2011-09-29 20:33:23

秋の一冊(?)

テーマ:本 livre
お勧めしませんが。

Yve Paccalet というエコロジストの、DEUX MAMELLES DU BONHEUR conte cruel を読んでいます。
タイトルを直訳すると、『幸福のふたつの乳房  残酷な物語』です。
ヴォルテール ( wikipedia) の Candide ou l'opetimism  『カンディード(純真な人)あるいは楽天主義者』の現代版。

『カンディード』は、ライプニッツが主張した、「最善説」(この世界は可能世界のうちで最善である)や、
「充足理由律」(すべての事実にはそれを成立させるに足る理由がある)、「予定調和説」などを皮肉る物語です。

主人公カンディードが、「この世界は可能世界のうちで最善だ」という原理(楽観主義とも言われる)
を家庭教師から学び、「最善世界なのに」と嘆きながら、困難な目にばかり遇って旅をした後、
「労働をしよう、畑を耕そう」という結論に至る物語です。バーンスタインの音楽によるオペレッタも楽しくて大好きです。
わたしは、ライプニッツもヴォルテールもどちらも好きです。この世界は、可能世界のうちでもっともたくさんある状態
(もっとも確率が高い)のひとつだと思っていますが、実際にどうなのかは知りません。

で、本題。『幸福の乳房』は、これまた無垢な主人公、ブノワ (ユダヤ人とアラブ人の卵子と精子から、
ジャン=ジャック・ルソーと李白(!)の遺伝子を加えられて、実験室で生まれた)が、哲学者の説く、幸福の二つの乳房、
すなわち「自由」と「進歩」から、たらふく飲んで育ち、「おじさん(哲学者)の言う通りだ。」と言いながら、
そんな世界で多くの「残酷さ」を目撃するという話。

「充足理由律」の代わりに、すべてには「経済的な」理由がある、になっていたり、
「なん人も「市場の」法則を知らないことは許されない。」(法律は不知を許さず)等のにやりとする皮肉が続きます。
浅はかなエコロジストに対する批判もありますし、ホモ・サピエンスに対する失望を強く感じます。
読んでいる間はだいぶ性格がひねくれます。わたしは影響を受けやすいので、皮肉が得意ではありません。

わたしは著者に共感しているわけではないし、実は最後二章を残しているのでまだ結論を知らないのですが、
読みはじめてよかったなと思います。最後が楽しみです。『キャンディード』みたいに舞台になるのかな?
(ハリウッドの人たちに訴えられるか・・・)

柚 葉
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
同じテーマ 「本 livre」 の記事
2011-08-19 19:23:18

夏の一冊

テーマ:本 livre
と、言いつつほんの一部しか読んでいないのですが、その一部が面白いので紹介いたします。

ウィトゲンシュタイン (KAWADE道の手帖)/著者不明

¥1,680
Amazon.co.jp

ウィトゲンシュタイン(1889-1951)という論理学者・哲学者がいます。
言語哲学、数学の基礎論における、とっても特別な人です。

ただわたしに対しては、二人きりでは(つまり、著書を読んでいるだけでは)、何時間も無言です。
昔から、自力ではぜんぜん理解できません。

けれども、彼が話しかける研究者もおり、そんな人といっしょに読むと大変に愉快な世界が広がります。
興味がありましたら怖がらずにどうぞ。

柚 葉
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2010-05-03 09:23:00

春の二冊 Deux livres que j'aime bien

テーマ:本 livre
Ce qui est perdu/Vincent Delecroix

¥1,008
Amazon.co.jp

La chaussure sur le toit/Vincent Delecroix

¥1,096
Amazon.co.jp

リヨンで時間をもてあまし、読みはじめたらはまってしまった小説を二冊。どちらも軽くてコミカルです。
一冊目は、恋人に去られてうだうだしている男が、キルケゴールの伝記を書いているという話(&その他)。
二冊目は、それぞれいろいろあって、靴の片方を屋根の上に投げました、という話(ということにしておこう)、です。
(表紙をよく見ると、屋根に靴が乗っています。)
一冊目に出てくるうだうだ男(パリジャン)の、大学院をやめた理由に深く共感しました。

Ciao,
yuba
AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2010-02-10 18:13:25

