自分の家に生まれる子 | 遊芸人の活動日誌

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湘南に住む陶芸、絵画、おじさんバンドを趣味とする遊芸人のブログです 。

私にとって自分の使う釉薬がどんな原料が使われているのか、また、分析値はどんななのかわからないということは耐えられないこと。私はそれを「自分の家に生まれた子が誰れの子かわからないなんてことがあるものか」と例えている。で、釉薬はすべて自分で調整している。

釉薬はガラス質の素シリカ(珪酸)と融かす役割のアルカリと、土とガラスの間を繋ぐアルミナとからなっている。簡単に言えば長石と灰もしくは石灰、そして硅石類で調合する。これを自分の好みの趣、溶融度合いにするのは楽しいものだ。

市販釉薬の見本に面白いものがあるとそれを窯業試験場に分析依頼している。その分析値を見れば経験でおおよそ何が使われているかがわかるのだが、分析値で想定される原料をゼーゲル式なる計算式により原料の種類と量、化学原料と溶融温度を調整しながら決めるのだ。そしてテストを繰り返してゆくと同じような釉に辿り着く。これが何とも言えない醍醐味だ。

時には、焼き物の写真を見て「これを作ってやろう」と思うのだが、これには全く何のデータもナシだから大変だ。しかし、これがまた経験則でおおよそ予想がつくのだ。

これだからやめられない。

月白釉のテスト。藁灰かリン酸カルシウムか、錫か、チタンか‥‥。

 

茶蕎麦釉の金結晶。炭酸Mgがポイント。

 

緑泥石という含鉄土石による油滴天目テスト。徐冷がポイント。

 

テスト窯