『落窪物語(4)』 | YUKARI /紫がたりのブログ

YUKARI /紫がたりのブログ

ブランドジュエリーを扱っております。
『Hulchi Belluni(フルーチ・ベルーニ)』ショップインショップ
大阪:あべのハルカス近鉄本店 11F宝石サロン
東京:東急吉祥寺店 8F宝石サロン
『龍ノ鱗』
大阪:あべのハルカス近鉄本店 11F宝石サロン


紫がたりのブログ-おちくぼ4

ある時、惟成(これなり)は母が仕えている左大将(さだいしょう)の邸を訪れました。


母はこの邸の子息、右近の少将・藤原道頼(うこんのしょうしょう・ふじわらのみちより)の乳母を務めていたので、右近の少将と惟成は乳兄弟ということになります。

おちくぼ姫と阿漕(あこぎ)同様にこの右近の少将と惟成も深い絆で結ばれているのでした。


最近結婚したばかりの惟成に少将は結婚生活はどうかと尋ねます。

尋ねるまでもなく幸せそうな様子の惟成を少将はうらやましく思います。


貴族同士の結婚というものは、家柄が釣り合うかどうかが重要で、肝心の相手に会えるときは結婚式の夜ということが当たり前だったので、自分で見初めた相手を妻にした惟成がうらやましかったのです。


右近の少将といえば家柄もよく、三の君の婿である蔵人の少将と争うほどの人気のある公達です。

あちこちから縁談の話が舞い込んでいましたが、当の少将はどんな相手かもわからない縁談にまったく乗り気ではありませんでした。


「ところで中納言のお邸には未婚の四の君がいるが、美人かい?」


少将は何気なく帯刀に聞いてみましたが、


「私のようなものが姫君のお顔を見られるわけがないじゃありませんか。しかし妻の阿漕が申すには、いま一人のお姫様がたいそう美しいらしいですよ」

とおちくぼ姫の話を持ち出しました。


乳母はそんな頼りの無い姫はどうでもよろしいと息子を叱りましたが、右近の少将は興味を持った様子。


後で人気のないところで惟成に詳しく話を聞きました。


皇族の血を引く美しい姫が継母に虐げられている、そのような境遇ならば慎ましやかな心の清い人に違いない、と少将はおちくぼ姫に関心を抱いたのです。



ペタしてね