンドだったし、亡くなったニール・ピアート（Neil Peart）さんに追悼を捧げる意味でも、私がラッシュの中で一番好きなこの曲を、選んでみた。」実際ビシッと決まったかっこいい曲ですよこれもう二度とこの激しいドラムが聞けないかとおもうと最後にきっちりシメてくれて先生いつもありがとうございます　　そんな感じでアガル曲を1月は集めてみました(tak)
19Jan
- 映画館へ行くのが文化として根付いているのがアメリカ／1917
  (C) 2017 Your Movie Reviews昔よりも値段は上がったと言っても、アメリカの映画代は、比較的、安いほう。夕方以降は稼ぎ時なのでそれなりの値段になってしまうが、集客しづらい午前中などはいわゆる「Bargain Matinee」と呼ばれる割引制度が、全米の大半の映画館で実施されている。西海岸は特に安いと聞くし、AMCのような全米チェーンでも$7ぐらいで大スクリーンを楽しめる、と現地の知人からも聞いている。(C) 2017 The Washington Times新作映画は毎週金曜に公開、というルールも長年変わっていないし、週末に映画館で新作を見て、月曜に同僚やクラスメートとあれこれその話をするのが、アメリカに根付いている文化のひとつなのだ。私も特に土日の午前は、なるたけ予定を入れないようにして、近所の映画館まで一人で出かけることが多い。土日の午前なんて子供たちはCartoon Networkでアニメを見ているし、妻は平日の仕事疲れで10時ぐらいまで起きない。最近はストリーミング・サービスも充実しまくりなので、年に150～200本ぐらいの新作映画視聴を、映画関係で仕事をしていない私でも、この国に住んでいると自然に出来てしまうのだ。映画代が安いから、最初の15分でつまらんと思ったら普通に席を立つし、どの映画館もマルチプレックス式が基本だから、公開中の他の作品に乗り換えたりもできる（新作の上映初週でない限り、館員もその辺を気にすることはほとんどない）。私が学生をやっていた頃なんて、バーゲン価格は$6が相場だったし、1枚のチケットで2作品を見ても館員はスルーしてくれるから、貧乏学生でも様々なタイプの映画をたくさん見れたし、そもそも私はセリフの多い映画を好むから、リスニング力を徹底的に鍛えられたものだ。インディペンデント作品の公開を中心にしている映画館では、外国語映画もかなり見れるし、映画好きにとってアメリカは、大画面で様々な作品を楽しめる、最適の環境と言えなくもない。夏休みや冬休みの時期になると毎年、必ずと言っていいほど公開される話題作、人気シリーズ作、超大作を、公開初週の、映画館が最も混む時間帯（特に、週末の夜）に見に行くのも、お勧め。というのも、アメリカの客は、ノリが違うから。(C) Mega Moolahギャグには大爆笑するし、人気の俳優がスクリーンに大写しになると歓声が上がるし、主人公たちが活躍すると拍手喝采。私はマーベル系の作品にはまるで興味を示さないが、昨年、アベンジャーズを公開初週に見に行ったときは、客が最初から最後までロックバンドのコンサートみたいな感じで盛り上がっていて、作品自体の冗長さを忘れさせられるほど、楽しかった。それぞれのキャラの特性とか全然知らずとも、客が盛り上がるとこで盛り上がってくれるから、予備知識が必要ない。(C) Stock Imageこういう参加型の楽しさがあるから、アメリカでは、映画館での映画鑑賞が、文化としてびっしり根付いているんだな、と、今でも思う。こればっかりは、タブレットで適当にストリーミングするだけじゃ絶対に得られない、現地ならではの感覚だ。(2019) 1917 Official Websiteちなみに私が最近映画館で観た作品で一番印象深かったのは、「1917」。第一次大戦におけるイギリス軍対ドイツ軍のお話しで、監督のサム・メンデスの祖父が実際に戦争に関わって様々な功績を上げたという逸話を基に、イギリス軍の伝令兵に焦点を絞った大作だ。戦争映画というよりも、どちらかと言うとアクション・アドベンチャーの部類に入ると思う。(C) 2019 IMDB何しろ冒頭から最後までワンカットで繋がっており、主人公の険しい道中を、客に一体化して体験してもらおう、との野心的な作風だから。6年前にアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が「Birdman（バードマン）」で取ったやり方と同じだが、あっちは話のスケールがしょぼくて全然入り込めなかったのと比べると、こっちは見ている側を強引に取り込んでくるパワーが最初から感じれた。(C) 2018 TVTechnology無論これは本当にワンカットで撮っているわけではなく、複数のカットをデジタル加工でつないでいる手法で、14年前にアルフォンソ・キュアロン監督が「Children of Men（トゥモロー・ワールド）」の中盤と後半の見せ場でこれを実践して世界を驚かせたのが最初、と言われている。主人公が単独でドイツの地に足を踏み入れる中盤以降は、いつドイツ兵に見つかるか分かったもんじゃない状況が延々続き、緊張感がまるで緩和されない。大画面で楽しむに値する作品の典型だし、そりゃスターウォーズ最新作を破って、先週の興行収入1位を取るわけだ。(C) 2016 CINEMABLENDサム・メンデスは映像美にひたすらこだわる名監督で、作品ごとに常に敏腕な撮影監督を引っ張ってくるが、今回はアカデミー候補常連の名手ロジャー・ディーキンス（Roger Deakins）と4度目の共同作業を行っており、結果、複雑なワンカット加工を完璧に仕上げるのみならず、あらゆる場面が一枚絵として機能するほど、美しく撮られている（撮影は主にスコットランドで行われたそうだ）。戦争をテーマにしていても、残虐描写が意外なほど少なく、あくまで伝令兵の過酷な旅を描くことに集中しているから、私としても、映画好き以外のひとたちに勧めやすい。アカデミー賞10部門ノミネートだが、まあほぼ確実に、撮影賞（Best Cinematography）は取るだろう。それ以外にも、作品賞を含めて2～3つは取りそうな気配だ。(C) 2020 New York Postここまでの文章で興味を持った方には、一押し。これ、本当に面白かったもの。日本ではバレンタン・デーに公開、と、なかなか思い切っている。もっとも、ハラハラドキドキ（この表現、若いひとたちに、今でも通じるんだろうか）を味わえるデート・ムービーと考えたら、案外しっくり来るかもしれない。いつ主人公が殺されるか分からない状況が2時間近く続く意味で。尚、私が今週一番見たかったのは「Weathering with You」だが、現時点では限定公開な上、Makoto Shinkaiの名がアメリカでもだいぶ知れ渡っているのの証拠か、うちの近所の映画館では先行販売の段階で売り切れ続出だった。(C) 2020 Fathom Events驚いたのは、今回はPG-13指定（子供だけでは見れない）で、理由は「for suggestive material, some violence and language」。ここで言うsuggestive materialは、大抵の場合「悪行を示唆する」で、私も日本の知人らに話を聞いたら、「風俗関係の描写がある。あと、バニラトラック出るよでかせぎこーしゅーにゅー」。さすが新海監督、前作の異常な一般受けに対して叩きつける彼らしい挑戦状というか、そんな面白話を聞かされたら俄然、来週には先行販売のチケを買ってでも見たくなるし、まあ、映画関係の話になると、普段以上に熱が入ってしまって申し訳ないが、長年アメリカに住んでいると、だいたいこうなる。(C) 2008 EC Englishストリーミングやスマホが主流であっても、「大画面で見る体験は、全然、違う」のを、アメリカは国民全体に植え付けている感がある。だから興行収入も、未だに安定している。映画代の安さは幅広いアクセシビリティに繋がっているし、話題作なら他の観客と一緒になって盛り上がれる面白さを手軽に味わえるのだから、「わざわざ映画館まで行って映画を見る」行動を一般層にこれだけ浸透させているのは、アメリカ特有だな、と思ってしまう。他にも、アカデミー賞の候補一覧に関しても、あれこれ語りたい衝動に駆られたが、ここまでで既に長いので、もし気が向いたらその時にでも。（Stephen）
