2010-04-02 16:15:56

雨 La Pluie

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
もうすぐアリストファネスの喜劇「鳥」を観に行くので、今、仏訳を読んでいるところです。
鳥の国の名前はフランス語では、Coucouville-les-Nuées (英 cloud cuckoo land)です。楽しみだなぁ。

雨 ( La Pluie )
                   空の祝福を受けた貧しい鳥は、風のざわめきを聞き、歌い、
                    そして水滴が巣の中で真珠のように輝くのを見る 
 Victor HUGO, Pluie d'été


雨が降っている間、黒い森の炭鉱の幼いたち人たちが、よい香りのする草を敷いたベッドで
北風がオオカミのように唸るのを聞いていた。

彼らは、嵐のファンファーレに追い立てられて逃げ出した雌鹿や、
樫の木の窪みにうずくまり、稲妻をまるで狩人のランプのように恐れているリスのことを思った。

雛を守るのに羽しかもっていないセキレイや、
ばら色の羽毛と雛たちを風にむしりとられるロビンの家族のこと、

雨のしずくが、枝の高みから水たまりの海に落とした毛虫のことを思った。

雨で遅れがちな巡礼僧が、王と王妃*に会ってしまうのを気の毒に思った。
いらだった馬に水を飲ませるため、王がライン川のほとりにいる時間だから。

それからとくに、道を間違えて、盗賊の一味がつけた狭い道に入り込んだか、
遠くに見える人食い鬼の光の方へ行った子供たちに心を痛めた。

明日の夜明け、炭鉱の幼い人たちは、ツグミを獲るために芝生に伏せておいた、
小枝で編まれた籠とトリモチが 泉に浮かんでいるのを見つけるだろう。

note ;
自分への注; Le roi Pialus et la reine Wilberta ???

Bisous,
yuba

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2010-03-31 17:55:25

天使と妖精 ( L'ange et la fée )

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
『夜のガスパール』は一応終わったけれども、 Le Livre de Poche の Gaspard de la nuit の終わりに『ガスパール』に
入っていない作品がいくつか載っているので、もう少しベルトランを続けましょう。

(日本に帰るのは4月の20日あたりです。帰る前に何日かリヨンに行きます。)

天使と妖精 ( L'ange et la fée )
                         見るものすべてに妖精が隠れている。Victor HUGO, Le Poete au Calife

妖精が、僕の幻想的な眠りを、7月の夜のさわやかな優しい香りで満たす。
 --- この妖精は、道に迷った盲目の老人の杖を正しい道に導いたり、
足にとげが刺さった落ち葉拾いの小さな娘の涙を拭い、傷みを和らげるよい妖精だ。

彼女はベッドのそばにいて、剣あるいは竪琴を継ぐ者にするように、僕をあやし、
僕の魂を月光あるいは露のなかに沈め、溺れさせようとする霊たちを、クジャクの羽根で追い払う。

彼女はここで、谷や山の物語、たとえば墓地に咲く花のメランコリックな恋や
ノートルダム・デ・コルヌイエへ行く鳥たちの愉快な巡礼の話を、僕に語って聞かせる。

                        *

けれども、眠っている僕を彼女が見守っていると、天使が星を散りばめた時の羽を震わせ降りてきて、
ゴシック様式のバルコニーのランプに足をかけ、高窓のステンドガラスを銀製の棕櫚の葉で打つ。

熾天使セラフィムと妖精はかつて、瀕死の若い娘の枕元で出会い、互いに恋をした。
妖精はその娘が生まれたときに、乙女の持つべきすべての魅力を授け、
天使は彼女に、天国の歓喜の中で息を引き取らせた。

僕の夢を揺すりあやしていた手は、夢と同時に消えていった。そして僕は目を開いた。
ひっそりとして奥まった寝室は、月のぼんやりした光に静かに照らされていた。
よい妖精の僕への愛情を示すものはもう、彼女の糸巻き棒しか残っていなかった。
でも、それがもともと部屋にあったものではないということに、僕は確信が持てない。

