虹彩の副交感神経 | きくな湯田眼科-院長のブログ

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横浜市港北区菊名にある『きくな湯田眼科』


瞳孔括約筋は輪状筋で、収縮すると瞳孔径を小さくするように働き、副交感神経支配です。


図は虹彩の神経をみたものです。括約筋に多く分布しているのが副交感神経枝です。


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この副交感神経は動眼神経に含まれ、動眼神経核上のエディンガーウェストファル核(EW核)に一次ニューロンの細胞体があります。その走行は図で見られる様に、脳幹を出た直後は動眼神経の最も上部にありますが、徐々に内下方に移行し、眼窩内では動眼神経下枝に入り、毛様神経節に至ります。


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このような走行様式から、脳ヘルニアや動脈瘤などで、動眼神経が上方より圧迫されると最も先に麻痺を起こし、散瞳が見られ、診断に有用です。一方で表面に位置していることから血流障害には強く、糖尿病性動眼神経麻痺では散瞳が見られない特徴があります。


一般的に圧迫病変は散瞳を伴い、虚血性病変では散瞳を伴わないと覚えておけば良いでしょう。


交感神経、副交感神経の神経伝達物質は、神経節では両者ともアセチルコリン(Ach)でニコチン様受容体がその受容体となっていますが、効果器官では交感神経はノルアドレナリン(NA)、副交感神経ではアセチルコリンでムスカリン受容体がその受容体となっています。


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アセチルコリンによる神経伝達は、ニコチン様作用とムスカリン様作用に分けることができます。ニコチン様作用はクラーレが抑制し、ムスカリン様作用はアトロピンが抑制します。



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ニコチン様作用は大量のニコチンにより作用が阻害されることから名付けられ、ムスカリン様作用はベニテングタケという毒キノコに含まれるムスカリンの作用と類似していることから名付けられました。


ニコチン様作用は神経節と神経筋接合部で見られ、その受容体はNaイオンチャンネルとなっており、Achが受容体に着くとチャンネルが開き、Naイオンが細胞内に流入し、脱分極を起こし、活動電位を生ずることになります。


図は細胞膜を4回貫通するニコチン受容体の模式図とその作用を表したものです。



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ムスカリン様作用は副交感神経支配器官で見られ、心筋抑制、内臓平滑筋収縮、外分泌腺刺激などの作用を示します。ムスカリン受容体はGタンパク(GTP結合タンパク)を介する伝達様式を取ります。


Gタンパク共役型受容体は細胞膜を7回貫通し、細胞外のN末端に糖が結合した糖タンパクで、細胞内で三量体Gタンパクが付着しています。非活性の状態では三量体GタンパクのαサブユニットにGDPが結合していますが、受容体に神経伝達物質が付着するとGDPが離れ、代わりに細胞内に濃度の高いGTPがαサブユニットに結合し活性型となります。


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Gタンパクを介した反応様式は主に3種類あります。


①一つは三量体のうちαと離れたβ・γサブユニットが膜チャンネルに付着し、このチャンネルを開き作用を表すもの。


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②二つ目はGTPと結合した活性αサブユニットが、アデニル酸シクラーゼに作用し活性化し、これによりATPからサイクリックAMP(cAMP)が産生され、cAMPが細胞内セカンドメッセンジャーとしていろいろな作用を表すもの。



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サイクリックAMPの化学式。5炭糖の3’と5’のCにリン酸が付き環状になっています。シクラーゼは一般的に環状構造をもつ物質の合成に働く酵素を意味しています。


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cAMPがセカンドメッセンジャーとして働いている解説図。
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③そしてもう一つが活性αサブユニットが酵素ホスホリパーゼCを活性化し、細胞膜脂質のホスファチジルイノシトール4,5二リン酸を分解し、イノシトール三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)を産生、IP3は細胞内セカンドメッセンジャーとして作用し、小胞体からCaイオンを放出させ作用を示すもの。



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ムスカリン様作用での心筋抑制は①の反応により、膜カリウムチャンネルを開き、過分極を起こすことにより心筋活動を弱めます。


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内臓平滑筋や分泌腺に対しては③の作用により、細胞内Caイオン濃度を上げることにより作用を発現します。


瞳孔括約筋も内臓平滑筋と同様③の機序で筋収縮が起こります。骨格筋や眼球を動かす外眼筋ではニコチン様作用(直接イオンチャンネルに働く作用)での筋収縮ですから、Gプロテインを介する間接的な筋収縮による瞳孔の動きは外眼筋の動きより遅くなります。ムスカリン抑制剤のアトロピンで瞳孔の縮瞳は見られなくなりますが、ニコチン様作用阻害剤のクラーレでは瞳孔の動き自体には変化が見られません。


またこれに関して、神経筋接合部でのAchレセプター障害が原因となって発症する重症筋無力症では瞳孔収縮に異常が見られないことも重要なサインとなります。


神経終末のシナプス小胞に蓄えられたAchは神経刺激により小胞より放出されますが、



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放出されたAchはアセチルコリンエステラーゼ(AchE)と言う酵素により速やかに分解され、酢酸とコリンになります。この反応は極めて速いスピードで起こり、Achによる情報伝達はデジタル的に働くことになります。(次に記載しますが、これがNAによる伝達と大きな違いになります。)