17Jan
- 貴重な情報を隠し通し切り札として使える人間ほど成功するのがアメリカ社会
  (C) Stock Imageインターネットは昔から、メールなどのプライベートな空間でも、誰がどこで何を拾って外へ散布するか分かったものではないので、誰でもアクセスできるこのブログでは一切、金になる情報を記さないのが、私の方針。よって、数か月後とかに読み返して「あったなそんなの」ぐらいに捉えられるレベルの、その時その時で気になったことの覚え書きが、中心。そこに読み物としての面白さを多少なりとも入れられて、1人でも多くの読者のヒマツブシになってくれれば、まあ、目的は果たしたようなものだ。だからこの場で文章化される内容は、ブログ形式で公開しても問題ない、と思った程度の情報に留まるし、適当に書いているようで実はけっこう、ネタの扱いには敏感だったりする。(C) Cartoon Movementなぜ改めてこのアタリマエを書いているかと言うと……。昨年末、趣味の分野での情報交換中に知り合って、メールと電話のやり取りを数年に渡って重ねてきた相手と、初めて直接面談する機会があったのだが、予想通りというか、アメリカの大手企業でジェネラル・マネージャーに就くような人物だった。元々交わしている情報が非常に特殊だったのもあって、私とそのひとの間での、本当にプライベートな空間を長年大切に守れていたし、文章や喋り方からも、知的さが伝わってきていたから、その方が私の住む街の近くまで来るというので、半日潰して、現地情報を大量に渡したり、お勧めのレストランを案内したりなどで、積極的におもてなしをさせて頂いた。最初は、自分と物の考えや思想がやたら共通している、数少ない友人と捉えていたが、今ではもしかしたら、将来的に一緒にビジネスをしたり、私と仲の良い他の賢人たちとつなげて独創的な企画ができるかも、というところまで関係が広がりそうで、久々に気分が高揚した。仕事の話なんかもけっこう交わしたが、やはりと言うか、ああいう大手の会社で上位の役職に就けるレベルのひとは「自分だけに送られた情報を徹底的に守る」「自分に対して厳しい」「研究と成長を欠かさない」「直接、フィジカルに会うまで、相手を絶対に信用しない」という、私も死守している部分ばかりで、過去に面会した、この社会で成功しているひとびとと、驚くほど共通していた。その中でも特に強調していたのが、「如何にして上へ進むための貴重な情報を隠し通し、それを切り札として使えるか」。これは私も心底、思う。今の私はそこそこの年齢に達したし、自分の抱える貴重な情報をアカの他人にバラして、承認欲求と自己顕示欲を満たすためのアマチュア感覚は、とうに捨て去った。むしろ重要なのは、いま自分が持っているスキルを、どれだけ若いひとたちに引き継いで、少しでも、この生き辛い世の中を過ごしやすくできるか。(C) 2020 Vox中東との緊張関係もあって下手したら第三次大戦の足取りが見えてきた2020年の1月17日であっても、そんな世の中を少しでも変えられる人材が、私が切っ掛けとなって将来的に出てくれれば、これほどの達成感は無い。だからこそ、情報の扱いには細心の注意を払わないとならないし、たとえ生徒相手であっても、「私とあなたはここまで」という線引きを、常に明確にしている。正にそれこそ、↑の表題にも使った、当たり前の事実に、この地で数十年の生活を経て、社会経験も通じて、人種の異なる多数のひとびとと会ってきて、ようやく私も自信を持って辿り着けた感がある。(C) Stock Image余談はともかく、Noriko-sanが最近プッシュしている英会話レッスンだが、我々講師陣は、レッスン終了後、可能であれば30分以内に、レッスンのフィードバックを当該の生徒に即、送るように命じられている。30分以内というのが重要で、人間は基本、物事を忘れる生き物だから、レッスンを終えて頭があったかいうちに、「レッスン内での生徒の良点と欠点を、3～5センテンスでまとめて送る」ようにすれば、コメント内容もかなり的確になる。ただ、いわゆる「Back-to-Back」レッスン（例：7:00-7:25を終えてから、7:30-7:55など）の場合、私のように生徒を多く抱える講師は、そう簡単に、細かいフィードバックを返せない。その点も考慮して、私はレッスンごとに「ここを押さえておけばいい」部分を、定型文として、控えている。なので、まあレッスンを無事にこなせたな、という生徒には、定型文で済ますことが、当然且つ自然。それが、商売というものだ。一方で、レッスン中に「この生徒は随分伸びたな」「前と比べると、段違いだな」と思った生徒へは、私自身が前向きな文章を書きたくなる衝動に駆られるので、定型文にはない「生の声」が抽出される。で。HWIのスタッフから、このフィードバック・コメントに関しては、「プライベートになりすぎないでください。というのも、生徒によっては、他の生徒とそれらのコメントを共有してしまうからです。」とのお達しを事前に頂いているし、それも納得。先述したように、インターネット上に投げ込まれた文章や音声は、いっくらプライベートな空間と主張しても、悪意を持てば誰でも、外部へ流出できてしまう。なので、生徒間同士で、先生がたのフィードバックをコピペしてシェアするなんてのは、余裕で想像できるし、それを想定外だと言う輩は、常に想像力を働かせないとならない「先生」という職に、向いてないと思う。もっとも、「個人に宛てられたメッセージ」を「他者に無断で流す」のは、大抵の状況において良いマナーとは言えないし、もし私が他人から「このひとこんなこと言ってたんだけどー」との軽いノリで第三者の私的な情報をバラされたら、いつ私も同じ目に遭わされるか分かったもんじゃないし、そんな基本レベルで信用できない人間とは一緒に居たくない。そもそもそうした、迂闊に公にできない情報を、関係者への報告をせず、「どうせバレないだろ」と軽率に扱う輩のお手つきほど、巡り巡って当人の耳にいずれは届くのが現実だ。(C) Power of Positivity逆に律義に、「〇〇さんへ、××さんが私に宛てたこの意見をシェアしたいのですが、宜しいでしょうか？」と、関係者に予め断りを入れられるレベルなら、まともな感性と社会的常識を持っていると判断されるし、私も一目を置く。確固たる揺らぎない自信がある人間ほど、先述したように、自分が得た情報を徹底的に隠したがるのが、とりわけアメリカ社会においては成功する上での、第一歩なのだ。(C) Stock Image一方で、自分を信じていない人間ほど、こっちが聞いてもいないことをぺらぺらぺらぺら話してくる。