赤い悪魔 Le diable rouge

テーマ:本 livre
なんだか単調になってきましたので、一休みしましょう。
ベルトランの『夜のガスパール』を読んでいると、悪魔ってなんだろう?と思いますね。

そこで、G.ネルヴァルの「赤い悪魔 Le diable rouge 」というタイトルがついた短い記述から、
覚え書き程度にすこしだけ訳出しておきます。(まとまってません、ごめんなさいね。)


赤い悪魔

「闇というよりむしろ赤い、この悪魔におびえないでください。すべての悪魔が黒いわけではありません。
赤い悪魔は本来、地獄というより、地上的なものです。」

「古代の人々は、悪魔をDémonとしか呼びませんでした。… もともとは不幸な人、反乱を起こす人、
しかし根底にはよい性質を持った人を意味しており、悪意のある、有害な、という意味を持っていませんでした。」

「読者に明らかにしておきたいのは、ルシフェル、赤い悪魔は、古代の人々が démogorgon (démonを含む言葉)と
呼んだものと、同一だということです。」

「この記述の冒頭で描いた悪魔のイメージは、むしろ牧神パン、(現代の)汎神論が崇拝と称賛をかたむける、
地の精霊のものです。」

ベルトランの夜も、光に対立する闇とは、まったく異なるものです。
まとまりがなさすぎますが、今日はここまで。あ、雪が降ってます。きれいです。

(来週はウィーンにいます。)

bisous,
yuba

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村
いいね!した人  |  リブログ(0)
2010-01-08 09:43:56

冬の一冊 Un livre de cet hiver

テーマ:本 livre
なかなか読み進めなくて、書こうと思いつつ書けなかった、この冬の一冊は、
Je lis cet hiver la traduction de Michel Foucault, RAYMOND ROUSSEL.

ミシェル・フーコー『レーモン・ルーセル』 豊崎光一訳 (法政大学出版局 1975) です。

『ロクス・ソルス』をいつかフランス語で読んでみたいなぁなどと、自分の語学力、知識、理解力に
釣り合わないことを夢想していたのですが、ますますルーセルのことを知りたくなってしまいました。
こんなときはほんとうに困ってしまいますね。恋ならあきらめるのですが・・・。

Je veux vraiment lire Raymond Roussel en français.
Mais je n'ai pas assez de capacité pour le comprendre. C'est très triste.

bisous,
yuba

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村
いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-12-08 08:41:11

みずうみの薔薇 nymphéa

テーマ:本 livre
たまたま読んでいた本に「俳句を思わせる」という言葉が出てきたので、覚え書きとして書いておきたいと思います。
本を明らかにすべきかと思いますが、あまり楽しい本ではないのです。(気になる方がいれば書きます。)
もともとの詩を見つけられなかったので、その本にある日本語訳をお借りします。

(81) 睡蓮(seerose)

睡蓮は湖で花開く。
雪のように白い。
薔薇(Rose)は水(Wasser)との戯れ。
                   Alexanders Poetiche Texte. Herausgegeben von Navratil. Munchen 1977

ドイツ語では「湖の薔薇」なんですね。on appelle le nymphéa "seerose" en allemand.

Seerose
Jeux d'eau et de rose

Ciao,
yuba---*

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村
いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-09-25 13:23:54

『住まうこととさすらうこと』続 Wohnen und Wandern

テーマ:本 livre
哲学の部分はあっさり切り捨てて、私にとって今必要なことだけ書きとめておきます。前の記事は、こちら。
(哲学は、今の私のテーマではないのです。あしからず。)

J'ecris encore d'un livre de Ute Guzzoni, Wohnen und Wandern.
Je veux vraiment en parler en francais mais c'est trop difficile.

