『源氏物語』第百三十一話 ~絵合(5) | YUKARI /紫がたりのブログ

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紫がたりのブログ-絵合5



弥生月の中頃、御前にて絵合わせが行われました。


あくまで絵が主役であるのでそれほど仰々しくはなく、という趣向のもとに女房達の局が集まる場所でそれは開かれました。


西向きに玉座をしつらえたので、梅壺方は主上の南側(左方)、弘徽殿方は北側(右方)へと分かれました。





左右にはそれぞれ六人の女童が控えております。


梅壺方は赤い上衣に桜襲(さくらがさね=表は白で裏が紅花)と藤襲(ふじがさね=表は薄紫で裏が萌黄)の三人を揃えて、紫と赤を基調としたもの。


弘徽殿方は青い上衣に山吹襲(やまぶきがさね=表は緑で裏が黄色)としたもので、青と緑を基調とした装束で揃えていました。





また絵を納める箱にもそれぞれ趣向を凝らし、梅壺方は紫檀の箱を蘇芳の花足(けそく)に乗せて紫の唐の錦で飾り、弘徽殿方は沈香の箱を浅香の下机に乗せて青丹(緑青色)の高麗の錦で飾りました。


梅壺方は正統派の王朝の雅を感じさせる風合い、弘徽殿方は鮮やかな組み紐などをあしらって当世風の華やかさを演出しています。





帝の後ろに控える女房たちも各々応援する側の装束を着てかしこまり、上達部も一堂に顔を揃えました。


いよいよ絵合わせ開始の頃に源氏の異母弟・帥の宮が判者として座につきました。


この親王は芸術面で特に秀でた才能をお持ちなので、今日の催しの要となるべく選出されたのです。





「それではこれより絵合わせを開始する。左方、右方まずは第一巻を前へ」





一巻目の主題は物語絵でした。


左方は『伊勢物語』を描いたもの、右方は『竹取物語』を描いたものを御前に広げました。


両者とも溜息が場に漏れるほどの素晴らしい逸品です。





左方の選者は『伊勢物語』において在原業平の秀逸な和歌の世界を見事に表した部分を強調し、右方の選者は『竹取物語』のかぐや姫昇天の場面のこの世のものとは思われぬ様を優れていると述べました。


有識者たちによる意見、絵の観点から優れたところ等々が論じられ、最初の勝ちは左方と決まりました。





まずは一勝、と源氏が安堵したのも束の間、次の主題では弘徽殿方から素晴らしい一巻が披露されました。


このように次々に名品が飛び出してくるもので、論じることも尽きず、どちらも互角に勝ちを重ねていきます。





絵の判定とは確かに難しいもので、名画といわれ宮家に伝わってきたものは文句なく素晴らしいのですが、今生の名人といわれる絵師によるものなどは目新しい構図に独自の技巧などが施され、これまた見事なものなのです。


さすがの帥の宮も判定に困り、「ううむ」と唸る場面が何度も見られました。


そんな時には絵画に造詣の深い藤壺の女院が口添えをされましたが、左右どちらも譲らず拮抗しているのです。





勝負が決まらぬまま、春の長い陽もあっというまに暮れてゆくのでした。







この『源氏物語』は私がアレンジして書いているもので、人物描写なども私の想像などが重きを占めています。


また失われた巻についても想像で描いているので、オリジナルのものとは違います。


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