私だって昔はそれで失敗したことがあるし、でもそこから学習したからこその、今がある。「まあ所詮こいつはここ止まりだろうな」と思われるのが私には一番の屈辱だし、必然的に、口も堅くなる（喋り嫌い、なわけではなく、むしろ一度話し始めると止まらない）。(C) Alex Fradera私は、現行で教えている生徒たちの、先のこともしっかり、考慮している。「この生徒は私とのやり取りを誰にも漏らしてないし、向上心はあるし、今後が期待できる」と思ったら、それこそ直接Noriko-sanに「___（生徒名）さんは勤勉で、軽口を叩かず真剣で、将来性もあるので、____（大手会社名）の____（担当者）に、推薦しても良いと思いますよ。」と伝え、その「有望な」生徒がこの競争社会を生き残れるよう、最大限の手配をするのも考えている。そもそも。公式で通知・配布されている英会話レッスンの内容は、実際には「所詮、入り口を突破する」程度のもので、そこから先の、とりわけ英文の文章作成及び添削を含めた課題も、大量に用意してある。私が「このひとは、余計なことを口外しないし、情報の扱いに慣れているから、信用できる」と思った相手だけに、生徒ではなく仲間の目線で、高度な課題を突き出すし、それらをこなせるならば、大手会社のインターン程度なら、普通に務まるものだ。(C) 2018 Dell EMCまあいずれにせよ。私としても、個別に送った事柄が第三者へ共有されるのは、そんなの、良い気分がするわきゃない。自分がやられて厭なことをされたらそらもう腹立つ、なんてのは、小学校の頃から学んでるはずでしょうが。念のため弁護士と相談したところ、「それ、全米の大半の州で、違法。特に西海岸と東海岸で。証拠が揃えば、莫大な請求できるよ。国外であっても。」だろうね、プライバシーにとにかくうるさいアメリカは、特に。なら、情報漏洩した個人が特定できれば、私から訴訟を起こせるのも、可能、か。それで、結構な金を、徴収できる。そうか、これで、うちの子供たちの学費も、余裕でカバーできるな。(C) HERZING UNIVERSITY冗談はともかく、こういった些細な部分から発露する危険性はアメリカ生活で特に理解していないとならないし、日本特有の村社会的な感覚でデリケートな情報を他人と共有しているうちは、アメリカで現役で生き残っているタフなひとたちから「こいつ使えね」と普通に思われるのも仕方がない。私もNoriko-sanも、不測の事態を常に想定し、プライベートな弁護士をちゃんと抱えているし、自身の業務に差し支えが出るなら、普通に行動を起こす。家族の身を守るためなら、悪魔にも、なれる。他人なんざどうでもいい。妻や子供が私にとっては、第一だ。(C) Stock Imageまでも、今の自分の根っこにある思想のひとつは、先述した通り、「見所あるけど自分よりも経験の少ないひとたちに、少しでも、アメリカ生活をスムーズにする、知識や知恵の共有と分配」。その点で私は、年齢や人種、性別、容姿で相手を絶対に判断しない。重要なのは、中身。そして、上に立つひとたちからの信頼を得れば、その先に待っているのは、誇張無しの「明確な成功」だ。こればかりは、金では絶対に買えない。文字通り「本人の人間的な努力と成長次第」だし、なんだかさっきからアタリマエばかり書いていて飽きてくるが、その当たり前を理解してもらうべく、恥ずかしながら長文を走らせてみた。まともな良識を持つひとたちには欠伸の出る話、だろうけどね。（Stephen）
11Jan
- 速攻で破られる「新年の誓い」
  (C) THUMBPRESSアメリカでは年明けに、同僚や友人、親族に、「New Year's Resolution（新年の誓い）」を出し合うのが、まあ、お約束みたいなもの。ブログという時代遅れ形式な上に長文の目立つここをわざわざ読みに来る、情報に飢えた読者なら、アメリカは肥満大国という認識を持っているだろうし、それは全然、間違っていない。(C) CDC事実、『CDC（Centers for Disease Control and Prevention：アメリカ疾病予防管理センター）』が2017年に行った統計では、3億2,000万人の人口のうち、なんと4割にも及ぶ9,300万人が、肥満（Obesity）と診断されていた。わずか3年前のデータなので、今でもその数字は殆ど、変わってない、むしろ年々、悪化しているんじゃないかとの印象がある。日本から遊びに来る私の知人たちも、ほんの少し路上を歩いただけで、「なんでこの国ってこんな異常なデブばっかなの？」と、呆れるぐらいだ。(C) 2019 TIMES OF INDIAなので、新年の誓いで最もポピュラーなのは、「lose weight」。そしてその誓いが、TIME誌がまとめた「速攻で破られる新年の誓い（Top 10 Commonly Broken New Year's Resolutions）」の、上位に入ってくる。(C) Getty Images一方で、アメリカではもうすでに20年選手のビジネス誌『Fast Company』が、2年前に「信念の誓いが続かない理由（This Is When Your New Year's Resolution Will Fail）」というコラムをアップしており、これがなかなか、説得力のあるものだった。以下、この記事内で書かれている7つの理由を、軽く解説。(C) 2014 The Business Journals（１）FOCUS ON GOALS INSTEAD OF ACTIVITIES（個々の行動ではなく、目標に向けて動く）叶えられない新年の誓いの多くは、目標ではなく、その過程にある行動に重きが置かれているからだ、と記事内のライターは指摘しているし、確かにそれも分かる。「週3回、フィットネスジムに行く」よりも、「2月までに体重を2キロ落とす」のほうが、目的意識がハッキリしている分、続けられやすい。記事内では「They're your rudder」と表現されているが、確かに、しっかりした舵取りこそが、この手の「誓い」を達成する、近道かもしれない。（２）THE STEPS TO SUCCESS SHOULD BE SMALL（叶えたい目標は、より近くに）要は、目標設定を高くし過ぎると、誰も叶えられない、ということ。可能な限り手の届きやすい距離に目標を設定するのは、確かに現実的だ。（３）FIND A QUICK WIN（素早く達成感を得る）目的到達までの道のりが長すぎると、人間、どっかで挫折する。ゆえに、手っ取り早く目標に辿り着くことも、継続性を考えると重要だ。ここで重要なのは「Humans are more motivated by immediately experienced goals than ones they have to wait to receive.」の一文で、正にこれこそが、新年の誓いを続けられない理由のひとつとして、常識的に捉えられる。別に仕事でないのなら、結果はすぐに、出てほしいものだ。(C) 2018 toggl（４）EDUCATE YOURSELF AROUND YOUR GOAL（目標達成に必要な知識・情報の取得）簡単に破られてしまう新年の誓いは、当人の情報不足も関係している、との指摘。スポーツジムの会員がその典型で、セールストークに騙されていざ入会してみたら、思ったよりも施設の内容がしょぼかったりなどでわずか数回で利用に飽きてしまい、せっかくの会費を無駄にするひとたちが、この国は少なくない。