(C) 2020 NJ.com

6月も明日で終わりだが、まあ大方の予想通り、6月23日以降、アメリカ全土で、1日のコロナ感染者数記録を(不名誉な意味で)絶賛更新中。Bad Job!

CDCのリアルタイム統計を見れば、一目瞭然だ。

そりゃそーでしょあんな、結果的には何の解決にもなってない派手な反対デモを続けたり、その状態で無理やり不必要なビジネスを開けたりしてたら、数字は一瞬で跳ね上がるわな。


(C) 2020 KSAT.com

人口の多い都市ほど無論、感染者数は大きい。

一方で、静かな街は、とことん平和。

ウチの市の保健局(Department of Public Health)のサイトを見たら、本日の時点で感染が確認された患者数は、たったの98。そのうち死者は、4名。

よって、中流階級の住む街(リモートで仕事が全部できて、外出の必要が無い職に就いているひとびと)にとっては、大都市の感染騒ぎなんて、対岸の火事。


(C) 2020 E!Online

しかしながら、感染者数増加に加えて、反対デモの影響によって、アパレル大手のカルヴァン・クライン(Calvin Klein)がトランスジェンダーの太った黒人女性を広告塔にしたり〔E!Online〕長寿風刺アニメ「シンプソンズ(The Simpsons)」が移民キャラの声に白人を起用しない声明を出したり〔CNN〕といった、そこまで規制に敏感にならなくてもいいんじゃ、と思いたくなる世間の過剰対応も、ここ数日でかなり耳にした。


(C) 2020 Insider

まあシンプソンズと言えば長年、「サンキューカマゲン」の一言で人気を博したインド人キャラ「アプー(Apu)」の声を演じたハンク・アザリア(Hank Azaria)が年明けに、あのキャラを自ら降板すると公に発していたが〔The Guardian〕、今回のデモ騒動の件が無くても、今のシンプソンズは台所事情が苦しいのかもしれない。

規制がエスカレートすると、今度は規制を規制しようとする、さらには規制の規制の規制を促すと言った、いったい最初は何を規制しようとしていたのかが分からなくなり、常識的判断力が鈍る。

コロナの影響がいろんな面へ飛び火している感が拭えないが、とにかく2020年を半分過ぎた現段階で分かっているのは、「知らない人からフィジカルな距離を置く」。


(C) 2020 NY Times

数日前に記者会見を行った、ロサンゼルス市内でも有数のウィルス研究家、バーバラ・フィレーロ(Barbara Ferrer)が「Avoid crowds. There should be no parties.」と発したように〔ABC7〕、そしてこのブログの過去3か月の記事でも6フィート(約2メートル)間隔を保つことがなぜ感染予防になるのかを書き残したが、結局は「知らない人間に迂闊に近づかない」ことが、一番の感染予防手段なのだ。

そういえば先週の木曜、およそ2か月ぶりに、ホワイトハウスのコロナ対策本部の記者会見があった〔CNN〕。トランプ欠席で。あのねえ。昨晩飲み過ぎて今朝の講義を代返でごまかす日本のダメ大学生じゃないんだから。

2か月ぶりなのに、特筆すべきことはあまり聞かれなかったが、私も尊敬するファウチ先生が、「ワクチンの完成はもう少し早まる」といったニュアンスのコメントを出していたので、ワクチン開発が順調だとの安心感を国民に与えよう、との雰囲気は感じられた。


(C) 2020 World Economic Forum

なおいま、あちこちの州で議題に挙がっているのは、「どうやって学校を開けるか」。

ニュージャージー州知事は、学校の再開に関して、「教師全員、マスク必着」「6フィート間隔で着席」「生徒が教室を出たら、すぐに除菌」など、かなり具体的なガイドラインを提示している〔ABC〕。


(C) 2020 Laredo Morning Times

そんなこんなで、マスクを被る行為が、このたった3か月強で一般化したのも、事実。

だがそれでも、「マスク着用が義務(NO MASK NO ENTRY)」を破って、揉め事を起こす、自分勝手で無教養な輩(私の経験だと、揉め事を起こす率は、白人が9割)が出るのも、事実。



実際、カリフォルニア州ノース・ハリウッドのトレーダー・ジョーズ(Trader Joe's。アメリカの中級家庭に大人気スーパー)で、「マスクをつけないからって何が悪いんだよバーカ!」と従業員や客に悪口を連発した白人馬鹿女が、見事にSNSを通じてネットに晒され〔CBS〕、当該の動画はたった2日間で再生数800万。

