(C) 2018 Biography

911が人為的な形で勃発してからもう19年も経つが、私はあの頃はまだ日本に居て、仕事帰りにテレビを点けたらアメリカがとんでもないことになっていた、というのを、今でも鮮明に覚えている。

高層ビルから上がる炎と煙、倒壊していく建物、逃げ惑うニューヨーク市民。

テロリストに乗っ取られた飛行機がツインタワーに直撃する瞬間は、今でも目に焼き付いている。


(C) 2018 Reuters

それだけ、あの当時のニュース映像は衝撃的で、知人らと電子メールや電子掲示板でのやり取りが数日の間、異常に増えたのも、懐かしい思い出。

SNS全盛じゃないあの当時、オンラインのコミュニケーション・ツールは、メール、チャット、掲示板にほぼ限られてくるが、共通していた意見は、「世界どうなんの、これ」。

2001年にはアメリカ移住を真剣に考えていたので、最新情報を日々、真っ先に調べる重大事件。私にとって911は、それほど強く記憶に残っている。


(C) 2020 New York Post

以後、アメリカは例年、9月11日になると各種メディア、特にラジオ番組などは、事件当時の音声をつないでトリビュートに使ったり、トーク・テーマをそれ一本に絞ったりと、かなり工夫を施してくる。

そこから、この事件を決して風化させず、若い世代にも重要性をきちんと伝えていく、という強固な姿勢が、窺える。


(C) 2020 CNN

そんな9月11日に、アンソニー・ファウチ先生が久々にCNNに出演し、最新のコメントを提示していたが、やはり予想通りというか、「アメリカがコロナ発生以前にまで元通りになるのは、早くても2021年末("...where we were prior to Covid, it's going to be well into 2021, maybe even towards the end of 2021")」。

ワクチン自体は2021年1月にはほぼ確実に完成する、と以前から発言してはいるが、じゃあ完成したワクチンをどうやって増やして、ディストリビュートするの?と考えると、一般の客がCVSやWalgreens(共に全州で運営している大型薬局)で$9程度を払って手軽にワクチン注射(flu shot)ができるようになるまでは、さらに数か月を要するのが、素人目にも、見えてくる。

映画館は2週間近く前から、かなり入館制限を設けた上で、およそ6か月ぶりに運営再開し始めたし、レストランも店内飲食(indoor dining)に関しては収容率25%(60人が上限なら、15人ぐらいまで)を条件に、カリフォルニアといった大きな州では、先週から通常営業を再開している。


(C) 2020 Swimming World

そうした、条件付きでのビジネス運営が、2021年の、最悪12月まで続く、というもの。

え、でもそれって、東京オリンピックも無理じゃん。

IOC(国際オリンピック委員会)が以前、2021年に開催できなければ、東京五輪自体をキャンセルする、と日本に対してプレッシャーをかけるような発言をしていたのを、The Guardianの記事で見かけたが、五輪開催に対する見通しはかなり暗い。


(C) 2020 The Indian Express

9月に入っても、明るい話はあまり、聞かれそうにない。

なにしろ先週は、アメリカ全土で異常気象が続いていた印象で、たとえ夏の一番暑い時期でも90F(=32℃)までそうは届かないウチの街も、90F越えが4日ほど続いた。

カリフォルニア州が今回、この異常気象で最も被害を受けたそうで、突発的な山火事と重なり、とりわけサンフランシスコを始めとするベイエリアは連日、オレンジに染まった空に覆いつくされたとのことだ。


(C) 2020 Curbed

CNNの記事で引用されている現地市民のインスタ投稿もかなりのインパクトだが、ロサンゼルス近郊もけっこう大変だったらしく、あのエリアに住む私の知人らも一斉に、SNSに現地写真を投稿してくれたので、これは確かに黙示録的情景(apocalyptic scenery)との表現を、ニュース・キャスターまで使いたがるのも理解できる。

空気も汚染されたとかで、迂闊に窓を開けたら煙の匂いが漂ってくる、外出ができない、おまけに気温も湿度も高いからエアコン一日中つけっぱなし、といった、西側に住む知人たちのメッセージを読むと、日常生活に支障きたしまくりの一週間だったんだな、と伝わってくる。

なんだか、普段あまりSNSを使わない知人までもが何枚も写真を撮って情報共有してくれる辺り、19年前のいまぐらい、911のときの事を、なんとなく思いだすわ。


(C) 2011 knkx

911の映像を見たことが無い、という人たちにはぜひ、Youtubeにそれらが、公式提供でアップロードされているので、見て、知ってほしい。



CBSの映像では、6分10秒の辺りで2機目がツインタワーに直撃し、司会者たちも「Oh my god...」と絶句している瞬間が、捉えられている。



一方、CNNは、2機目がツインタワーに突っ込んでいく瞬間を別の角度から捉えた映像をリピート再生し、視聴者に何が起こっているのかを正確に伝える姿勢に徹している。

それでも、飛行機が爆散する瞬間、普段は冷静な司会者たちが溜息を洩らしたり息を飲んだりするので、現場のリアルさが、後追いで見る人たちへも伝わるはずだ。



先月、「LA 92」を勧めた際に少しだけ触れた、National Geographicは、ツインタワー倒壊直後に逃げ惑うニューヨーク市民の映像をバッチリ捉えており、画質が荒くても、現場の地獄絵図は、これでもかとばかりに伝わってくる。

ほんの、たかだか19年前に、こんな恐ろしい出来事が起こっていたし、これから渡米し、将来的な移住を考えている皆さんには、911が何なのかを、きちんと把握してほしいと願う。

(Stephen)