Ciao,
yuba

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2010-03-18 19:39:40

『夜のガスパール』 おしまい。

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日は最後の「第二の人」と思ったのですが、なんだか訳が気に入らないのでやめました。
というわけでちょっと尻切れトンボですが、『夜のガスパール』はおしまいです。
コメントをくださった方ありがとうございます。読むのが楽しく、勇気づけられました。

訳をしながらお芝居をしているみたいでした。短歌はほとんど作者の一人称なので、違いが面白いです。
特におじいさんや悪役や男の子などを戸惑いつつ演じながら、現代の舞台みたいと思いました。
(そうそう、この前、ファンタジオ役 (『Fantasio』ミュッセ) を女性の役者さんが演じていて、それが大好きでした。
お姫様とファンタジオの間にある共感みたいなのが浮かび上がるなぁと思いました。)

素のわたしは、オンディーヌよりサラマンダーに似てます。ホロスコープに水の要素ひとつもないって言われたし。

小旅行に行きます。危ないところへは行きませんのでご安心ください。
しばらくブログの更新はお休みします。

柚 葉
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2010-03-16 15:10:48

再び春 Encore un printemps

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
風邪をひきました。そうしたらなぜかフランス語の夢を見ました。

こちらでは復活祭が過ぎると春まっただ中という感じがします。光はもっと前から変わるけど、
土があったまってくるというか、いろんなものがうごめく春になります。まぁ、お天気も気まぐれですが。
今年は4月になってからですが(まだ春分も過ぎてないですね)、もう卵やうさぎを飾っているお店がありますね。

Ⅴ 再び春 ( Encore un printemps )
                            滅ぶべき心を揺さぶる思考や情熱は、どれも愛の奴隷である。 Coleridge

再び春、露が、僕の棘のある萼*の中でひと時揺られて、
涙のようにこぼれる春がくる。

あぁ、僕の青春。青春の喜びは時に口づけされて冷たくなったのに、
苦しみは、その胸に抱かれて窒息した時間よりも長生きだ。

女性たちは、僕の絹のようになめらかな生の糸をほどいてばらばらにした。
僕の恋物語にうそつきがいたとしても、それは僕ではないし、
騙された人がいても、あなたたちではないよ。

あぁ、春!通りの小鳥、季節の主人が、
詩人の心と楢の葉陰でメランコリックに歌って、僕たちを迎える。

再び春、再び五月の太陽の光が、
世の中の 若い詩人の額に 森の中の 古い楢の頂に!
                              Paris,11, mais 1836

notes ;
萼(calice); は他にも聖杯などの意味があり、とくに le calice du Christe はキリストの苦難。

Ciao,
yuba

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2010-03-14 18:12:38

小川のジャン Jean des Tilles

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
J'ai cherché hier la tombe d'Aloysius Bertrand dans la 10e division de la cimetière du Monparnasse.
Mais je n'ai pu la trouver. Vous savez le lieu précis ?

もう最期の第六部「寄せあわせ集(仮)」です。さみしい。アロイジウス(ベルトラン)にあいさつしようと思い立ち、
モンパルナス墓地を訪ねたけれど、お墓を見つけられませんでした。
リストには名前があって、ある程度の場所は特定されているけど、それでもたくさんお墓があり、怖い … 。
墓地に立っている著名人のお墓マップには、載ってませんでした。

埋もれていた彼のお墓を2007年をめどにどうにかするための寄付が集まった、という記事を読んだんだけれどなぁ。
ご存知の方は教えてくださいね。

Ⅱ 小川のジャン ( Jean des Tilles*)
                         C'est le tronc du vieux saule et ses rameaux penchants.
                                              H.de LATOUCHE, Le Roi des Aulne*.