目標を達成するうえで、必要な情報をしっかり仕入れていくのは、基本だと、確かに思う。こういう言い方もできる。「タイムラインに現れる情報に惑わされるな」。実際、フェイスブックやTwitterなどのソーシャルメディアに「中毒になっている」ひとたちが最も警戒しないとならないのが、これ。嘘の情報ほど耳障りが良く、信じてしまいがちだからこそ、きちんと情報を吟味して、本当に必要な点を取捨選択していくのが、何だかんだで一番の近道だったりする。(C) VectorStock（５）FIGHT BOREDOM WITH VARIETY（単調作業を避ける）新年の誓いはどちらかというと趣味の世界に近くもあるので、その趣味の時間が単調作業になってしまうと、仕事と違ってお金になるわけじゃないから、飽きても仕方がない。なので、新年の誓いを果たす行動に関して、クリエイティブになってみはどうか。例えば、30分のエクササイズなら、10分はランニングマシーン、10分はクロストレーナー（"elliptical"と呼ばれる、要は踏み台昇降機）、10分は自転車、との形で、パターンを次々に変えて行動に移す、というものだ。確かに私も、60分の運動を、午前中に30分のウォーキング、夕方に30分のジョギングとのように分割してから、ほぼ毎日続けられようになった。（６）CHANGE YOUR LANGUAGE（言語表現を変えてみる）目標に向かう際の言葉選びも、けっこう重要になってくる、とのこと。例えば「今年はたくさん稼ぐ」と誓っても、表現が曖昧だから、そんな誓いはいずれは忘れてしまう。むしろ「今年は去年より$5,000（約50万円）多く稼ぐ」と、目標を具体的にしたほうが、それに向かって進みやすい、ということだ。(C) 2017 steemit（７）EXPECT TO MAKE MISTAKES（失敗を恐れない）私自身も痛感するが、失敗を積み重ねつつも、そこから学習し、前へ前へと進んでいく人間が、最も頼りになるし、心身ともに強い。人種や性別、年齢関係なく、アメリカでのし上がっていく人たちに共通しているのは、失敗を恐れず自分のできることを片っ端から試しつつも、なぜ失敗したのかを冷静に分析し、同じミスを繰り返さないこと。会社経営を軌道に乗せている社長さんがたは例外なくこのパターンだし、結果を出さないとすぐに切られるこのアメリカ社会で逞しく生き残っている私の知人らも、何かしらの苦労を積み重ねている。ゆえに、いざというときの立て直しが早く、適応力・対応力が非常に高い。じつにアメリカ的な助言というか、これは、真理だな、と思う。……以上が、何らかの参考になれば、幸いだ。（Stephen）
05Jan
- 看護師志願者が面接で聞かれる65の質問
  今月に入ってから英会話において、受け持つ生徒が二桁を超え、しかも全員、予習・復習してくる真面目なひとたちなので、なかなか楽しい日々を年明けから過ごしている。過去に教職に関わっていた頃は、生徒が準備してこないケースが大半だったので、金にはなるが正直、流れ作業になることが多く、自分のためにもならなかった。それと比べると、教材の内容によっては私自身もあれこれ調べて準備しないとならない今回の英会話レッスンは、自分にとってもやり甲斐がある。とりわけ医療をテーマに絞ったコースでは、5段階に分かれているレベルのうち、1と2は生徒に自信を持たせるよう極端に簡単に作られているが、レベル3に移ると、見慣れない単語が頻出し、英文も長くなるなど、途端に難しくなる。しかも4と5では、自ら医療英単語を持ち込んでそれらを「自分の言葉で（in your words）」説明や、提示された議題に対して賛成か反対の意見を述べる、などなど、生徒自ら素材を準備しないと、まともに進行できない仕上がりになっている。で、大半の生徒が、レベル3で、詰まる。というのも、重文・複文の読解や、難易度の高い単語を使っての会話練習のように、「今の」日本の英語教育では教えない（扱えない）内容に、なるから。だいたいこの辺りのレベルになると、大半の生徒が、準備に1～2時間、レッスン後の復習にさらに1～2時間を要していると言っていたし、それこそが私の理想だ。スカイプの最近のバージョンは録音機能がデフォルトで付いているが、録音された音源の第三者への配布は、アメリカの多くの州で違法行為（特にカリフォルニアは刑法632によって厳しく制定されている）である。但し利益を生まない、個人的な使用であれば、録音は問題ないので、私はこのレベルにまで来た生徒たちには、あくまで勉強目的であることに限り、敢えて録音を推奨している。私が学生だった頃は、留学生に、小型のレコーダーを買ってきて、レクチャーの録音を推奨する先生が、少なくなかった。というのも、ESLを終えた程度ではリスニング力がそこまで身に着いたとは言えないし、それに対する先生側の、譲歩できるだけの配慮だろう。最近では残念ながら、留学生の本分を忘れて勉強目的以外で録音された音源を自分の利益優先で利用しようとする輩が少なくないとかで、知人の先生方でレクチャーの録音を禁じているのも目立つ。もっともそこまで悪知恵が働くなら、なんでわざわざ金も時間もかかる留学生から始めるのかが謎で、普通に起業でもすればいいんじゃないかと、私は思ってしまうが……。(C) 2014 iStock何はともあれ。私が特に、どんなレベルでも重要視しているのは、「自分の言葉を使って」「作文し」「自身の意見を述べること」。クリエイティビティと咄嗟の判断力が、日常生活レベルでも要求されるのが、アメリカ。そのアメリカでも看護師は、そうしたスキルが水準以上は無いとまるで務まらない、上級職だ。別に私は看護師では無いが、この国でのカスタマーサービスを多数、長年、経験してきたのもあって、この質問は聞かないとダメでしょ、といったものは、本能的に分かる。たとえば、開口一番の「How may I help you today?」。「What's wrong with your body?」「Can you tell me in detail?」「Do you have any history of diseases?」……など、ここからさらに16ぐらいは質問が浮かんでくるが、要は「可能な限り詳細に、相手の情報を引き出せ」。従って、たかが30分未満の英会話レッスンであっても、上のレベルになると、私も意地悪にならざるを得ない。ちょっとでも「いまの言葉の意味は？」と感じたら即座に突っ込むし、そうした急な発言に、慣れていない生徒はまず、対応できない。でも看護師は、真の意味での非日常に対して、柔軟な発想と慎重な対応を求められる。ゆえに、数々の権限を持つ正看護師（RN=Registered Nurse）の給料は、初年度から高いし、勤続すればさらに給料は上がる、と聞く。そりゃま、そーだろね。人の命を丁寧に扱う職業、の時点で、コミュ力と自主性が高くて当たり前だろうし、それらのアビリティはそもそも、日本の学校教育では悲しいほど、学ばせてくれない。アメリカの場合、教育スタンスが「Stand up and shout!」で、日本の「Sit and listen」とは根本的に、異なる。よって、この時点で大幅に遅れを取っている日本人留学生は、コミュ力などがデフォルトで長けたネイティブと、給料の高い正看護師の座を争わないとならないし、そのアタリマエの現実を踏まえた上で、たとえアメリカの看護師国家試験（NCLEX-RN）を受かっても、介護ボランティアにすら受からない日本人が居る、との話をNoriko-sanから聞いて、まあそりゃそーだよね、としか思えないわけだ。