さらにこういう動画は、各種大手メディアにも拡散するので、「国民が知るべきニュース」に、悪い意味で格上げされる。

こういう形であれ、アメリカのメディアは統制が取れていると、つねづね思う。

「常識的かつ客観的に考えて」、公共の場で、他人に迷惑をかける自分勝手な連中は、きちんと粛清されるのがアメリカ社会だ。


(C) 2020 WECT.com

ウチの近所のスーパーだと未だ、そういった迷惑な奴らは見たことが無いし、入り口できちんと店員が、客がマスクを着用しているかどうかを監視しているぐらい。

むしろ店員が、マスクしていない客を怒鳴って入店拒否した光景を、4回ぐらい見た。


(C) 2020 Insider

引き続き7月も、独立記念日の大型休日が控えているので、大都市は騒がしい光景が続くだろうし、ニューヨークやロサンゼルスなどはその辺がけっこう隣り合わせの状況なので、現地で生活している知人たちの無事を祈りたい。

外出できないからこそ、自宅からでも英語を熱心に学ぶ生徒さんたちがHoshi World Inc.の英会話プログラムには顕著で、いまのところ半年以上続けている常連は、ほぼ全員一度、小論文特訓を受けてくれた。





ランダムで与えられるトピック(私は最近の流れに敏感なので、時事ネタが多め)に対し、制限時間内にワード形式で小論文を作成してもらって、トピックを投げた担当の先生に提出。

私はできるだけ、提出されてから数時間以内の返却を目指しているが、いざ添削に取り掛かると、30~40分はじっくりかける。

特に、どんな良い文章を書いてもレイアウトが壊滅的だと誰にも読まれないので、どうやって全体のレイアウト、それこそフォントのサイズやタイプ、改行タイミングやパラグラフ展開前のスペースといった、細かい部分も徹底指導する。



英文作成にまだ今の段階では、誰も慣れていないので、一度日本語で考えた文章を英語に変換している、ぎこちない英文がどうしてもできてしまう。

なので直しはつねに多く、「多分この生徒は、こういう表現をしたいのだろう」と読み取れた部分は、私からがんがん書き足す。

これは私が、英語だろうと日本語だろうと、文章を読むのも書くのも好きだから、「こんな面倒な作業」と思ったりせず、できるのだ。



ヨソじゃ絶対こんなの、やってくれない。だってネイティブは基本、怠け者だから。

私がこの、「英文作成が苦手だけれど、いずれどうしても必要になる」生徒さんたちを親身に指導する姿勢は、私が短大の頃に一般教科で「English 101」を履修したとき。

担当の先生は元新聞記者、それも大手、だったので、まあ、びっくりするぐらい、直しが細かいし、参考になる。

ESLを履修していた頃なんて、担当の先生たちは小論文の宿題の添削がおそろしく適当で、100点満点の点数だけつけて雑に返却してくる先生も目立った。


(C) 2019 aeon

その元新聞記者の先生に、なんでここまで、時給が同じなのにマメにできるの?と聞いたら、「俺は昔大手の新聞でバリバリ原稿を書いてた自負があるからな。結局、読むのも書くのも好きだし、添削も好きだ。だからきみたち生徒の文章を読むと、我慢できないんだ。」

すごい! これこそプロフェッショナルの鑑というか、実際私もその先生の指導の下、文章力が3か月(短大の授業はだいたい、1クラスにつき3か月)で大幅に伸びた。

だけでなく、その先生の姿勢は、今の自分の仕事に対する見方にも、かなり影響を与えてくれた。



拘束時間まで職場に居ればいいと思っているうちは、人間の能力はそこまで止まりというか、もらえる額も頭打ちだ、との考えが、特にフリーランスで色々なひとたちから仕事を請けているいまの自分には、身に染みる。



昔話を、ひとつ。

全従業員250人以下の小さな会社に勤めていた頃、私はその当時はいわゆる「電話番」、客からの質問を処理したり、上司のアポ予定を相手の会社と確認したりなど、要は拘束時間までデスクに座っていればいい、変化は無いがクリエイティビティも必要ない業務に従事していた。

当時のレートで時給10ドル(約1,000円)だったので(いまだったら$12~15はもらえる)、月給はジャスト$1,600(約16万円)、但し税金がおよそ2割ほど引かれるので、典型的な安月給。

ポリティカル・コレクトネス(公平性)を重視していた会社なので、私以外にもアジア系のスタッフは少なくなかった。白人スタッフと多人種とのバランスは、6:4ぐらいの印象。