「わたしの指輪!わたしの指輪が!」
洗濯女の叫び声が、柳の木の根元で蒲(がま)を紡いでいたネズミを怖がらせた。

小川のジャンの仕業だ。辺りを流れるいたずら好きなオンダン(男の水の精)が、
洗濯ヘラで何度も叩かれて、文句を言ったり笑ったりしている。

溺れさせたセイヨウカリンの熟した実を、河岸の濃い茂みで拾うだけじゃ物足りないようだ。

「ジャン、泥棒! 釣りするジャンをいつか反対に釣るからね。
 小麦粉の白い帷子を着せて、鍋の熱々の油の中に埋め、ジャンのフライにしてやる!」

そのときには、ポプラの緑の枝で揺れているカラスたちが、
雨が降りそうな重たい空で、かあかあ鳴くだろう。

そして洗濯女たちは、アブレット*刺しのように裾をまくりあげて、
砂利と泡と水草とグラジオラスで覆われた浅瀬にまたがるだろう。

notes;
les tilles ; ブルゴーニュ地方の方言。
Le Roi des Aulne ; ゲーテの「魔王」。 H.de LATOUCHE は訳者の名前  
ablette ; 小さな川魚。川に入って針みたいなので刺して獲る(らしい)。

Ciao,
yuba

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2010-03-12 14:43:23

仮面の歌 Le chanson du Masque

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日はパリを離れてサンリス (Senlis) まで日帰りの遠足に行こうかな、と思っています。

(コメディー・フランセーズの『ミステーロ・ブッフォ』 (ダリオ・フォー作 仏語ではMystère bouffe) を観ましたよ。)

Ⅶ 仮面の歌 ( Le chanson du Masque )
                        仮面の顔を持つベネチア  Lord Byron.

僕の描く生、この死に至る巡礼に、修道服とロザリオは関係ない。
バスク地方の太鼓と道化の服がぴったりだ。

騒々しい僕らの一行は、サン・マルク広場の、アルルキーノ氏*の宿に駆けつける。
彼はオリーブオイルで和えたマカロニと、にんにく風味のポレンタ*をごちそうしてくれるんだ。

君、紙でできた金色の王冠をかぶった一日限りの王様、
そして、君たち、つぎはぎだらけのマント、艶のない髭と、木製の剣で王のお供をする
滑稽な臣下の君たち、手をつなごう。

公安委員のことは忘れて、夜をまるで昼のように陽気にするイルミネーションの、
魔法のきらめきの中で、歌い、それからロンドを踊るために手をつなごう。

愉快に歌って踊ろう。メランコリーに憑かれた人たちはゴンドラに乗って運河を流れて行くよ。
そこで、流れ星といっしょに泣いているよ。

歌って踊ろう。僕らには失うものがない。
カーテンの後ろでは、うつむいた頭の中の退屈が、だんだん形をなしてくる。
そうしたら、僕らの奥の手をおみまいするよ !

notes;
イタリアのコメディーに出てくるアルルカン(道化)は、黒い仮面をつけて、いろんな色の布切れを組み合わせた服を着、
木製の剣を帯び、棒を持っている(らしい)。
ポレンタ; トウモロコシの粉でできた黄色い北イタリアの食べ物。お店で出てくると、ちょっとがっかりするけれど(失礼!)、
知人が作ってくれたものは、煮込んだお肉といっしょに食べたり、最後にはゴルゴンゾーラと合わせたりして、
とってもおいしかったのです。

Ciao,
yuba

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2010-03-10 15:28:59

エンリケス Henriquez

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日は寒いのかな、風が強そう。でも光は強いので、きっと図書館で本を読みながら日焼けができます(したくない)。
昼間の灯りはほとんど自然光なので、広げた本が明るくなったり翳ったりします。書架の本は傷まなそうだけど。

Ⅳ エンリケス ( Henriquez )
                      よくわかっている。縛り首か結婚がおれの宿命だ。 LOPE DE VEGA

頭首が盗賊たちに言った。
「一年前に言った通り、頭首を譲る。おれはコルドバの金持ちな未亡人と結婚する。
 コレヒドール*の杖の代わりに、山賊の短剣を捨てるんだ。」