これまで考えられてきた、さすらいのイメージはどれも、ある前提に基づくと言われます。
それは、どこかに定住すべき場所(彼岸、此岸問わず)があること。
「途上にあることとわが家にあることは、互いに根本的に対置されている。」

「この世界という砂漠を通っていく地上の旅を、英雄的にであれ忍耐強くであれ引き受けることも、
遍歴を危険な旅としてただ低く評価することも、両者はともに、地の上・天の下でのさすらいを人間の根本的な
可能性とみなしていない点で、共通である。ヒュペーリオンは遠きギリシャへの遍歴に赴く。彼を駆り立てている
焦燥もまた、最終的には落ち着き、故郷に達することを目指している。
「わが心は、汝のうちに安らうまで、落ち着くことがない」とアウグスティヌスは神に祈る。」

このような考えに対して、著者は次の二点を指摘します。

一つ目は、住まいながらさすらうことができるということ。
二つ目は、さすらいという仕方で住まうことができるということ。

二つ目の方は、著者が引いているロルカの言葉がわかりやすいと思います。(ジプシー歌集、好き。)
「「私たちは行くために行く、私たちは到着するために行くのではない、私たちは行くために行く」
途上にあることは、一方ではわが家にいることに、概念的にも事実的にも対置されるが、他方では、
世界のうちでわが家にいる仕方としても理解される。」世界に住む、世界にいるということを考えるということです。

一つ目について以下に書きますが、著者の考えとかけ離れてしまいました。(文句があれば喜んでお聞きします。)
拙い文章がどうかお目障りでありませんように。

住まうということは、基本的には、土地や人々と関係を結び、それらの変化と大きすぎる支障をきたさずに、
自らも変化していくことだと思います。逆もしかりです。

旅をすることは、土地と、そこに住む人々と、あるいはそこにある動植物と、そして社会や文化と、
すくなくともかかわっているはずです。何にも感じずに通りすぎたり、何にも与えずに通りすぎる旅人はいません。
そんな中には、あらゆる土地において、長くそこに住んでいるように関係を結べる人がいます。
芭蕉さんの旅は、行く先々でたくさんの人に囲まれていたなと思いました。
さらに荒野でさえ、普通の意味とは違うかも知れませんが、「心地よく」いられたのだと思います。
住まいながらさすらうことができることを、私はそんな風に考えてみました。

著者の博識で深い洞察にあふれる本なのに、「旅のすすめ」みたいな文章になってしまいましたが、
彼女(著者はドイツの女性哲学者です。)の考えかたは、もっと面白いです。きっと会いたくなります。

日本語訳があわてているような感じですが、日本語で読めたことに感謝しています。 柚葉

Bonne journée !
yuba---*

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村
いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-09-21 12:52:38

『住まうこととさすらうこと』 Wohnen und Wandern

テーマ:本 livre
「愛しながら他者のうちに住居をもつということは、さすらいへのある種の近さを示している。
他者の肉体的空間を訪れるということは、何かさまようような感じがある。」
             ウーテ・グッツォーニ 米田美智子訳 『住まうこととさすらうこと』 晃洋書房 2002

まだ読んでいる途中なのですが、最近考えていたことにぴったりだったので。

Avoir l'habitation dans l'autrui qu'on aime, ce montre une sorte de approche de vagabandage,
Visiter l'espace corporelle d'autrui, ça donne une impression de vagabandage.

                                   Ute Guzzoni, Wohnen und Wandern 1999

Je suis encore en train de lire ce livre, mais je pensais récement comme ça.
Je l'ai traduit de la traduction japanaise, je ne sais les pharases originelles en allemend.

Ciao,
yuba---*

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村
いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-09-09 20:52:16

『スリー・パインズ村の不思議な事件』 Still Life

テーマ:本 livre
ルイーズ・ペニーさんの『スリー・パインズ村の不思議な事件』(長野きよみさん訳)をたまたま読みました。
ある村で事件が起き、刑事が来て、解決するというお話です。

その事件や解決よりも、
村に住んでいる人と事件に関わる人の"変さ"が興味深くて、
私は特にある女性に、この旅の間中惹かれています。

彼女は詩人で、きれいなことなど少しも言わなくて、ケチで意地悪で、
初対面では絶対「失礼な!」って怒られるような人なのですが、
私は、もし近くに彼女がいれば、毎回嫌な思いをすることを分かりつつも、
会いに行くだろうと思います。それはとても不思議なことだと思います。

J'ai lis Still Life de Louise Penny pendant mes vacances.
J'y trouve un personage seduisant.
Il est poète et habite dans un petit village, il (exactement elle) médit toujours et est très avare.
Je pense neanmoins que je rends visite souvent à elle même si elle soit toujours méchante envers moi.
C'est étrange mais j'en suis sûr.

Ciao,
yuba---*

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村
いいね!した人  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。