(C) 2018 Insider

そんな会社にある日、インド系アメリカ人男性(アメリカで生まれているため。特に西海岸と東海岸に多い)が入社。

当初から謎めいている雰囲気で、電話応対をするわけでもなく、デスクに座ったままでずっと社内のパソコンをいじっている。


(C) 2018 PRO STAFF

ただこの男、会社の重要な会議にはつねに、部長や、会社のオーナーとも同席し、会議室のガラス越しから見ても、器用に何かをプレゼンしている。

気付くと、会社のオペレーション・マニュアルなどが随分と変更、しかも明らかに、効率良くなっていた。

個々のスタッフが使用するウィンドウズも、7にアップグレードされていた。



なんでもこの男、社内の仕組みや、対象となる顧客を徹底的に分析検証し、改善案をバンバン出していたのだ。

会社の売り上げも25%アップしたと部長たちがスタッフに通知していたし、さらに「いる意味が分からないスタッフ」を解雇し、社内のシェイプアップまで図る始末。

実際その男は話がとても巧く、私も何度か話す機会があったが、引き出しが多く、面白い。


(C) toggle plan

半年も経たずに彼はオペレーション・マネージャー・クラス(この辺になると月収$6,000とかの世界になる)に昇進し、3~4年も勤務しているスタッフを、アゴで使うようになる。

トドメは、事務所の移転。それまでは15階建てのビルの4、7、10階だったが、50階建てのビルの25階フロア全体へアップグレード。

この辺が本当にアメリカ人経営の会社らしいというか、使えると思ったアイデアはどんどん登用し、いざ結果が出れば貢献した相手には、どんどん報酬を与える。


(C) Kansas State University

聞いた話だと、そのインド系アメリカン、集中するときは40時間、寝ないで仕事をしたりと、エンジンがかかると凄まじい集中力と瞬発力を発揮するとか。

出社時間もバラバラで、昼の3時に来たかと思えば、遅番のスタッフが帰宅する夜10時に急に現れて、徹夜で事務所に残って仕事をしていたとも聞くし、拘束時間=もらえる金額、という考えを常識としていないのだ。

いわゆる9時5時や2時10時でクロック・イン、クロック・アウトする、というコンセプトを覆しているし、別の上司から「あいつは本当の仕事バカだぞ、なんでって、私に夜中の3時に電話をしてきてあれこれ案を出してくるような奴だからな。しかもその案にムダが無いから、夜中の3時でもつい聞いてしまうんだ」と聞かされた時は、こりゃ適わん、と当時は思ったものだ。


(C) 2014 Quality in Mind

会社そのものを変えようとの野心と、それに対する情熱が違うし、言い訳をせず、結果をどんどん出していく。

私は結局その仕事を、その彼がマネージャーになってから半年で辞める、というか辞めさせられたわけだが、ずっと電話番から上へ行けなかったし、たぶんその彼に「処分対象のひとつ」と見なされたのだろう。


(C) Insperity

あの頃は、こんな人間がいるからアメリカは懐が深い、と痛感したものだが、いざ会社組織を離れて個人で仕事をするようになると、その彼のような姿勢じゃないと、とても務まらない。

何しろ誰も、私の背景や、これまで成し遂げてきたことを、気にしないから。

要は、「その場でどれだけ、実力を見せつけられるか」。


(C) University of Mary Washington

クライアントに合わせての、書類作成や、企画の提案・提出といった業務を、少なくとも85点以上のデキにまで持って行かないとならない。

上司や部下がいないので、すべてこれまでの経験を基に、自分で判断するのが必須。

で、このHoshi World Inc.英会話プログラムに関して述べると、発案からシステムに至る全てを1から作り上げたが、別にそこで何時間かけたか、なんて計算をしたことは一度もない。

プログラムを受ける生徒がどれだけ有難がるか、リアルな意味で英語力が伸びるか、いかに実践的か、に焦点を絞っているし、加えて「マニュアルは特にないから、先生たちで自由に教え方をアレンジしていい」を教える側のコンセプトにしているので、私だけでなく他の先生方も「時給で考えない、クオリティで勝負する」姿勢を保ってくれている。


(C) Lifehack

実際、ウチで提供する教科書は、教える人間に創造力が無いとタダのガラクタなので、ヨソに持っていかれても、何のダメージもない。

唯一、英語面接に関する教科書を作った際、「誰が教えても一定のクオリティになる」仕上がりになってしまったのと、それがヨソにパクられたとNoriko-sanから聞かされたので、マニュアル的な内容は今後一切、作らない


(C) My Anxious World

でも、渡米に向けて日本で勉強している生徒さんたちには、事前に知っておいてほしいことが山ほどあるし、つい最近、アメリカの看護師が一般的に使うフレーズや技術に対して興味を持って調べていたら、これがけっこう膨大な情報量になってしまった。

それこそ10レッスンぐらい使わないとカバーできないが、たぶんこれに関する教科書(早ければ7月の終わりには完成すると思う)は、パクリ防止のため配布はせず、レッスン時に画面共有だけで行い、あとは生徒さんたちにテキストファイルなどを使ってノートを取ってもらうやり方にするだろう。

数か月以上続けている現行の生徒さんたちにはこれからも、通常のレッスン以外で興味を惹く題材を扱った授業を展開していきたいし、英語力を一層伸ばすべく「面白く、それでいて有意義に」学んでもらえれば、これほど嬉しいことはない。

(Stephen)