国家レベルだろうが何だろうが、試験なんてのは、条件さえ満たせば誰でも受験できるし、時間のかけ方次第で低い合格率も克服可能。でも職を得るには、自分よりも高い能力を持った連中とリアルタイムで競い合い、「この分野では自分こそが一番」なのを、短い時間で証明しないとならない。それまでに達成した事柄なんてどうでもよく、「いま、この場で」に対応できるか、が、看護師にとっての必須要素だと、素人の私でも思うし、ぶっちゃけ素人の私を説得できない奴なんて、看護師に成れるわけがない。その点を十分に理解してもらった上で、今回の主題。「65 Interview Questions for Nurses」このWeb記事は、看護師志望者が主に聞かれる、面接時の質問を、まとめたものだ。この65にも及ぶ質問は、別に看護師じゃなくても、「アメリカの会社の人事なら普通に聞くわな。」と思えるものばかり。一例を出すなら、「Where do you see yourself in 3 years?」や、「What do you bring to this position? How do you stand out from the other applicants?」。これらの質問に対し、「日本語で説明を」と言う時点で、そいつは即、不合格。私が会社の経営者なら、この程度の質問に対して、2から3センテンス以上の、確固たる説得力を持った発言が咄嗟にできないなら、「いらんわ、こんなの」。第一、アメリカに来た時点で、日本語サポートを期待することに、本人の甘さが露出しており、当人の「現地で、英語で、勝負する」との常識的な覚悟があまりに足りないのの、裏返しだ。その他にも、「What did you particularly like about your last position?」、「What actions would you take in your first month on the job?」、「What would you do if you were caring for an alert patient who suddenly got acutely confused and disoriented?」など、「なぜこの病院はこいつを雇いたいか？」の根底に属した、基礎的な質問が目立つ。アメリカで看護師になりたいなら、この程度の、いや本当に素人の私から見てもこんぐらいの質問に答えられる準備は、しっかりこなすべきだろう。結局、その辺の「アメリカで生き残ったひとたちの」認識を誤って、渡米してから「自分の実力はこんなもんか」と絶望に打ちひしがれて、英語力を伸ばす機会を失う生徒が、後を絶たないと、Noriko-sanから聞いているし、実際それは、生々しい話をするなら、20人以上居た日本人生徒がたった3人しかアメリカ短大卒まで残らなかった現状を目の当たりにした私には、とてもリアルに響く。私からの現時点のアドバイスとしては、営業的に響くのを覚悟の上で、「少しでも英会話のチャンスを得る」。あとはまあ、「Nursing2020 - LWW Journals」のような、密度濃い医療ジャーナルを定期的にアップしているサイトを追って、英語力を磨いて頂ければ、何よりだ。たとえ敷居は高くとも、ひとりでも多く、日本国内に留まっていても、熱心な英語の勉強を欠かさない、努力家のひとたちに、向けて。（Stephen）
01Jan
- HAPPY NEW YEAR 2020!
  (C) the-best-wishesあけましておめでとうございます。本年度も、宜しくお願いします。　　（from ADMIN）
20Dec
- 2019年12月のPLAYLIST（クリスマスソング編）＜年内最後の記事＞
  (C) ShutterstockHoshi World Inc.WEB班Takです前回につづきハッシュタグ#HWIplaylistを使った先月のプレイリストをまとめました今回はクリスマスソングしばりですではこのプレイリストにピッタリのこの曲からAll I Want for Christmas Is You by Mariah Carey英会話担当のスティーブン先生も「アメリカに住んでいたら、この曲を嫌いになるのが無理」というほど超名曲ですねぼくもカラオケで歌えるようけっこう練習しましたＬＡのラジオ局でも定番でスーパーマーケットのＢＧＭでも最近はよく流れてますThat Time of Year (From "Olaf's Frozen Adventure")アナ雪の人気キャラクターのオラフを使ったミュージカルビデオです推薦者ＨＡＲＵさんから「オラフのかわいさが曲をパワーアップ」たしかにこれは見ていて楽しいMerry Christmas, Darling - The Carpentersカーペンターズも有名曲もりだくさんですがＨＡＲＵさんは「この曲を聞いたときにクリスマスの美しさを感じました」初めてリリースされたのが1970年と49年も前ですが美しい曲は永遠ですよね～Justin Bieber - Drummer Boy (Audio) ft. Busta Rhymesリトルドラマーボーイは「らぱぱんぱ～」で有名なクリスマスソングですがそれをジャスティンビーバーが歌ってくれましたしかもバスタライムスまで共演なんだか超かるいドラマーボーイですがこれはこれでかっけーのでアリですShe Came Home for Christmas by Mew先生はこのバンドのＣＤを2003年のころに買うのが超苦労したというデンマークのバンドのクリスマスソング曲のタイトルもなんだかすごいですが実際の曲もロマンチックでドラマチック先生はまだ若かったころにクリスマス前に彼女と大喧嘩してこの曲を聞いて仲直りした・・・だなんて意外な話を聞かせてくれましたKanye West - Christmas In Harlem (Final; Original BPM)いまでは何かと問題発言とへんな行動が目立つカニエウェストですが10年ぐらい前は無敵ソングライターこの曲も遊び感覚でクリスマスソングなのにアレンジが超濃密ですこのころに戻ってきてくれ蟹江さーーーんFrosty The Snowman Song | Christmas Songs for KidsＨＡＲＵさんも「クリスマスならこのメロディ」とイチオシいまから50年もまえのアニメ「フロスティ・ザ・スノーマン - 温かい雪だるま」が主役ですでもクリスマスソングはメロディが誰でも聞いたことあるそれなので時代なんて気にならないのがすばらしいですChristmas in Heaven by Robby Valentineなんでも先生は20年以上まえの当時のルームメイトに勧められて「こんなQueenの精神性を継承したアーティストがいたんだ、それもオランダに」とたいへんショックを受けたそうでこの曲は「たぶん世の大半のひとに知られてない、隠れた名クリスマスソング」と説明ほんといい曲ですよこれぜんぜん売れなかったそうでオランダと日本でしかＣＤが出せなかったなんて悲しい話もChristmas in Heaven - Official Lyric Video for Maribeth Johnsonマリベスジョンソンさんはクリスチャンでゴスペルシンガーだそうでクリスチャンのあいだでは一時期有名だったそうですＨＡＲＵさんはたまたま訪れた教会でこの曲を勧められてはまったとかマリベスさんの歌がとても美しく心が洗われこれぞクリスマスRUN