彼はみなに分配する宝の箱を開けた。
祭儀用の器、宝石、金貨、たくさんの真珠、ダイヤモンド首飾りがごちゃまぜに入っていた。

「エンリケス、お前には、アロカ公爵のイヤリングと指輪だ。銃の一撃でアロカ公爵を殺したのは、お前だからな。」

エンリケスは血のついたトパーズを指にはめ、血の滴りのようなアメジストを耳に下げた。

イヤリングは、かつてメディナ・コエリ男爵夫人の身を飾っていたが、
ひと月後にエンリケスは、キスの代わりに看守の娘にあげてしまった。

指輪は、スペインの小貴族があるトルコの高官*から白馬一頭の値で買たものだが、
エンリケスはウィスキー一杯をそれで払い、ものの数分でなくしてしまった。

notes;
コレヒドール; スペインの都市行政長官、司法権と行政権を持つ
エミル;イスラム教の首長、トルコの高官の称号(大文字)、マホメットの子孫の尊称(古)

Ciao,
yuba

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2010-03-08 16:26:47

ラバ引き Les muletiers

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日から第五部「スペインとイタリア」に入ります。そうそう、昨日は第一日曜日だったので、美術館がタダでした。
3月8日は女性の日(Fête des femmes)でした。レバノン屋さんのおじさんが教えてくれました。
(ファーストフードっぽいものの中では、シシュタウ(シは二回ともchの方)がわたしは一番好きです。甘いお茶も。
でも人に勧めてみてもあんまり反応がないので、どうなのでしょう・・・?)

Ⅱ ラバ引き ( Les Muletiers )
                      彼が長い叙事詩を語り止めるのは、ラバたちを美人とか勇敢と呼んで励ますときか、
                      怠け者とか頑固と呼んで怒るときだけだった。 Chateaubriand, Le Dernier Abencérage.


褐色の肌をしたアンダルシアの女性たちが、ラバの歩みに揺られながら、ロザリオをつまぐり、あるいは髪を編んでいた。
ラバ引きの一人が歌う聖ヤコブの巡礼の讃歌は、シエラ山脈に数百もある洞窟に反響し、
他のラバ引きたちは、太陽に向けてカービン銃を撃った。

ガイドの一人が言った。「ここは、先週わたしたちが、山賊に襲われ首を撃たれて死んだホセ・マテオを埋めた場所です。
墓穴は掘り起こされ、死体が消えました。」

「その死体は遠くない。はちきれそうなほど水を飲んで、谷に浮いているのを見た。」とラバ引きが言った。

「アトーチャの聖母様*、お助けください。」褐色の肌をしたアンダルシアの女性たちが、ラバの歩みに揺られながら叫んだ。

「崖の端に建っている小屋はなんだい?」椅子の幕のところから、下級貴族が尋ねた。
「急流の泡立つ渦に、巨大な木の幹を投げ落とす樵の小屋かい? それとも、疲れた山羊を痩せた斜面へ連れていく、
山羊飼いの小屋かい?」

ラバ引きが答えた。「あれは、ある年老いた隠者の住まいだった。秋に落ち葉のベッドの上で死んでいるのが見つかった。
首にはロープが巻かれ、口から舌が出ていた。」

「アトーチャの聖母様、お助けください。」褐色の肌をしたアンダルシアの女性たちが、ラバの歩みに揺られながら叫んだ。

「マントに身を包んだ三人の騎手が、われわれの傍を通り過ぎながら、こちらをじっと観察していた。
 彼らはわれわれの仲間ではない。誰だろう?」髭を生やし、埃まみれの修道服を着た修道士が尋ねた。

