🧵この記事はきっかけ(1)からの連続シリーズです

 

 

 

サイに見送られてタクシーに乗り込むと、タイミング悪くサイがいつも車で聴いていたFM91.7の台呼(ラジオのテーマソング)が流れてきました。

 

 

 

もう。。。うそやん。。。

 

信じられん。。。

 

こんな時にやめてよ。。。

 

 

 

FM91.7の台呼が流れ出したとたん、一気に大号泣してしまいました。私はもう10年以上日台間を頻繁に行き来して、しょっちゅう友達の車やタクシーに乗ってきたにもかかわらず、FM91.7のラジオをサイの車以外で聞いたのは、この10年間でこの時だけです。もう、タイミングの悪さといったらないと心底思いました。今振り返ってもそう思います。コントくらい華麗に仕組まれたタイミングの悪さです。

 

 

 

晴天雨天每天都想你

(晴れの日も雨の日も毎日あなたを想っている)

 

白天黑夜都要在一起

(昼も夜も一緒にいたい)

 

生活有你從此變得精彩有趣

(あなたがいてくれるようになってから、人生が彩り豊かでおもしろくなったの)

 

我要大聲的說我愛你

(あなたを愛してるって大声で言いたい)

 

POP Radio是我氧氣

(POP Radioは空気と同じ)

 

917在一起

(917はいつも一緒)

 

 

 

私はタクシーの運転手さんに、ラジオを切るか、局を変えてくれと言おうかと思いましたが、泣きすぎてまともに話すことができませんでした。

 

 

 

運転手さんは、車のルームミラーで、私を穴があくほどジロジロと見ています。危ないから前見て運転してよと言いたくなるほど、ルームミラーで私をガン見していました。そして鏡越しに私を見ながら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男女間のもつれだよな?

なぁ、そうだろ?

 

 

と聞いてきました(笑)

 

 

 

この遠慮という言葉を一切知らないどストレートな質問と、「なぁ、そうだろ?」の決めつけ@合ってるけど!に、逆に清々しさすら覚えてしまい、ちょっと笑ってしまいました。

 

 

 

私が返事をせずにいると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手はさっきの男だろ?

違うか?

 

 

と、出してもいないクイズに全問正解してきました。

 

 

 

フリースタイルを極めた運転手さんに笑ってしまい、おかげで(?)ひっくひっくと泣きながらも会話はできるくらいにまで落ち着いてきました。

 

 

 

「うん、全部あたり。別れ話しに来たはずなのに、結局何もまともに話せなかった。明日日本に帰らないといけないから、今日がちゃんと話せる最後のチャンスだったのに。ほんと、大事なことは何一つまともに話せなかった」

 

「なんだ、アンタは日本人なのか?それとも日本に住んでる台湾人か?」

 

「日本人」

 

「ほう、国語(北京語)が上手いな。どこで国語を覚えたんだ?」

 

「昔3年くらい台北に住んでたことがあったの。その時に知り合った人だったんだけど。もう5年前の話。住んでたのは7, 8年前かな」

 

 

 

これまでのことを泣きながらかいつまんでつらつら話すと、運転手さんはルームミラーでちらちら私を見ながら適当に相槌を打っていました。そして泊まっていたホテルの前に車を停めると、「ほらよ」と言って、ガッサガサのゴッワゴワになった黄ばんだキッチンペーパーのロールを私に投げてきました。

 

「すまねぇけど、ティッシュは持ち合わせてなくてな、今それしかねぇのよ。あと、泣いてるとこ悪いんだけど、メーターの金額プラス深夜の割増料金も払ってくれよな」

 

このキッチンペーパーで目拭いたら確実に目にばい菌入るやろ!と思い、うわべだけキッチンペーパーを一枚切り取って、お金を払って、お礼を言ってタクシーを降りました。

 

 

 

TちゃんとKくんは私の泣き腫らした目を見て一瞬で何があったのかを悟り、その日の晩は私をそっとしておいてくれました。

 

 

 

つづく

 

※タイミング的に絶対今じゃないやろって時に限って、10年に一度のタイミングが訪れるミラクル(笑) しかしこの空気読めない空気読まない、台湾のタクシー運転手さんにありがちな、自由に自由を極めたフリースタイル、嫌いじゃない。車にティッシュ置いてないのに、キッチンペーパーはロールで置いてるとこも含め(笑)