DMC - Christmas In Hollis (Video)コワモテ極道ラッパーだって楽しくクリスマスソングを歌うこの曲はまさにそれですクリスマス最高My Old Kentucky Home by The Mormon Tabernacle Choir先生は小学校のころ日本でこの曲を何度もＫＦＣケンタッキーＣＭで耳にしたそうです「故郷に帰る切なさを歌った曲の典型」だそうでたしかに聞いているとな気分になりますJingle Bells - Disney Very Merry Christmas Songsたくさんのディズニーキャラにクリスマスソングを歌わせるというなにげにスゴイ企画曲この動画内にも有名キャラが続々登場しますAriana Grande - December (Audio)アリアナグランデがきまぐれで歌った2分以下の曲でもさすがの歌唱力アリアナ最強ですChristmas Beat by Sadistヒェェェェちょっと先生なんなんすかこれ「20年ぐらい前にルームメイトだったフィリピン人がMetalheadzで、この手のすんげーうるさい曲をよく私に勧めてきた。眼鏡の似合う長髪の女の子だったんだけど、死体画像をインターネットで漁るのが好きだとか、なんだか凄い奴だった。」いや先生ってば若いころどういう人付き合いだったんですか「で、ね。この曲はマイ・クリスマス・マサカ―（massacre=虐殺）よ、みたいに言っててさ。サンタが手斧を持って人を殺しまくるC級通り越してZ級ホラー映画のBGMかよ、って突っ込んだんだけど、曲を聞いてたら私も気に入っちゃってさ。サディストのクリスマス、みたいな。」先生はイロイロと地雷を踏み過ぎですで一言「なんかイタリアのバンドらしくてね、現地の古典ホラー映画に影響を受けまくってこういう音楽になったらしい。」Bryan Adams - Christmas Time (Official Video)最後はＨＡＲＵさんがマライアキャリーの曲なみに有名なやつで〆てくれました先生のサディストでこのまとめが終わったらどうしようかと思ってましたがそこをしっかりカバーしてくれてウレシイですもともとは1985年にヒットしたシングルらしいですがビデオクリップが作られたのはほんの数週間前ギネス記録ものじゃないでしょうか　　そんなわけでこの記事を最後にHoshi World Inc. Blog Editionはしばらくお休みです再開は年明けしばらくしてからですみなさまそれでは良いお年を(tak)
18Dec
- 2019年度で印象深かった映画の一覧
  (C) 2019 Letterboxd（※注：以下のリストは、弊社の英会話担当者Stephen先生によるものであり、弊社の公式ではありませんことを、予めご了承ください）毎年12月になるといろいろなメディアで、「BEST XXX OF 2019」という企画が行われる。それこそ単純に「Best TV Shows」や「Best Music」から始まり、中には「Best International News」や、「Best(Worst) Trump Tweet」といった、ヒトヒネリ加えたリストも出てくる。(C) iStockphoto.comで。このブログの読者は映画好きが少なくない、というのが、検索単語などで分析した結果、分かった。なので、数あるベストオブのうち、今回は「アメリカで公開された映画」に焦点を絞って、最近はツマラナイと感じたら15分で席を立つぐらいに忍耐力の落ちた（エンドゲームを最初から最後まで見れるひとを私は普通に凄いと思う）私でも最初から最後まで見れて、且つ「もう一度見たい」と思わせられた作品を、以下、思いついたままに挙げていきたい。基本的には↑の注意書きにもあるとおりHWI Inc.とは無関係、主観と自己主張が強め……とはいえ「あまりに有名な作品はスルー」「あまりにもマイナーすぎる作品もスルー」の2点を踏まえ、年に最低でも100本は見る映画好きに「だよな～。」と思わせつつ、さほど映画を見ないひとにも楽しめるであろう作品を、可能な限りピックアップしてみた。以下のタイトルが、2019年にアメリカ公開された作品の中でも「なんらかの形で惹きが強い」との受け取られ方で、このブログの読者に楽しんで頂ければ、嬉しい。▼　▼　▼「John Wick Chapter 3: Parabellum」（ジョン・ウィック:パラベラム）作品を重ねるごとにキアヌ・リーヴスの奇想天外なアクションと殺害数、ストーリーの適当さがアップデートされるという、ファンにとっては理想のシリーズ。マトリックスをリアルタイムで追ってきた身としては、人生の様々な不幸を経て、キアヌがこれだけ溌溂とブチ切れた演技に集中しているのを見ていると、何かと感慨深い。設定や物語はどうでもよく（何しろインドネシアの現役シラット格闘家が忍者を演じている無茶苦茶さ）、とにかく最初から最後まで、目を見張るアクション・シーンのドミノ倒し。ゴジラの最新作も（見ていて精神的に11歳ぐらいに戻る意味で）素晴らしかったが、ジョン・ウィック・シリーズの場合、この3作目から見るひとでも楽しめるよう展開がテキパキしているし、続編をさらに匂わせるラストもあるので、それらを考慮して、選出。「Ready or Not」（邦題未定）いわゆるハンガー・ゲーム系というか、元を辿れば、高見広春原作及び故深作欣二が華麗に実写化した元祖「バトルロワイヤル」に行き着く、生き残りデス・ゲームの現代版。登場人物の衣装が敢えて古風なのに、やってることは残虐血みどろの乱れ撃ちで、二転三転するストーリーも、展開のスリリングさに貢献している。とりわけクライマックスのド派手さは、同じく締めで視聴者の度肝を抜くどんでん返しホラー「Cabin in the Woods」に、近いともいえる。というか文字通り「弾けている」。アイデアと見せ方が、今年の作品中でも特に秀逸。「Abominable」（邦題未定）南シナ海の九段線（Nine-Dash Line）を描いたことで一部のアジア諸国から上映中止になったが、カンフー・パンダ最新作などを手がけた中国の一流アニメーション会社パール・スタジオ（元Oriental DreamWorks）が製作しているだけあって、動画技術は一級品。ちょっとした草の動きや微細に波打つ水流といった背景画だけでも、見応え十分。そこに加えて本編も、少年少女たちが敢えて危険に飛び込む、家族で楽しめるアクション映画の王道を進んでいる。悪役が最後に酷い目に会う辺りは最近のディズニー・ピクサー作品と異なるし、中国人がメイン・キャラクターというのも珍しいが、作品の密度とデキに関しては長編アニメーションの中でもトップ・クラスだ。「Crawl」（クロール -凶暴領域-）ここでも触れたが、主人公たちが常に危機に晒されつつ、そこを難解なパズルゲームの如く脱していく作品として、非常に良くできている。それこそ、末期のバイオハザード・シリーズ（Resident Evil Franchise）なんざ歯牙にもかけないほどの、サバイバル・ホラーぶり。残虐なシーンも多いが、この監督代表作の「ピラニア3-D」と違って、そこまで後を残さない程度のものだし、主演女優の熱演もあって、近年では数少ない、正統派の緊張感を味わせてくれるのが、今年の良質ホラー映画群の中でも一歩進んでいると感じた。「Booksmart」（邦題未定）ここで感想を書いてみたが、まあこれは、日本公開がまず無理だろう。