ラバ引きは答えた。「シエンフーゴス村の警官が巡回しているのでなければ、非道のギル・プエブロが偵察に出した盗賊だ。彼は盗賊の頭だ。」

「アトーチャの聖母さま、お助けください。」褐色の肌をしたアンダルシアの女性たちが、ラバの歩みに揺られながら叫んだ。

「茂みの中で誰かが発砲したらっぱ銃の音を聞きましたか?」裸足で歩いている貧しいインク売りが尋ねた。
「見てください、煙が空に消えていきます。」

ラバ引きは答えた。「あれは、四方を囲んで茂みを棒で叩いているわれわれの仲間だ。山賊を楽しませるために、火薬に火をつけたのだ。セニョーレス、セニョーラス、しっかり。拍車を!」

「アトーチャの聖母様、お助けください。」褐色の肌をしたアンダルシアの女性たちが、ラバの歩みに揺られながら叫んだ。

そして、旅行者たちはみな、太陽が燃え立たせる土埃の中を、ギャロップで駆けた。
ラバは、花崗岩の巨大な岩のあいだを、列を作って進んだ。
急流は、泡立つ淵で唸り声をあげ、森は恐ろしい音をたててきしんだ。
風が騒ぐ森深く寂しい場所から、脅すような声が漏れてきた。
その声は、近づいたり、離れたり、まるで山賊が辺りをうろついているように聞こえた。

note;
Notre-Dame d'Atocha; マドリ-ドにある聖母像

Ciao,
yuba

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2010-03-06 15:14:34

ある愛書家に A un Bibliophile

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日は「年代記」の最後のひとつです。ちょっと時間がないので、さらっとゆきましょう。

Ⅷ ある愛書家に (A un Bibliophile)
              子供たち、騎士はもう本の中にしかいないのよ。 - おばあちゃんが孫にする話 -

騎士たちは、ミンストレル*の演奏と妖精の呪文と勇士の栄光に伴われて、永遠に立ち去ったというのに、
中世の埃っぽくてカビが生えた話を、なぜ復活させるのだろう。

ぼくらの不思議な風説、たとえば、
聖ゲオルギウスがリュソンの馬上試合で、シャルル7世と一戦交えたとか、
トレント公会議*のとき、精霊が公衆の面前に降りたとか、
さまよえるユダヤ人*がラングルの街に近づいたとき、Gotzelin司教が彼に、我らの主の受難を語ったなどの伝説は、
この懐疑的な時代に何をもたらすのだろう。

ハヤブサの三つの技は今や軽視されている。
狩りのために目隠しをされた鳥の年齢や、楯に描かれている図形、
火星と金星が一線上に位置する時間は、もはやいかなる興味もかきたてない。

戦争と愛の言い伝えは忘れられ、ぼくの寓話も、ブラバントのジュヌヴィエーヴの哀歌と同じく、
その記憶の一片をつたえる人が、始まりも終わりも知らないという運命をたどるのだろう。

notes ;
ミンストレル;12.13世紀、特定の封建諸侯の宮廷に仕える、あるいは諸侯の宮廷を遍歴する詩人、音楽家
トレント公会議(1545-1563) こちらを。
さまよえるユダヤ人;Ahasvérus (アハシュエロス)、十字架を背負うキリストを虐げたので、永遠に歩き続ける定めになった。

Bon weekend !
yuba

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2010-03-04 17:27:42

Les Grandes Compagnies (Free Company)

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
近くの魚屋さんが一週間くらいのバカンスに入ってしまいました。でもだいじょうぶ。もう一軒あります。
先週はお肉屋さんでした。お店の人が元気になれば、日々のお買い物も楽しくなりますね。

訳の方は戦いばかりでわたしも嫌になってきました。もう少しだけお付き合いください。しかも今日のは長いです。
タイトルは、お金目当てで集まった兵士たちからなる、盗賊化した部隊のことです。フランスを荒らしていました。
ただ、1364年というのは正しくないようです。

Ⅵ Les Grandes Compagnies (1364)
                    彼らは、街に侵入し、城壁を駆け抜け、
                    家を荒らし、窓から押し入り、まるで強盗のようだ。Le prophete Joel, cap. Ⅱ, V. 9


