桃太郎のお供と言えば、「イヌ」「サル」「キジ」
今回の疑問は「なぜ、イヌとサルとキジなのか」
結論から言うと、どれも想像の域を超えない説明ばかり。
創作された当時の価値観、情勢があってのことで、今となっては闇の中。
というわけで、いろんな方向からの編み出された正解の可能性を楽しんでいただければ、より「桃太郎」が面白くなる。
今回は4方向から解説してみたい。
まずは一つ目
陰陽五行説
これはまず、動画を観てもらっちゃおう。
プレゼン「陰陽道からイヌサルキジ」という演目。
さて、ここからもうひとツッコミした説明ができる。
ちょっと難しいけど、「五行相剋」
そもそも五行とは「世の中の全ての事象は木・火・土・金・水(もく・か・ど・ごん・すい)という5つの要素で説明できる」という考え方。
例えば、果実、方角、五穀だと
木 → 李(すもも)、東、麦
火 → 杏(あんず)、南、黍
土 → 棗(なつめ)、中央、粟(稗)
金 → 桃(もも)、西、稲
水 → 栗(くり)、北、豆
という具合。
十二支を当てはめると、西、つまり、申・酉・戌が金。
桃も金。
だから金に分類される、桃太郎とイヌとサルとキジ。
そして、「五行相剋」
木剋土(もっこくど)、土剋水(どこくすい)というように、それぞれに勝ち負けがある。
こんな感じ。
鬼門が東とすると、木。
金は木に剋つ。
だから鬼に剋つ「桃・イヌ・サル・キジ」となったという説。
だけど、ここにはちょっと問題があって、
・黍が金に分類されていないということ
※現代五穀では金に分類されるものもある
※黍は火なので、金に剋つ。きびだんごでイヌとサルとキジを従わせるという意味で火という説もあるが、そうすると桃にも剋つという問題も生じる
・鬼門が北東なので、果たして東と言えるのかということ
こんなこともひっくるめて、「陰陽五行説」からの可能性。
二つ目
仁・智・勇
これはお供になった動物が備え持っている特徴から考えられたもの。
イヌは三日飼われるとその恩を忘れないという・仁義を持っている
サルは猿知恵というように・智恵を持っている
キジは山火事の時、卵を守るために巣の上で焼け死ぬと言われるほどの・勇気を持っている
桃太郎が、仁義・智恵・勇気を持つために、イヌとサルとキジがお供した、という可能性。
三つ目
温羅伝説
これは古事記、日本書紀に登場する吉備津彦命の物語が由来。
温羅伝説では、この吉備津彦命が犬飼健(いぬかいたける)、留玉臣(とよたまおみ)、楽楽森彦(ささもりひこ)の三人のお供を連れていた。
難しいことは置いておいて、ザックリ言うと、
犬飼部の犬飼健(犬使い)
鳥飼部の留玉臣(弓矢部隊)
猿飼部の楽楽森彦(諜報部隊や山部と言われている)
このお供たちが、イヌとサルとキジになったのではないか、という可能性。
四つ目
居ぬ・去る・来じ
これは悪霊、病気、災厄を寄せ付けないために考えられたもの。
悪は去る(サル)
病は居ぬ(イヌ)
災は来じ(キジ)
犬山の桃太郎神社の鳥居にも書いてあって、
ただ、これもちょっと問題があって、
助詞の「じ」は未然形にひっつく
そして、「来」の未然形は「こ」と読むので、
「来じ」は「こじ」と読むわけで。
まぁ、そういう細かいところは置いておいて、
言葉の響きから、イヌ、サル、キジというお供が決まったという可能性。
いろんな可能性を考えてきたが、こういう可能性を考えること自体が面白い
以上、なぜ桃太郎のお供がイヌとサルとキジだったのか、でした。