何しろ有象無象の「アメリカの高校白書」系でも、面倒くさい性格の主人公たち+スマホ世代、という部分に決め打ちしており、いやそりゃあーた何かと焦点を絞りすぎでしょ！と突っ込みたくもなる。しかしながら、脚本やキャラ設定の練り込み、物語運びや伏線の回収などはA級で、特に映画の勉強をしているひとたちにとって、これほど参考になる作品はない。私の周りでも、ある程度映画を見ているひとたちには大好評なのに、うちの嫁を始めとする、年に3回しか映画館に行かない層には、反応が非常に薄かった。つくづく映画作りの難しさを痛感させられると同時に、少しでもここの読者に、こういうのがあったんだね、と知って頂ければ幸い。「Parasite」（パラサイト：半地下の家族）アメリカの映画批評を集めており、現在ではニュース番組でもソースとして引用されている、辛口映画批評サイトの『Rotten Tomatoes』で、批評家評価現行1位の99%（10点満点で9.4）及び視聴者評価も93%と、近年稀に見るウケ具合を見せており、実際私が地元の外国語専門映画館に見に行ったときも、300席の大半が埋まっていたほど。終わった後には拍手喝采が巻き起こっていたが、それもそのはず、韓国映画がここまで力強くなったのを痛感させられる、社会的な意味でも、映画自体の面白さ的な意味でも、こりゃ最近のヤマケンハシカン連投アニメ漫画原作に頼りっぱなしの邦画じゃ太刀打ちできんわと。ソウルの底辺層対上級国民を、最初はコント風に描きつつ、そこからストーリーが急展開し、ラストでは本作監督ポン・ジュノの名作とも言える「殺人の追憶」並みに強烈な余韻を残す、鮮烈さ。台風がソウルに直撃し、そこから主人公たちが苦闘するシーンも、近年の映画の中ではトップ・クラスに印象深い。まあ、冒頭のピザ箱組み立てを始めとするいまいちノレないギャグや、中盤にいきなり出てくる一般人ドン引きもののゲスいシモネタなど、ジュノ監督の特色が全開だし、そもそもキャラの名前がアメリカ生活するひとびとには覚えづらいのもあって（賛否分かれるだろうが、英字幕において英語の名前を使った方が、取っつきやすかったと私は思う）、批評家の評価はちょと過大すぎる（9.4ではなく8.6辺りが妥当）が、私だって100点満点で評価しろと言われたら89点は付けたくなる。「Midsommar」（ミッドサマー）異文化ホラーというか、ホラー映画なのに夜のシーンがほとんどない、深刻なBGMとムードに終始覆われているのになぜか苦笑が漏れてしまう一枚絵の連続、色々とスウェーデンに喧嘩を売っているし実際に現地の観光協会から文句を言われた、とまあ、トリッキーな要素の塊だし、撮影自体も実際にはスウェーデンではなくハンガリーで行われているが、作品に最後まで付きまとう不穏さと緊張感は、2時間半の長時間を忘れさせてくれたほど。元々は「不和なカップルの別れ話」との体裁でコメディとして作り始められたが、前作「Hereditary（ヘレディタリー/継承）」で異彩を放った、まだ若干33歳の若手監督アリ・アスター（Ari Aster）が、そんな簡単な落し所に向かうわけが無く、彼の名で何かを期待する層の熱い眼差しに今回も、文句なしに応えてくれている。とりわけラストシーンは、私の周りでも「いいのか、あれで！？」となったほど。「Shazam!」（シャザム！）今年も色々なスーパーヒーロー・ムービーが公開されたが、エンドゲームを通して見れなかった（どころか途中で寝た）私ですら、シャザムは最初から最後まで楽しめた。コンセプトの基本は「大人と子供の体が入れ替わる」で、たとえば大人の体で子供っぽい行動をしたらどうなるかといった、それこそ、トム・ハンクスの初期の出世作となった「ビッグ」の、ある意味でオマージュと思えないこともない。後半、主人公が自身のあらゆる立ち位置を受け入れ、覚悟を決めて巨悪と戦うなど、ストーリー展開も王道的。本国で大ヒットしたにも関わらず、意外にも、私の周りでこの作品を語っているひとが少ないので、ここで選出。「Fyre: The Greatest Party That Never Happened」（FYRE：夢に終わった史上最高のパーティー）私が随分前に書いたここを参照。音楽祭としては今後、何十年も残る失敗談として、それはそれで価値のあるものだと思う。ソーシャルメディアが無ければまず何も起こらなかった珍事、というのも、なんとも皮肉。「The Edge of Democracy」（ブラジル－消えゆく民主主義－）個人的に今年見た映画の中で、これが一番、印象に残った。というのも私自身が不勉強で、ブラジルの現状をよく知らなかったからだ。極右で知られるボルソナーロが大統領に選ばれてから、それまで混乱の一途を辿っていたブラジル社会は、さらなる混迷へと突入。現地のプロテスト・ロック・バンドとして世界に羽ばたいた（がその後にすぐ失速）セパルトゥラが"Refuse, Resist!"と謳っていた1993年頃と、あまり大差が無いように感じられてしまうほどのカオスぶりを、本作は正面から突き付けてくれた。監督のペトラ・コスタが、時には当時の大統領のジルマ・ルセフの真横について、客観的に淡々と記録していった数々の映像の説得力は、あらゆるドキュメンタリー映画の中でも群を抜いている。現行の国際的社会問題について考えさせられる作品としては、単なる娯楽的ドキュメンタリーを、遥かに超えていると思う。▼　▼　▼……以上のリストが、当ブログの読者に役立って頂ければ、これ以上に嬉しいことはない。（Stephen）
15Dec
- 「I'm xxx years old」は避けるのが無難
  私が初めて教える生徒さんには例外なく、以下の質問を一発目にぶつける。「Can you introduce yourself to me?」私の経験上、90、いや、95%の日本人が、「My name is...」で切り出して、次に「I am xxx years old.」と、続けてくる。で、この一連の流れなのだが……。“My name is...”というフレーズは、全然、間違っては、いない。ただ、ちょっと行儀が良すぎる印象があって、それこそ恋人の親と初対面だとか、日常でも妙に緊張する場面で、不意に出ることが多い。アメリカで育った、もしくは長年生活している人たちと初めて対面すると、私の経験上、大半が「Hi, this is John, nice to meet you!」「Hi John, I'm Stephen, nice to know you too!」のように、「This is/I am」を使ってくる。「my name is」が3単語に対して「this is/i am」は2単語という、この程度の違いなのに、後者の方が取っつきやすい響きが、あるからだ。マイネームイズはまあいいとして、実は問題は次の、自分が何歳かを公にしてしまうこと。例えば面接では、面接官が人種（race/ethnicity）、性別（gender）、年齢（age）を聞くのはタブーとされており、履歴書に顔写真を貼るのは（見た目で選ぼうとの意志が感じられることから）マナー違反とされることが多い。近年ではMeTooムーブメントもあったし、社会的平等性に関して、アメリカという国はとにかくピリピリしている。なので、初対面で年齢を言うと、年齢を出して自分の経験や威厳を示そうとする権威主義的な人間、とネガティブに捉える人が少なくないのである。というか、私と仲の良い人たちは、自分の年齢を言おうとしないし、私も別に聞く必要なんて無いと思ってる。