                      Ⅰ

森をさまよう畑泥棒が、街の火で体を温めていた。
火の回りを、茂み、闇、亡霊が取り巻いていた。

弩(おおゆみ)の射手が言った。「おい、新人!王シャルル5世は、急きょベルトラン・デュ・ゲクラン閣下*を派遣した。
おれたちに示談だと。悪魔をつかまえるのは、ツグミを鳥笛で捕まえるようにはいかないぞ。」

仲間内で笑いが起こったが、
しぼんだコルヌミュ-ズ(バグパイプの一種)が、乳歯が生えたばかりの猿のような泣き声をあげると、
その陽気さはいっそう増した。

「ところで、」ふたたび射手が言った。「こんな無為な暮らしに嫌気がさすことはないか ?
満足できるほど、城や修道院を襲ったか? おれは物足りないね。
おれたちの大将、ジャック・ダルキエルはくだらんやつさ。狼はもはやグレーハウントにすぎない。
ベルトラン・デュ・ゲクラン閣下、万歳だ!彼が、おれの剣に見合った金をくれて、
戦争に放り込んでくれりゃあいい。」

薪の燃えさしが、赤く燃え上がったり青くなったりし、傭兵たちの顔も赤や青に変わった。
一羽の雄鶏が農家で鳴いた。

「雄鶏が鳴き、聖ペテロは我らの主を否認した。」と射手はつぶやいた。

                      Ⅱ

「クリスマス!クリスマス!袋から銀貨が降るぞ。」

「おのおのに、ボワソ升一杯ずつ与える。」

「冗談?」

「誰が、お前たちにこんなにたくさんの金を与えると思う?」

「戦争だ!」

「でもどこの ?」

「スペインだ。無信仰なやつらがそこで金を大量に運ぶ。馬の蹄鉄を金で打つんだ。
どうだ、行きたいか ? 無信仰なムーア人*を追いかけて、強奪しようじゃないか。」

「でもスペインは遠いです。閣下。」

「お前さんの靴には、ちゃんと靴底がついているじゃないか。」

「十分ではありませんよ。」

「王の会計係は、お前さんを勇気づけるためなら10万フロ-リン払うぞ。」

「よしきた! 旗の百合のまわりに鉄兜を並べよう。で、バラードは何を歌う ?」

                 おぉ、ルティエ*
                    陽気な稼業 !


「ようし、お前たちのテントはたたんだか ? 駕籠は積んだか ? 出発しよう。
 兵たちよ、出発に際して、ここにドングリを植えるがいい。帰るころには樹になっているだろう。」

山の中腹で鹿を追いかけているジャック・アルキエルの、猟犬たちが咆えていた。

                       Ⅲ

私兵たちは、集団ごとに離れて、銃を肩に担いで、歩いていた。
例の射手が、後方で一人のユダヤ人と争っている。

射手は指を三本出した。

ユダヤ人は二本出した。

射手はユダヤ人の顔に唾を吐いた。

射手は指を三本出した。

ユダヤ人は二本出した。

射手は平手打ちを食わした。

ユダヤ人は指を三本出した。

「このプルポワン*が銀貨二枚だと、泥棒め !」射手は叫んだ。

「ご慈悲を。ここに銀貨三枚あります。」とユダヤ人も叫んだ。

それは、ビロードの素晴らしいプルポワンだった。
袖には銀の狩猟笛の跡があり、穴があいて、血がついていた。


notes;
Bertrand Duguesclin (1320-1380) ; フランス王シャルル5世の軍の隊長。
                 フランスから、les Grandes Compagnies を一掃し、スペインに連れて行った。
デュゲクランについては、こちらを。

ムーア人 ; (自分への注です。)ここでは、中世にスペインを侵略したイスラム教徒のこと

routier; 解雇された兵士、あるいは脱走兵。

pourpoint ; 13-17世紀に着用された男性用の上着。
      『夜のガスパールの』の別の草稿では、大将のジャック・アルキエが殺される場面が描かれている(らしいです)。

長すぎますね。読んでくれてありがとうございます。

Bisous,
yuba 

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