よって、ある程度気心の知れた生徒（最低でも名前は憶えるぐらい）には、英語で自己紹介の際に年齢を言うのを控えたほうが良いと、案内している。(C) Slide Tamじゃあ、何をイントロデュース・ユアセルフすれば良いか。では私のを、サンプルとして以下に。「Hi this is Stephen, nice to meet you! I'm from Alaska and currently live in New Jersey with my family of 4. I work as a translator, interpreter, document processor, event coordinator, and full-time cook. I've been doing educational jobs for 9 years, and have experienced customer service reps for 10 years in the past, including managerial post. My major strengths include precise and accurate judgement toward various issues, multi-tasking for more than 5 jobs in a short period of time, meeting tight deadlines, able to work under pressure, and obtain creative skills with tons of flexibility. When I have a free time, I love to cook to seek for new recipes that I can satisfy my wife and kids. Thinking and making new recipes always stimulate my imagination that can be applied to any kind of my work.」以下、簡単な解説。（１）名前を言う。苗字はいらない。苗字に興味を持つ人があまりいないから。（２）どこに住んでいるかを簡潔に。日本ならば市（city）と県（prefecture）を。（３）いまどんな仕事をしているか。（４）どんなスキルを主に持っているか。（５）自分の長所。最低でも3つは挙げたい。（６）長所につながる趣味をピックアップ。だいたいこの流れで語り始めれば、3分程度で相手に、自分自身の印象を良い方向に十分に植えつけられる。特にアメリカ人が知りたいのは「つまり、あなたは何ができるの？」に行きつくので、「自己紹介＝introduce yourself」とは、「自分を売り込む＝promote/sell myself」というのが、正解なのだ。(C) 2014 ConnectAndSellたかが自己紹介で、と私もかつては思ったが、結局、初対面が一番インパクトを与えるので、そこで自分を効果的にＰＲできれば、印象度は違って当然。それこそ面接等の重要な局面では、このレベルの自己紹介ができないと、話にならない。アメリカ人（もしくはアメリカで育ってきた人たち）と話す機会があるなら試しに、上記のやり方で自己紹介をしてみるといい。反応が驚くほど、違ってくるから。（Stephen）
11Dec
- 英語を英語で学ぶ『ESL』の仕組み
  アメリカで運営される学校は、とりわけ移民の多い東海岸や西海岸において、ほぼ例外なく『ESL』が用意されている。『English as a Second Language』の略で、要は、『英語を知らないひとに、英語で英語を学ばせる、学術プログラム』。この『英語で英語を学ばせる』のが最大のポイントで、留学生にとっての鬼門となっているのは、今も昔も変わらない。何しろESLを教える先生たちが最初に言うのは、「母国語の辞書は使用禁止（Your mother-language dictionary is prohibited）」。(2016) Tor/Forge Blogそりゃ、そーだわな。この20年以上で英語力を、ネイティブと当たり前に張り合えるレベルで上げてきた身からすると、いかに日本語の英語辞書が役に立たないどころか、混乱を招くだけだったのかを、痛感させられた。日本語の辞書を作ったとっても偉い先人たちには申し訳ないが、英語の微妙なニュアンスを完璧に訳すなんて、ほぼ不可能なのを、私なんて肌で実感したもの。正直、単語や言い回しによっては、日本語で説明するよりも、英語で説明した方が遥かに通じるし、私の生徒さんたちにはそれを考慮して、私から日本語は一切使わない。まあショージキにバラすと、いまの私自身が日本語をちゃんと使えないというか、私が日本語を迂闊に使ったら、英語でしゃべる感覚が勝っているがゆえに「めっちゃ早口で言ってそう」状態になるので、威厳を保つために日本語使用を一切避けている……のが現実だが。リアルな話はともかく、このESLプログラムは私も当然、留学直後に通過しないとならなかったわけで、そのときに、このプログラムの完成度の高さを、思い知らされたものだ。基本的には5つのレベルに分かれており、レベル1がそれこそアルファベットの組み合わせから始めるのに対して、レベル5では研究論文を書かせるという、本格的なもの。特にレベル2と3、3と4の隔たりが強烈で、レベル2で習得した文法技術をレベル3では徹底的に応用させられるし、レベル4に至っては、生徒が自身で調べて考えたアイデアを、皆の前で発表させられたりなど、敷居が一気に高くなる。レベル5はそれこそ、そこまで積み上げてきたスキルを全て試される……というか、「自力で考える」「自分の意見を述べる」「教科書に書かれている答えをコピペしない」辺りを徹底されるので、必然的に、簡単な1の質問に対して20ぐらいで返せるようになる。レベル1や2は楽勝、レベル3で苦戦、レベル4で壁にぶち当たり、レベル5で圧倒的な格差を感じる……。良くできたシステムというか、今では教える側の身としては、上記の作りが、英語を、英語の分からないひとに教えるのに最適じゃないか、と思う。Noriko-sanから斡旋される英会話レッスンは講師が適当に進めるフリー・フォーム（最近はこの手のがとても多い）ではなく、生徒に事前に配布される、PDF版の教科書に沿って進行するが、まあこの教科書がとても良く出来ており、特に看護コースは、レベル1から始めていけば、レベル5を終える頃には、たとえ日本に居ても、着実に英語力がつくように構成されている。上記の通り、レベル1は超簡単、レベル2でやや難しい、レベル3で日本の英語教育を余裕で超える、レベル4や5に至っては生徒の能動的な参加と創造力が問われ、宿題をきちんとしてこない生徒は絶対についていけない。また、これらのレベルを終えた後にも、勉強を続けたい生徒には、リスニング（聞き取り）やライティング（書き）スキルをひたすら試されられる、先生たちも時間を割かざるを得ない高度なクラスが用意されている、とのこと。まあ、あまりにも詰め込みすぎて、日本のどっかのアブラマシマシラーメン屋みたいにならないのを祈るが、私も長年、彼女と共同作業をしていて、不安を感じたことは一度もないから、懸念はゼロ。何事も、基礎から上級まで固めていく大切さを、この英会話レッスンで、学んで頂ければ、私にとってもこれ以上に嬉しいことはない。（Stephen）